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日常から戦場へ3

 コロニー内で一番大きなドーム会場には沢山のファン達が詰め掛けていた。

 チケット販売は一瞬で完売。購入出来なかった者達は、現地に赴き悪足掻きをするかの様にチケットの転売を求めていた。

 しかし、殆ど転売は行われず諦めるしか無かった。

 だが、商売逞しいホープ・スター企業。限定グッズの再販売や出店などを出して、参加出来なかったファン達を楽しませていた。

 更に参加が終わったアイドル達が急遽ゲリラライブを行う事が決定した為、ファン達は大盛り上がりになっていた。


「あのー、ワトソンさん?本当に宜しいのでしょうか?」

「何も問題はありませーん!何故なら、ファンの癒しと希望になるのはアイドルの務め!つ・ま・り、ゲリラライブはアイドルの義務DE・SU!」

「いやー、キタチー側の者としましては助かりますが。唯……」


 キタチー側の役員とワトソンプロデューサーが話し合いを行っていた。

 アイドルコンサートは非常に上手く進んでおり、会場は大盛り上がり。


 そして、チラリと横目で外の方を見ると。


「ナナミちゃーん!大好きだよー!」

「限定グッズのフィギュアにぬいぐるみまである!全部買います!」

「押さないで下さい!アイドルに近付かないで下さい!近付くなって言ってるだろう!」

「「「「「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ソレ!ソレ!ソレ!ソレェ!」」」」」

「ママァー!愛してるよぉ!」

「愛を叫ぶ前に下がれ!」


 会場の外はカオスとなっていた。盛り上がってるのは間違いないのだが、ドーム会場の警備員だけでは対応は不可能。

 よって急遽ホープ・スター側から歩兵部隊とパワードスーツ部隊による警備活動を実施して対応している始末だ。


「あのー、増員とかされては?こちらからも、人手を無理矢理にでも呼びましょうか?」

「心配には及びません。()()()()()()()()()()

