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聖女の伝説(62)



シャーリー:では、裏切り者エイフォンへの刑罰を決定します。

リンネ:終身禁固刑かな~。

レオン:鞭打ち100打とか!

シャーリー:二度とこの空間に戻れない刑はどうでしょう?

レオン:・・・・・・。

リンネ:・・・・・・。

レオン:シャーリーは本気だ!?

シャーリー:出番をもらっておいて、またここに戻りたいとか、ずるいと思いませんか?

リンネ:・・・・・・・・・そうかもね~(汗)。

エイフォン:やあ、みんな。元気にしてたかい?

レオン:逃げろ、エイフォン! ここに来ちゃダメだ! あ、みなさんは第62話をどうぞ。







 ほとんどの新入生が座席を決めた頃に、女聖騎士がやってきた。


 見習いではない、聖騎士だ。ただし洗礼での『聖騎士』ではなく、大神殿の聖騎士団の聖騎士だ。ややこしいな、もう。


 対応はユーレイナが行い、それから姉ちゃんにつなげる。場合によってはユーレイナが追い返すこともあるけどな。今回は、目通りを許すパターンらしい。さっきまでのケーニヒストル侯爵領関係者だって、エイフォンくんという紹介者なしでは、姉ちゃんにあいさつさせてもらえないのがフツーだ。


「聖騎士団、学園警備担当部隊となりましたアクセラ隊の隊長を務めます、リリスと申します。偉大なる太陽神と月の女神、そして4柱の自然神の、指し示したる道の上にて、ケーニヒストル侯爵家ご令嬢、アラスイエナさまにお目通りかないましたこと、大変嬉しく思います」


「神々のお導きにより、リリスさまとお会いできましたこと、嬉しく思いますわ」


 姉ちゃんはにっこり笑った。


 ちょっと気に入ったみたいだ。たぶん、『聖女さま』って言わずにあいさつしたからだろうと思う。


「私どもアクセラ隊はユーグリーク枢機卿の命により、学園内の警備にあたります。生徒数がこれまでよりも多くなったため、このような配置がされました」


「あら、猊下の……」


 ここで、リリスという女聖騎士は声を落とす。


「……はい。アラスイエナさまは護衛を必要とされていないとユーグリーク枢機卿は判断され、私どもに学園内の警備のみ、命じられました。学園内のいたるところに配置されておりますので、御目汚しではございますが、どうかお許しを。また、何かございましたら、いつでも耳目としてお使いくださいますよう」


「……猊下のご配慮、感謝いたしますとお伝えください」


 ずらずらと姉ちゃんについて回るような護衛ではないけど、まんべんなく学園内に警備として立ってるから、ちゃんと聞いたり見たりしてますよってことだな。


 まあ、要するに、人間監視カメラってことか。


 姉ちゃんが貴重な『聖女』という存在である以上、何かに巻き込まれる可能性は高い。場合によっては冤罪をなすりつけられるなんてことも考えられる。だから、耳や目として必要があれば使っていい、ということなのだろう。


