表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/243

アインの伝説(14)

ラム:魔王軍の侵攻が始まったとなると、みなが力を合わせないと・・・・・・。

バッケン:だな。

プラン:だが、この時代は問題があり過ぎるな。

シオン:ウチがいたら魔王が相手でも楽勝だべさ ( `―´)ノひゅーひゅー

ラム:シオンはいませんよ・・・・・・みなさんは第14話をお読みください。

シオン:は? ウチ、いないの!? (; ・`д・´)むぅ~







「…………はじまりの村は滅ぼされたワケではない、ということですか?」


 おれの問いかけに答えるのはハラグロ商会奴隷職員のタッカルさんだ。


「ええ、そうです。魔族の率いる魔物に襲撃されましたが、辺境伯領の兵士たち、ファーノース騎士団の騎士たち、そして村人たちが協力して立ち向かい、魔物を撃退。魔族も最終的に後退したということです」


「なら、村がなくなったというのはどういうことです?」


「負傷者は多数で、死者は少なかったようですが、再度、魔物の襲撃を受けた場合、撃退することは難しいだろうということで、村長が共に戦ったファーノース騎士団の隊長格と話し合い、村を放棄することに決めた、ということでした。村人たちは、辺境伯領の兵士たちとファーノース騎士団に守られながら領都ポゥラリースへと移動中とのこと」


 …………魔王軍によるはじまりの村襲撃のタイミングがゲームと比べて半年以上遅れている上に、レオン以外は全滅という悲惨な結果ではなく、少数の死者は出たものの、村人の多くが生き残って領都へ移動している、と。


 おれが知っているゲームやアニメの流れとは大幅に変化しているのは間違いない。


「ファーノース騎士団は他の辺境にある開拓村も放棄させるように動いているようですが、いくつか、すでに滅ぼされた開拓村も出ているそうです」


 開拓村も、アニメなら全滅してたはず。それが放棄するように騎士団が動いているとなると、助かる人もたくさん出るかもしれない。


 何がどうゲームと違ってそういう結果になってんのかよくわかんねぇけど、人が助かるという方向に文句をつける必要はないよな?


「魔族が魔物を率いて襲撃してきたのに撃退できたとは、すごいですね」


「どうも、王都から辺境の防備をかためよという王命が出されていたという話もあります。それで騎士団や兵士が増員されていたということもあって……。王都ではまだ情報を集められておりませんので、正確なところはわかりませんが」


「王都? 王家が動いたのかな?」


 ……マーズの一件で、あんま、信頼できなさそうな王家だけど、意外としっかりしてんのかな?


「とりあえず、回復薬を500ほど卸します。買い取って、辺境伯領へできるだけたくさん回して下さい。お願いできますか、タッカルさん?」


「御意」


 …………御意って。それ、商取引に使う言葉じゃねぇだろ? 何言ってんのこの人は?


 いや、それはどうでもいいか。


 とにかく、辺境伯領ができるだけ粘れるようにするには回復薬が欠かせないはず。


 それなら…………。


「……あと、これも、辺境伯領へ売りつけましょう」


「これは!? オーナー? まさか……」


「銀の回復薬です。そうですね、卸値は……6がけで1800マッセ、販売価格は3000マッセで」


「安い! 安すぎます、オーナー! ほとんど見かけない貴重な一品ですよ!?」


「タッカルさん、何度も言いますが、高くて使えない回復薬などゴミ以下です。メフィスタルニアの話は覚えてますか?」


「もちろん、『メフィスタルニア死霊事件に関する一考察』は我らの聖書にございます。熟読し、諳んじることも可能ですが」


 ……あれは聖書とかそういうんじゃなくて小論文だろ、何言ってんだこの人は。


「いえ、暗誦とかいりませんので。銀の回復薬は、そうですね、とりあえず100本、卸します。辺境伯がほしいと言ったら言った分だけ全部売ってください。足りないならすぐに連絡を。それと、後払いでもかまわないという方針でお願いします。お金が足りなくて魔族と魔物に負けました、というのは話になりませんからね。武器、防具、守城戦の可能性が高いから弓矢が必要ですね、できるだけたくさん用意してポゥラリースへ」


「会頭、番頭とも協議して、おっしゃる通りに進めます」


 …………協議の結果、別の意見に決まったら、それでいいんだよ? ていうか、言う通りにするのに協議って何? 何を打ち合わせる気なんだよ?


 まあいいけどさ。


 とにかく、辺境伯領に頑張ってもらって、できるだけ魔王軍の侵攻を食い止めてもらう。


 あっこの騎士団って、個人なら聖騎士団よりも強い人がちらほらいるみたいだしな。この戦いで粘ってさらにレベルアップすれば、もっと耐えられるだろ、たぶん。


 ゲームとかアニメみたいに河北のほとんどが一部の大きな町だけ残して魔族の手に堕ちる、みたいな状況になって、河南勢力を結集してケーニヒストルータで決戦、みたいなのは避けたい。


「あと、ケーニヒストルータの姉ち……姉上にこの手紙を頼みます」


「必ず」


 タッカルさんは回復薬と手紙を受け取ると、執務室から急ぎ足で出ていった。


「イゼンさん、スラーとオルドガを呼び出してください。村周辺の狩場の再調査と、狩りのローテーションについて再構築する必要があります」


「すぐにバーンとウォットを走らせます」


「北方の異変は心配ですが、フェルエラ村にとっては稼ぎ時です。魔物の数が減るまでにたんまりと貯め込むとしましょうか」


「はっ!」


 魔王が世界を滅ぼそうとしてるのかもしれないけどな、しれないけども。


 このモンスターの増加が今のフェルエラ村にとっては商機なんだよ! 逃してたまるかこのビッグウェイブ! 乗り切ってやるぜぃっ!










