魔人類の戦いはこれからだ
本を代表とする重要な企業や役所は『魔人類』に支配されていく。
一般の人が弓たちを救世主と無邪気に崇める陰で、日本は深く静かに魔人類の手に落ちつつあった。
「そんな……」
明から今日本で起きていることを聞かされて、京子は絶句する。
「……ねえ。何がおこるの?何が正しいの?わからない……。私にはわからないよ!」
ついに心の限界を迎えたのか、京子は声をあげて泣き続けた。
「簡単なことさ。魂を売れ」
「魂を?」
うつろな目をして聞き返す。
「ああ。お前たちが俺たちに協力したら、その体も治してやる。俺にはまだ現世での協力者が必要なんだ」
真正面から迫ってくる明に、ついに京子は屈服した。
「わかりました。あなたたちに魂を売ります」
それを聞いた明は、優しく京子の額に手を触れる。
「よし。今日からお前は俺のものだ。俺に従え」
明が手を触れると、京子を拘束していた緑色の触手が枯れていき、彼女は元の美しい姿を取り戻す。
「すべては……あなたたちに従います」
京子は明の前で膝を折って、忠誠を誓う。
正志から始まった魔人類による人類の侵略は、こうして次の段階へと進められていくのだつた。




