忘れ物
感想が増えたぞ!
ありがとう!
「よし、確認作業完了…後は持ち帰るだけだな」
研究所で作業で『リンクス』の作業を終える。
「んん、終わったか?」
「ああ、ついでに所長の仕事も道筋は付けられたと思うよ?」
なぜ再び父の勤める研究所に来ているのか、理由はとてもシンプルだ。
『アライン』系インターフェイスは、安全性の確保の為に旧来のPCとの接続は有線で行われる。追記するなら、初めての接続に限られる。
そんな理由から、再び研究所に足を運ぶ事になった。
「それは助かる。昨日は怒られてしまったからな」
研究所の所長は国から無理難題を吹っかけられる役職なので、ストレスが溜まっているのだろう。
前にデータの送信速度が遅いから、回線を直接繋げとかバカ丸出しな要求が来たくらいだ。国立の研究所が外部から接続できるネットワークを利用できるわけがないのだが、彼等はハッキングの恐ろしさを知らないのだろう。
「大変だよね…所長も」
ちなみに研究所内のネットワークは自己完結しており、外部とのやり取りが出来ない。基本的にデータを持ち出すことが出来ない仕組みをしている。
データを提出する際には、研究所支給のノートパソコンなど専用の端末を用いている。
この端末は常にウイルス、ハッキングに対し監視システムが働いている安心設計で、使用するには所員のIDカードとパスワードが必要になる。入力を一度間違えただけでデータが消去される優れものだ。
「接続の方は…よし、承認許可出たぞ」
今回の様に所内での研究が難しい場合は、所長に研究の申請を出して許可を貰う必要がある。
普通は滅多に申請が通らないが。
「今日はもう帰るよ」
「ああ…私は、モニターの表示とか設定をしないとな」
申し訳なさそうに眉を顰める。
「いいさ、来週にはひと段落するんだろ?」
「予定ではな…結果次第だ」
良い結果が出ると良いなっと言葉を残し研究所を後にする。
♪
玄関のドアを開けると丁度帰宅したばかりの楓がいた。
「お、楓」
「兄上…そのお持ちの物は!?」
「目聡いな…そうだ。『リンクス』だ」
楓の目が『リンクス』から離れない。
「これは夜な?」
「う、うん」
♪♪
ピンポーン。
「はーい」
訪問者の姿を確認して扉を開ける。
「すいません、藤堂仁様と藤堂七海様のお宅はこちらですか?」
「はい、そうです」
「郵便物を…」
受け取り証明の判子を押すと荷物を受け取る。
「では、失礼します」
玄関の扉を閉めると荷物を叩いた。
「忘れてた…」
♪♪♪
「それで『リンクス』が余っちゃったのねー?」
「二台余ってしまった」
「テスター上位者に『リンクス』のプレゼントですか…」
母、姉、妹を交え、余ってしまった『リンクス』の相談をしています。
もちろん転売は禁止されているので、売れません。
「兄上と父上それからお姉ちゃんが『アライン』で、私と母上、椿ちゃんと尾音ちゃん。そしてお姉ちゃんのご友人二人に『リンクス』…あと一つで二桁ですね」
「お父さんも私用扱いじゃないから、『リンクス』を使うんじゃないかしら?」
「β版のオマケで貰ったのは、父さんの研究用には回せないだろうから、姉さんか楓の友達にはそっちを使ってもらおうか?」
「仁に友達がいれば、プレゼントも出来たのにねぇ?」
「うぐ」
ボッチライフを満喫していたのは確かだが、親に言われると何かキツイ物があるな。
「取りあえずとって置けば?」
その一言で、その場話し合いは解散となった。
ちなみに今日の晩御飯は、ハンバーグでした。
後日、自宅に遊びに来た椿ちゃんと尾音ちゃんは、モニターの事を快く引き受けてくれた。とは言え研究データを取る『リンクス』二台健在であり、なんとかテスターを確保しなければ、父の責任になってしまう。
そろそろ、ゲーム回書きたいですね…。




