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戦闘

都内のある高校

「ふははは、俺たちは魔王である吾平正志様の意思を受け継ぎ、お前たちに救いを与えてやる。氷河期が来て、大破滅により絶滅する人類達よ。心して我等が救いを受け取るがいい。我が名は魔人類、ベルゼブブ」

校庭に出て、報道陣にアピールしていた男が叫ぶ。

その姿は蠅を模した黒い鎧に覆われていた。

「……あれがあなたたちのお仲間?ちょっとお下品というか……」

テレビを見ていた京子にこき下ろされる。

「……やっぱりそう思うか?しかし、あいつら楽しそうたなぁ。ベルゼブブって何だよ。お前の名前は田中だろ!襲撃班の連中、ノリノリだな」

明は笑いながらまでテレビに向かって突っ込む。

「襲撃班ですか?」

「ああ。ああやって悪乗りして暴れて、世間にアピールする役目のやつらさ。俺もあっちにすればよかったかな?」

明はちょっと羨ましそうに、テレビの中の仲間たちを見ていた。


テレビの中ではベルゼブブを名乗る田中が高笑いをしていた。

「バカな真似はやめなさい!椎野弓さんがこちらに向かっているぞ!」

ベルゼブブが設定したフィールドの外から呼びかける警察だったが、彼は恐れ入らない。

「そうか、なら一気にしないとな。『進化プログラム、強制インストール』」

ベルゼブブの体から黒い霧が沸き起こり、学校を包んでいった。

「あれは何ですか?」

「正志様が使っていた進化プログラムの改訂版。あれから色々仲間たちと考えて、男だけに発動するように調整した。これからすごい事がおこるぜ。みてみろよ」

正志の言葉にテレビに釘付けになる京子。

黒い霧に覆われた男子生徒たちが苦しそうに倒れる。

そうしてしばらくすると、ゆっくりと起き上がった。

「キャァァァァァァァ!!!!」

「こ、こないで!あっちにいって!」

女生徒たちが逃げ惑う。

男子生徒の殆どは怪物と化していた。

ある者は髪が蛇のようになり、うごめき威嚇する。

目が一つになり、髪の毛が抜けた一つ目小僧。

全身に鱗が生えた半漁人のような姿をした者もいた。

「タ、タスケテ……」

「いや!あっちに行け!」

女生徒に助けを求めてすがり付こうとするが、蹴り倒される。

女子生徒たちは学校の外に逃げ出した。


「こ、これは…最悪のテロリスト、吾平正志の行ったテロの再現です。しかも、今度は同時多発テロが行われています」

キャスターは画面の中で絶叫する。彼の目の前で起こった悲劇が、都内20箇所で同時に行なわれている。

日本中が再び起こった悪魔によるテロリズムに震撼した。

「よっしゃ!上手く行ったな。あとは弓たちにに任せればいいぞ!」

テレビの前で悦にはいる明。


それに対して、動けない京子は涙を流していた。

「……私たちに対する復讐だけでは足りないんですか?あんなに多くの人が苦しんでいて……」

「まあ落ち着け。まだショーは始まったばかりだから」

明は京子星を相手にせず、再びテレビに視線を向ける。その時、豪華な車が学園に入ってきた。

「あ!ただ今、椎野弓さんが現場に到着しました!」

信者から献上されたリムジンに乗って現場にやって来る弓。

車から降りると、全国の視聴者が見守る中、静かにステッキを掲げた。

「女神リリスよ!私に力を!」

祓串から清らかな光が発せられ、弓の姿が見えなくなる。

光が薄れると、そこに純白の巫女服を纏った聖巫女の姿があった。

「弓様!」

「私たちの救世主!」

「悪魔達をやっつけちゃってください!」

保護された女子生徒が叫ぶ。

弓は美しい微笑を浮かべると、悪魔を退治するために学校に入っていった。


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