聖女の伝説(77)
リンネ:考えてみたら~、ここに出番がない方が~、本編の出番につながるのかな~?
レオン:はっ!
シャーリー:そうかもしれませんが・・・・・・。
リンネ:マーズがあれだけ出てるんだよ~?
シャーリー:・・・・・・殿下の出番が多いのは、獲物だからでしょう?
レオン:獲物・・・・・・みなさんは第77話をどうぞ。
(エイフォン:獲物・・・・・・対等ではない、と? そんなことよりも『美味しい物』の話が気になる。いつかイエナ殿と訪れるためにも・・・・・・。)
マーズ脳筋王子は、外からではなく、中から現れた。
ということは、ハラグロ商会に来客……いや商会なんだから客は客なんだけど、買い物客とかそういうものではなく、いや、買い物もするのかもしんねぇけど、大事な話をしにきた、とか? そっち系の来客ってことか?
いつもの文官と、王国でもっとも強いとされる、辺境伯領の最強騎士も一緒だ。王国最強よりもレベルが高いヤツを見つけたから姉ちゃんは首かしげてたけどな。
おれは文官の方を見る。
「直答をお許し頂けるので?」
「殿下、直答を許されますか?」
……面倒臭いけど、これも手順だ。相手は王族。脳筋だとはいえ、あくまでも王族。ここは学園ではなく、おれは学生でもない。名乗ったことも、名乗られたことも、言葉を交わすことを許されたこともない相手だ。あっちは王族だからな、好き勝手できるんだろうけど、こっちはそうはいかない。名乗られ、名乗り、言葉を交わすお許しが必要だ。
「……ふん。独り言に返答などとバカバカしい」
……えええ? 問い掛けてきたんじゃねぇのかよ!? あれが独り言!?
「この程度の護衛では、聖女が決闘を逃げるのも当然よな」
あ、これ、煽られてる?
おれに対する煽りが入ってるよな?
なんでおれを煽るんだ?
………………そうでした。初対面の入学式でいきなり斬るとか言って前に飛び出したのはおれでしたね、はい。確かに。あれは煽り耐性なしに見えるわな。
姉ちゃんの護衛を煽って脳筋マーズ側がしたいことって、何だろうか。煽られたおれが挑発に乗って剣を抜く、とか……いや、偶然出会ったんだよな? 作戦とかマーズらしくねぇし? あれ? 単にムカついて言ってるだけとか?
「決闘の代理人が弱ければ、決闘には当然、応じられんものだ」
あ、さいですか。
単なるムカつきの八つ当たりなら、聞き流すだけっス。
ていうか、ウチの姉ちゃん、決闘するなら代理人なんて使わないっスよ。残念ながら。
「我が護衛は王国の最強騎士。決闘となれば必ずこちらが勝つ。聖女が望む条件とやらが掴めればそれで全てが決まる」
へえへえ。さいですか。
たかがレベル17で最強騎士ですからね。ウチの村ならユーレイナ以下ですけど何か問題でも?
「まあ、聖女が我が婚約者となったら、そなたごときは護衛として連れていく価値もない。噂の『ケーニヒストルの竜殺し』でも護衛にしておればいいものを……」
……わあお。その噂、流れてんのかよ。
「殿下、そのくらいで。次へ参りましょう」
王国最強の護衛騎士のおじさんがそう脳筋マーズに声をかけ、ちらりとおれの方を見た。
その視線にはなぜか申し訳なさを感じた。
あれ?
なんでだ?
「ふん……」
脳筋マーズが歩き去る。
長々と独り言をしゃべってたけど、きっと友達いないんだろうな、あいつ。
デートの最後になんかケチ付けられた感じだけど、まあいいや。
とまあ、デートの日の夜の屋敷で。
目の前には立たせたユーレイナ。
「それで、姉上はどこに?」
「答えられぬ」
「……ユーレイナ? 雇い主が誰か、わかってないのかな?」
「わかっている。私の雇い主は子爵さま、アインさまだ」
「なら……」
「ですが、答えられぬ」
「なぜ?」
「……アインさまに教えてはならない、と。イエナさまに厳命されている。それでも、アインさまは私にその答えをお求めか?」
「く……」
「イエナさまの厳命を破れ、と?」
「む……」
「お答えできない理由はおわかりか?」
「……わ、わかった」
……おれが姉ちゃんには逆らえないってユーレイナのヤツ~っっ! いや、姉ちゃんがここまで仕込んだんだな? ユーレイナが自分でできるはずがない。
「せめて、誰と会ったとか……」
「答えられぬ」
「どんな話をしたとか……」
「答えられぬ」
「何を食べたとか……」
「今日はピザをお食べになったな」
「そこは答えるのかよ!?」
「……直接、イエナさまとお話なさればいいだろうに、アインさま?」
「直接話すと、今日のデートを根掘り葉掘り聞かれそうなんだよなぁ……」
「さすがはイエナさま。そこまで全て読み通りとは……」
……つまり、それも含めての秘密の作戦ってことか?
いや、どうせおれが一言も何も言わなくても、ヴィクトリアさんとかリンネから駄々洩れだけどな? 駄々洩れだけども!
姉ちゃんの根掘り葉掘りは、その瞬間の微細な感情の動きまで追究してくる感じがけっこー苦痛なんだよ! 精神的に! めっちゃくるんだよ!
恥ずかしくなるんだ! 赤くなってかわいいわね~、とかからかいながら! そんでちょびっとヤキモチ妬くんだぞ? そこはかわいいぜ姉ちゃん……。
ああもう! とにかく姉ちゃんが何をやっても、最終的にとことんまで守ればいいんだろ!?
………………そんなことを思ったこともありましたね。
あれからおよそ2か月。
赤の新月を迎え、ケーニヒストルータに帰還していたヴィクトリアさんが侍女として聖都に戻ってきた頃。
姉ちゃんと第三王子マーズの、婚約を賭けた決闘が成立したのだった。
シャーリー:なぜ、なぜ、アインはデートを・・・・・・。
リンネ:まだそこ~、引きずってるの~?
シャーリー:アインのことをもてあそんでるのですか?
リンネ:さあ~? ん~、シャーリーは~、まだアイン義兄さんを待つつもりなの~?
シャーリー:必ず迎えにくるって、言ってくれました!
リンネ:なら~、信じて待てばいいのに~、二人の恋が気になる方は~、↓↓↓↓の評価ポイントを「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてね~! どうか~、お願いします~!
(レオン:ブクマ、感想、そしてレビューも、お待ちしてます! 作者に第4章のプロットを作らせましょう! え? 別にもういい。飽きてきたと? なぜだ!)
エイフォン:(そんなことよりも決闘の話だ!? なぜ婚約を賭けて決闘が・・・・・・?)




