最後の審判ゲーム第二章
正志がゲームを開始して30分。周囲にはこのイベントを見ようと、次々とたくさんの人が集まってくる。
東京69のメンバーたちがプリントされている法被をきているファン達。
どこか暗い雰囲気を纏っている少年達。
派手な格好をしているヤンキーのような少年たちもいた。
「さがって!危険だから入らないように」
警官たちが必死に押しとどめているが、興奮した彼らは引き下がらなかった。
「ホシたん。僕らが今行くよ!」
「あんな奴、俺らにかかりゃ簡単だ!みんなの力をあわせて、69を助けるんだ!」
盛り上がるファン達。
「……僕はもう、今の世の中はイヤになってるんだ。助けてほしい……」
「僕も貴方みたいな力がほしい。苛められて苦しいんだ。復讐したい……」
「俺たちの救世主だ!彼に従い、俺も絶対に進化してみせる!」
正志に忠誠を誓う周囲に虐げられていた少年達。
解放された人質たちからのインタビューにより、正志のことが詳しく報道されていた。
生徒達の大部分は必死に苛めや今までの悪事を隠そうとしていたが、巻き込まれた生徒たちからの証言や、苛めに加担した事を後悔した生徒がすべてを告白したため、全国の苛められている少年達は正志に同情し、彼の信奉者になった。
今も全国からマジテレビに集まってきている。
他にもこれを機会に目立とうとするヤンキーたちなどもおり、現場は非常に混沌としていた。
「こ、これ以上集まってきたら、無秩序になだれ込んで収拾が付かなくなります」
井上学園からマジテレビに来た木本警部は、連日の事件で疲労していたが、それでも使命に燃えてテレビ局を包囲していた。
「くそ……どうすれば。え?」
木本警部はテレビ局の玄関をみて目を丸くする。
そこには、笑顔を浮かべた正志が出てきていた。
「全国の皆様!ごらんになれますか?テロリストの吾平正志が出てまいりました!」
その姿を見て他局のアナウンサーが絶叫する。
既にインターネットなどで吾平正志の名前は広まっており、他局は実名で報道している。今の正志は史上最悪のテロリストとして日本一有名になっていた。
「外を包囲している警官に告げる。おとなしくこいつらを通せ。我が信者たちだ。歓迎してやらないとな!」
正志はマイクを通して大声で告げる。
「ば、ばかな!これだけ興奮した奴等に取り巻かれてみろ!八つ裂きにされるぞ!」
木本警部がそう言い返すが、その声は熱狂した野次馬にかき消された。
「そうだ!中に入れろ!俺たちが相手になってやる!」
「69たん達に酷い事しやがって!」
ファンが興奮する。
「正志さま。今お側に参ります」
「俺たちも進化させてください!俺を苛めたアイツらに仕返ししたいんです」
正志を信奉している全国から集まった虐げられた者がいう。
「おい!男だったらタイマンで勝負つけようじゃねえか!」
「てめえみたいなゴミ、俺の拳でぶっころしてやんよ!」
「怖くて俺らと戦えねえってかぁ?新人類さんよぉ」
ヤンキーたちが罵声を浴びせて挑発する。
彼らを見渡していた正志だが、そのなかに一組の異質な人間を見つけてにやりとする。。
その男は中年だががっしりとした体つきをしており、背中に太った少女を背負っていた。少女の右足から下は切断されたようになくなっている。
「ふむ。やっと来たか。まずはアイツラからしようか。周りの奴等、動くな」
正志が手を差し延べると一筋の光が発せられ、親子の周囲の人間が動けなくなる。
「つ、連れてきたぞ。娘を治してくれ!」
正志を運んだパイロットが叫ぶ。
「よーし。とりあえず約束を果たそう」
カメラを通して全国の視聴者が見守る中、正志の下に駆け寄よろうとする二人。
「まて!親父の方は入るな。娘だけでこい」
正志の厳しい声が響き渡り、パイロットは硬直した。
「だ、だが娘はこの足だ」
「知るか!救済を持てめるのなら、自力ではってでもこい」
正志は冷たく言い放つ。
「お父さん。おろして。私、行ってくる」
「し、しかし……」
「お願い」
娘の言葉にしぶしぶと地面に降ろす。
娘は非常に太っており、芋虫のように地面をはって進む。
「おい!あれなんだ?芋虫がはっているぜ!」
周囲のヤンキーたちがはやしたて、嘲笑う。
その屈辱に耐えながら、娘は正志のところにたどり着いた。
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