魔人類(デモンズ)覚醒
正志によるテロリズムから二週間後。
人里はなれた場所でうごめく影があった。
あるものは人里はなれた山中で、あるものは民家の軒下で。
醜い蛹の殻をやぶって筋骨隆々とした姿が現れる。
正志からソウルウイルスを注入され、適応できたものは、己の肉体の改造を終えようとしていた。
その数は合計で40人。
彼らが正志と同等の力を持つ、新世代の魔人類だった。
「皆、無事に進化できたようだな。それじゃ、こっちに来てくれ」
中央に鎮座しているひときわ大きな繭が破れ。中から一人の少年が現れる。
死んだはずの吾平正志だった。
「正志さま。復活なされたんですね」
「ああ。万が一に備えて、俺の細胞の一部を地中に保存して、クローンを作っておいた。そのクローンに魂を宿らせて復活できるようにな」
正志はニヤリと笑って、魔人類たちを見渡す。
「では、いくぞ」
彼らは正志の思念波によって、精神だけが別の世界に誘われる。
そこは正志によって作られた仮想世界「エデン」だった。
「当分、ここを俺たちの組織の本部とする。ここで情報交換に勤めよう。ここに来れるのは俺たち魔人類だけだし、実体がないから見つかりっこない」
彼らはお互いに頷きあう。
彼らがいるところは、まるで楽園のように美しい世界だった。
「正志さまに従い、人類の救済を!」
「ふふ。でもこんなキレイな世界じゃ、雰囲気でませんよ。こういうのじゃないと」
進化プログラムを受けた少年の一人が念じる。
すると、いきなり世界が変わり、草一本生えない荒涼とした世界に変わった。
「悪魔がすむ世界にふさわしいだろ。ふふふ」
いつの間にか彼らの服もガイコツを模した服に変わっている。
「いや、悪の組織だったら、こんな感じがいいだろう!」
全身黒タイツで目と口だけあいていて、胸に『悪』と書かれている服にチェンジする。
「さ、皆で叫ぼう!『イィーーーー』」
「「「イィー-------------」」」
「気持ちイーーーーー」
全員が悪乗りして大声で叫ぶ。
「……ちょっと古くないか?こういうのはどうだろう」
別な少年が念じると、彼らの服装が黒く輝く鎧に変わる。
それぞれ伝説の悪魔を模した姿をしていた。
「うん。地獄からきた悪の戦士にふさわしい。『魔鎧』と名付けよう」
「どうせなら改造怪人がよくないか?」
「素っ裸にパン一でってのは?」
「それなら顔だけ隠してモロだしとか?」
それぞれ好き勝手なことを言っている。
「ああもう。一応弓たちに対抗して、何か悪っぽいものを考えてくれるのはわかるけど、変態方向はなしな」
正志が意見を取りまとめた結果、悪魔を模した黒い鎧を作り出して着ることに決まった。
「いいねえ。『魔人類』の軍隊だから、『魔戦士』と名乗るか?」
「ノリノリだなぁ」
「俺らになるようなやつらって、高確率でオタクで中二病だから、ぴったりなんだよ」
彼らはこれから起こることを想像して、ウキウキしている。
「それじゃ、半数は学校を攻撃して、俺たち『魔人類』の仲間を増やせ。もう半数は日本を支配して、『シェルター』の建設に力をつくせ」
その場で二つのグループに分かれる。
「よし、いくぞ!」
少年たちは全国に散っていくのだった。