 …………同時にこっちのことも監視されるんだけどな。









 クラス全員が席についてしばらく雑談などがあってから、担当の教師である神官がやってきて自己紹介をする。


 それから入学式の会場へと移動だ。


 もうひとつのクラスが先に入場することは説明があったので、姉ちゃんのクラスが入れば入学式が始まる。


 入学式の会場では先に入っていたもうひとつのクラスから視線が向けられる。


 もちろん、おれたちも向こうを見る。


 その中にひときわがっしりとした体格で背も高い男性がいた。


 14歳となっておれもずいぶん成長してきたけど、それよりも背が高い。だいたい今、175センチぐらいだから、180センチはフツーにありそうだ。肩幅とかは負けてる。


 あ、うん。


 初対面だけど、よく知っている姿、そのものだ。


 リンネの時みたいに、思わず名前を口に出すようなヘマはしない。





 フリートライナ・マルザウィル・バイルドンテ・ド・トリコロニアナ。親しいものはマーズと呼ぶ。





 トリコロニアナ王国の第三王子にして、『まっすぐ脳筋』とアダ名をつけられた、猪突猛進キャラ。


 決めゼリフは「考えるのはオレの役割じゃないな」というなんとも情けないような潔いような、そんな男だ。


 どんなモンスターにも先頭を切って挑み、いかなる攻撃も受け止め、耐え抜く。強靭な体躯と強靭な精神をもって勇者を守る分厚い壁役。


 レオンの勇者パーティーのタンクだ。


 精神的にも極めて頑丈で、「ははは、そう照れるな、リンネ」とにっこり笑顔でリンネの拒絶を照れていると常に受け止め、まっすぐな親愛の情をひたすら垂れ流す。


 アニメでもゲームでもクリア後、つまり魔王の討伐後のエンディングは割とあっさりしていたので、くわしい後日譚はわかんねぇんだけど、たぶん、リンネと結ばれる流れなんじゃねぇーかな、と思う。


 リンネは「触らないでください」とか、「あなたを好きになるとかありえません」とか、けっこー拒絶してたんだけど、『まっすぐ脳筋』は全然ブレねぇからな。なんか、最後の方はほだされて、受け入れてるようなイメージだったしな。


 そんな男キャラ、フリートライナ・マルザウィル・バイルドンテ・ド・トリコロニアナは、そのまっすぐな姿勢にぴったりのジョブ『重装騎士』……だった。


 なんで『だった』って過去形なんだって?


 それ、聞いちゃうかな?





 ………………なんでか知らねぇけど、まっすぐ脳筋のジョブが『聖騎士』になってんだよな。知らねぇけど! ハラグロからの報告書読んで絶叫したくもなるわ! なんでリンネの火の神系魔法といい、マーズの『聖騎士』といい、この世界の流れが大きく変わってんだよ!? いや、わかってるよ? わかってるけどな? わかってんだけどさ? わかってんだけども!!





 なんでよりによって『聖騎士』なんだよ!?


 ハンパなんだよ『聖騎士』は! タンクやるには堅さがハンパもハンパ、中途半端なんだよ!? しかもゲーム『レオン・ド・バラッドの伝説』だと回復魔法は自分にかけられないんだからな? 自己修復しながらタンクができるワケでもねぇ。タンクの星は『重装騎士』なの! なんでマーズの奴は『聖騎士』なんて間抜けなジョブになってやがるんだよ!? 『聖女』はいねぇしタンクは『聖騎士』なんぞになっちまうしレオンの勇者パーティーどうすんだよっっ!?


 しかも姉ちゃんの後ろにいるリンネじゃなくて、姉ちゃんのことガン見しやがってこのヤロウ?


 テメーはリンネ一筋じゃねぇのかよっっ!?


 くっそ、こいつ、絶対にシメる…………。








レオン:出た、マーズだよ! やっと出た!

リンネ:あ~、出たね~、出なくてもいいのに出たね~、ここまで出さなかったクセに出したね~。相生さんの感想欄を荒らしてもいいよね~・・・・・・。

シャーリー:・・・お知り合いだったのですね?

リンネ:知らない方が良かったんだけどね~・・・シャーリーは~、マーズのこと知ってたんだ~?

シャーリー:自国の王子のお一人ですから、一応、養女とはいえ、伯爵令嬢なので。あ、安心してくださいリンネさん、王家からの婚約の申し込みはお義父さまが拒絶なさいました。

レオン:そんな裏設定が!? ・・・ではみなさん、↓↓↓↓の評価ポイントを「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてください! ぜひとも、ぼくの出番を願ってクリックを! ブクマも、感想も、レビューも、待ってますから! よろしくお願します!!

リンネ:それ~、婚約しててくれた方が~、安心だったよ~。

シャーリー:当然、お断りです。実は、辺境伯家は王家とうまくいってないのです。

エイフォン:(ところで、私はいつまで隠れていればよいのだ? 再登場して次の話でもう出番なしだったのだが・・・・・・。)




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― 新着の感想 ―
[一言] 軟らかく成ったってことはワンパン即死の可能性上がったってことだから 邪魔なら事故に見せかけてゴニョゴニョしちゃえば良いんだね? さらっと辺境伯家と王家がうまくいってないとか不穏な情報が………
[一言]  スラーが重装騎士だし来年レーナ達の誰かが聖女ならレオンの伝説は立て直せるはず?
2020/11/13 01:12 通りすがりの人
[一言] 姉ちゃんが聖女だから、そりゃガン見されますよ。こっちは何で聖騎士になってしまったんでしょうね。
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