「左様ですか。なら、良いのですが」


 とてもでは無いが計画通りには見えない役員達。一部ではファン同士による喧嘩も発生している状況。


 それでも、ワトソンプロデューサーの表情は変わらなかった。


「さぁ、始めましょう。ナインズ達の最後の務めを……ね」


 そして時間になり、ホープ・スター企業一番の稼ぎ頭の【ナインズ】がステージに上がる。

 全員がアイドル用の衣装を身にまとい、激しくも美しいダンスを披露。

 歌を順番に歌い始めて会場内の盛り上がりは加速して行く。


 特にアイリちゃんの人気は凄まじいものだった。


 ナインズの中でも頭一つ飛び抜けている歌唱力。聞く者達を魅了し、一気に虜にしてしまう。

 画像越しでは絶対に味わえない感覚。この感覚を味わえるファン達は感無量となっている。


 そして、歌とダンスがサビから佳境に入る瞬間。


 ドーム会場に振動が走る。


 一瞬、夢が醒めたファン達が何事かと辺りを気にする。しかし、まだコンサートは続いており再び集中しようとする。


 だが、外の方では連続した爆発音が聞こえ始める。


 流石のナインズ達も何事かと思い歌を止めてしまう。


 そして、ライブ中には似合わない警報がドーム会場に鳴り響いてしまう。


「な、何だ?避難訓練でもやろうってか?勘弁してくれよなぁ」

「もう、最悪。これからって時なのに」

「誰だよ?こんな馬鹿な事やった奴は。責任者出て来い!」


 だが、次の瞬間だった。


 会場の外近くで爆発が鳴り響く。そして、銃声。


 咄嗟に自分達が持つ端末を触れるが連絡が繋がらない状況。


 そして、徐々に気付き始めるファン達。


 混乱と不安がファン達の間を駆け抜ける。


 《皆さん、落ち着いて下さい》


 しかし、誰もが魅了される声がドーム内に響き渡る。


 《今、慌てて動いてしまうと余計に避難が難しくなってしまいます。落ち着いて、係員の指示に従って動いて下さい》


 マイクを取り、ステージから一歩前に出る1人のアイドル。


 《大丈夫です。私達が最後まで居ますから》


 ナインズの人気No.1。アイリちゃんの声によりファン達は落ち着きを取り戻す。


 《アイリの言う通り。ファン達のアイドルとして、ファンタスト宗教の聖女として皆さんの避難完了まで見守ります》


 ニーナ・キャンベルが祈りを捧げながら見守ると宣言する。


 《オーッホッホッホッホッ!その通りですわー!私達が居る限り安全は保証されているのも同然ですわー!》


 自信が満ち溢れ、声高らかに声を張り上げるロザリア・法龍院。


 《《だから安心して下さいね♪》》


 メグ&ティノのハモりボイスにより一気に落ち着きを取り戻すファン達。


 《オメェら!みっともなく無闇に暴れんなよ!大人しくウチらとのトークショーでも聞いて楽しんでな!》


 姉御肌を全開にしながらファン達を楽しませようとするアグーラ・姫宮。


 《そうだよ〜。お兄ちゃん、お姉ちゃん達は一度席に座り直してね♪》


 リディ・レノックスが決めポーズを取りながらファン達を魅了する。


 《この程度の襲撃なら私も何度かヒーロー相手にやってたわ。あ、その時の武勇伝が幾つかあるんだけど》


 悪の幹部の1人でもあり、ヒーローと対峙していた時の事を思い出すシャル・トリニア。

 自然体のまま、襲撃による振動で懐かしい気分になっていた。


 《それは何度も聞いてるさ。とは言え、今はその話を聞いてみたい気分でもあるね》


 こちらも落ち着いたら様子のエレーナ・モロゾフ。

 頭の位置を調整しながらファン達の方へ視線を向ける。


 しかし、そんな中1人だけ違う動きをしていたアイドルが居た。


 《戦闘モード起動。ネロ・キャリアーMk-Ⅲ出撃要請》


 既に戦闘モードに切り替えており左右の瞳が赤と青のオッドアイ仕様になっているローネちゃん。


 《通信が繋がりません。残念ですが、この身一つで皆さんを御守りします》


 臨戦態勢を取りながら暫く待機していたが、通信が繋がらずネロ・キャリアーMk-Ⅲの使用を断念。

 仕方無いので両腕から電磁カッターを展開するローネちゃん。


 《ちょっと!ちょっと!ローネちゃん、危ないよ!》

 《《えー?カッコいいから良いと思うけどー?》》

 《ほう、ブッシュ製の電磁カッターか。良いセンスだね》

 《そうね。実用的なのも良いポイントね》


 アイドル達のトークに魅入るファン達。先程までの混乱が嘘の様に無くなってしまう。

 その様子を見ていたキタチーの役員達は驚きの声を上げる。


「流石ですね。こうも簡単に群衆を落ち着かせるとは」

「きっとナインズの魅力に骨抜きにされたのでしょうな!」

「いや、最初から骨抜きにはされてますよ。単純に彼女達のカリスマ性の高さが顕著に出ただけですよ」


 ナインズのお陰でドーム内のファン達は一先ず落ち着けただろう。


 しかし、ドーム会場の外ではどうだろうか?