 姉ちゃんを通じて、北方の異変をおじいちゃん執事に、ま、あの人に伝えたらそれはシルバーダンディにもすぐに届く話なんだけどさ、うん。とにかく異変をすぐに知らせて、ケーニヒストル侯爵領も対策を立てるべきだと進言した。


 でも、シルバーダンディの動きは鈍かった。


 まあ、そりゃそうだ。


 大河をはさんで、あっち側の出来事。まさに対岸の火事。いや、それどころか、対岸のさらに向こうの向こうの向こうの、とっても北の、離れたところの話だ。


 しかも、ファーノース辺境伯が手堅い防戦を続けているとあっては、遠く離れた出来事でしかなく、危機感を抱くというレベルじゃない。


 そして、二か月。


 崩壊したのは魔王軍の侵攻によるファーノース辺境伯の防衛線ではなかった。


「レパント商会の荷馬車隊は生き残り2名、他は死亡、積み荷を放棄して逃げるしかなかったそうです」


「リック商会は到着予定日を三日過ぎています。全滅した可能性が高いでしょう」


「多くの商会から、ケーニヒストルータまでの隊商に『国境なき騎士団』による護衛を求める嘆願書が届いています。アインさま、いかがいたしましょうか?」


「オルドガに隊商の護衛計画を立てさせてください。村の狩りは、残念ですが、少し削りましょう。たくさん狩って商品を手にしても、それを運ぶ商会がなくなったら無駄ですからね」


 魔物の活性化によって街道の危険が増大して、河南でもこれまでの流通網が崩壊し始めていた。


「ハラグロ商会は、何の痛痒も感じていないようですね」


「……あそこは特殊ですからね。ガイウスさんからびっくりするような提案がきてましたよ」


「見せて頂いてもよろしいですか?」


 おれはイゼンさんにガイウスさんから届いた提案書を手渡す。


「…………同意した職員を奴隷化して裏切れないようにした上で、フェルエラ村で修行させてほしい、ということですか? それは、ひょっとして?」


「ボックスミッツが使える職員にリタウニングを身に付けさせたいってことですね」


「なんということを考えるんだ、あの商会は。護衛を求めてきた商会とは発想がそもそも根底から違うじゃないか」


 タッカルさんたちがリタウニングで活躍してるからな。ハラグロ商会の感覚は他とは違うのも当然だろう。シルバーダンディともめた時もそれで打ち負かしたし。


 そのおかげでファーノース辺境伯領への支援物資も届くんだから、世界全体が本当はハラグロ商会に感謝した方がいいと思うけどな。


 おれはイゼンさんに契約書を用意するように指示を出して、ガイウスさんの提案を受けることを示した。


 ファーノース辺境伯領が受けている魔王軍の侵攻による直接的な被害は対岸の火事かもしれないけどな。でも、魔王復活と魔王軍の侵攻による魔物の活性化が与える被害は河南諸国を大きく揺るがせている。


 ファーノース辺境伯領は、辺境の開拓村以外にも、小さな村や町は全て放棄して、領都ポゥラリースと3つの町だけを維持している。そのうちのひとつの町がそろそろ落とされるだろうと報告があった。


 ファーノース辺境伯は意図して村や町を放棄したけど、それ以外のところでは河北でも河南でも、流通網の崩壊によって小さな村や町の維持が次第に困難になってきている。狂暴化した魔物によって滅びた村もいくつもあるらしい。領地を失った男爵とか子爵とかの木っ端貴族の嘆きが聞こえてきそうだ。


 何年か経てば、魔物が強くなった分、人々のレベルも上がって対応できるようになるのかもしれないけど、今すぐはとてもじゃないが無理だろう。そもそもこの状態が何年も続くかどうかもわからない。


 誰かが魔王を倒すとか、な。


 うん。おれじゃねぇ。


 誰かが、だけどな。誰かが、だけども。









シオン:隊商がいっぱい護衛を連れてるなんて当たり前じゃね? (?_?)

バッケン:2000年前はな。そうだったな。

ラム:護衛が少なくても問題がなかったようですね。それが変化した、ということでしょう。

プラン:そうなると、崩壊するのは戦線ではなく、日常だろうな。

シオン:プランはやっぱかっちょぶーなこと言うねぇ・・・みんな! ↓↓↓↓の評価ポイントを「☆☆☆☆☆」から「★★★★★」にしてくれると魔王を倒しに行く人が現れるかも! とにかく一度表紙のランキング目指してポイントくれくれなワケですよ! つまり月間10位以内へのランクイン! あ、感想には必ず目を通しておりますので返信はできてませんが作者に代わってシオンがお詫びしまっス! n(__)nぺこり。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