 親衛隊のヴォルシアは警戒態勢を取り、周辺警戒を行っていた。

 また、歩兵部隊とパワードスーツ部隊も配置を変えて展開しようとしていた。


『畜生、市民が邪魔だ!装甲車が移動出来ん!』

『駄目だ。どの場所もファン達居るから動けない』

『無理矢理にでも退かせ!今はアイドルの避難を最優先だ!』


 本来ならチケットを手に入れれ無かったファン達は諦めて去っていただろう。

 だが、急遽路上にてゲリラライブや出店の展開されていた。その状況がファン達を通じてネットに拡散。お陰で一般人も沢山来ていたのだ。


 だが、今となっては全てが仇となっていたのだ。


『不味いな。この状況で戦闘など出来無い』


 レイピア中隊は足元に映る群衆を見つつ、状況の把握を急いでいた。

 相次いで爆発が起こり、上空でもヘリが撃墜されたのも確認していた。

 また、ジャミングにより通信やレーダーも殆ど使い物にならなくなっていた。


『かなり強力なジャミングですね。警備隊、ウラヌス共に通信が困難な状況です』

『警戒を厳にしろ。私達だけで対処する気持ちで任務に当たる』


 そしで暫く周りを警戒しているとレーダーに反応が出る。

 最初は警備隊かと思っていたが高速で真っ直ぐに迫るのを確認して違うと判断。


『上空!3時方向に攻撃ヘリ確認ッ⁉︎ロックオンされてます!』

『迎撃!敵をドーム会場に近付かせるな!まだアイドル達の避難が進んでいない!』

『敵攻撃来ます!』


 CR-9チャンパーは編隊を組みながら一気に接近する。


【親衛隊を捕捉。避難はまだ進んで無いみたいだな】

【各機、波状攻撃で仕留めるぞ!攻撃開始!】

【被害は気にするな。我々には崇高な使命があるのだからな】


 大量のミサイルが敵チャンパーから放たれる。

 それを見た群衆は悲鳴を上げながら逃げ惑う。


『撃って来ました!』

『迎撃!ミサイルは全て落とせ!』

『信じられん!民間人がまだ沢山居るんだぞ!』


 ミサイルに向けてレイピア中隊は一斉に発砲する。

 装甲車の銃座からもミサイルと敵チャンパーに向けて射撃を開始する。

 次々とミサイルを迎撃するレイピア中隊。しかし、迎撃する数が圧倒的に足りなかった。


 そして、ミサイルが着弾。


 レイピア中隊は回避する訳にも行かず、多目的シールドを構えて直撃に耐える。

 だが、ミサイルが脚部に被弾した1機は倒れ込む。


『レイピア4!無事か!』

『問題ありません。まだ、戦えます!』


 しかし、その隙を狙って敵チャンパーが一気に距離を縮める。


【20ミリを喰らわしてやれ!】

【ロケット弾一斉射撃!撃てぇ!】


 倒れ込んだレイピア4に向けて20ミリとロケット弾の雨が降り注ぐ。

 咄嗟に多目的シールドを構えながらブースターを全開に吹かす。

 外れた20ミリとロケット弾はドーム会場近くに着弾。コンクリートとロケット弾の破片が群衆に襲い掛かる。


「痛てぇ⁉︎痛てぇよおおおお⁉︎」

「に、逃げろおおおお‼︎殺されるぞおおおお‼︎」

「邪魔だぁ!退けよぉ!」

「誰か!救急車を!血が、血が止まらないんだ!」

「ロイ、しっかりして!ねぇ、返事をしてよおおお!」


 地上は一瞬で地獄絵図になる。

 しかし、地獄絵図は更に広がる事態になる。


『アイツら、許せん!絶対に敵を【何が許せないって?】ッ⁉︎』


 レイピア4は目の前の惨状に怒りが込み上げる。


 しかし、突如通信に割り込む女の声。


 レーダーを見れば後方から迫る1機のAW。


 咄嗟に45ミリアサルトライフルを向けるが、一瞬で弾き飛ばされてしまう。


【邪魔よ】

『な、新手だとッ』


 独特の金属音が響き渡る。


 迫り来る狂気の歯が高速で回転しながら、レイピア4のヴォルシアを抉り斬る。


 真っ二つに斬り裂かれたヴォルシアは爆発を起こし、更なる被害を拡大させる。


 ドーム会場の外が炎の海に沈んで行く。


【残り11機。さぁて、死にたい奴から前に出なよ】


 右腕に工業用チェーンソーを装備し、左腕には盾付きパイルバンカーを装備。両肩には35ミリガトリングガンを装備している。

 肩側面にも多目的シールドを装着しており、防御面ではかなり頑強になっている。


 傭兵アンジェラ専用機【ZM-05FAレクス】。


 重装甲となり重量が増えた機動力低下に対応する為、強力なブースターを装備。その加速性は近距離での格闘戦では無類の強さを発揮する。

 また、強化パックも使用しており現行AWより頭一つ飛び抜けている性能を獲得している。


『レイピア4!畜生、許さねぇぞ!』

『各機、敵AWに対し集中砲火!』

『こちらエディ1!前方に敵歩兵部隊を確認!パワードスーツも居るぞ!』


 突如、歩兵部隊から通信が入る。

 地上を見れば所属不明の装甲車が次々と現れて、歩兵部隊とパワードスーツ部隊を展開し始めていた。


『馬鹿な!まさか、本気でアイドルを狙っているのか!』


 レイピア1は驚愕の声を出してしまう。

 どんな理由であれ、アイドルを狙うなんて酔狂な事としか言えない。


 まして、民間人を巻き込む事すら躊躇して無いのだから驚くのは当然だった。


『撃って来たぞ!敵を近寄らせるな!』

『民間人が射線に入ってます!あぁ!撃たれてる!民間人が撃たれてます!』


 所属不明の歩兵部隊とパワードスーツ部隊は民間人を無視して射撃を開始。

 対してホープ・スター企業側は反撃出来ず、身を隠す事しか出来ない。


『ロディ1、怯むんじゃねえぞ。俺達がアイドル達を守るんだ。レゾナンス1より各員、ウラヌスからの増援が来るまで……死んでも耐えろよ』


 パワードスーツ部隊が武器を構えて前に出る。

 地面には多数の民間人による負傷者が倒れており、血の海と化している。


 それでも、守るべき者達の為に武器を構える。


『反撃開始!民間人は当てるなよ!』

『レゾナンス2、了解!敵が接近して来たらハンマーで叩き潰すしてやる!』

『掛かって来いやぁ!民間人を盾にした屑共がぁ!』


 しかし、敵側にはTy-88Fロルフ部隊が合流し始める。


【我々はアンジェラ機の援護だ。親衛隊機を全て潰すぞ】

【援護射撃開始。ドームには当てるなよ】


 ドーム会場周辺で激しい攻防戦が繰り広げられる。

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― 新着の感想 ―
ネロ・キャリアーMk-Ⅲかぁ… いったいどんな3台目の機体なんやろなぁ…?
早く来てくれ、ジェームズ。
まさかプロデューサーも!?
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