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暴露

ものすごい勢いで「イーブル」のカウンター数が上がっていく。

「皆様は私を「悪」だと判断されているようですね」

この結果を予想していたのか、正志は平然としている。

「このように、他の生徒や教師たちもあなた方が自分の意思で「ジャッジ」して票を入れてください。彼らが今まで何をしてきたか、包み欠かさずすべて知った上での公平な判断を希望します。投票できるのは人質一人につき一回だけです」

正志が話している間にも、正志の悪行カウンターはどんどん上がっていく。

『善行カウンターが悪行カウンターを1000件上回った時点で、その人質を解放しましょう。彼らが助かるかどうか、すべてあなた方の手にかかっています」

正志は馬鹿丁寧にお辞儀をする。

「明日の12時の時点で悪行カウンターが善行カウンターを上回っていた場合、その者には残らず罰を与えます。私以外はね」

正志が邪悪に笑うと、彼の悪行カウンターの増加はいっそう激しくなった。

「さて、人質全員には、これから一日今までの行為を弁解する時間が与えられます。一人ひとりに掲示板が与えられ、誰でも書き込めるようになっています。本人の書き込みは色で判別がつくようになっています」

そういうと、画面に掲示板が現れる。その一番上には残り時間が表示されていた。

正志は自ら最初の書き込みをすると『私はテロ事件を起こしたことを後悔していません。これは大いなる救いの為に必要なのです』と赤い字で表示された。

それにより、悪行カウンターはますます増えていく。ついに一万にも達した。

その掲示板にも「馬鹿!」「人殺し」などの罵声の書き込みがどんどん現れていった。

「おやおや、困りましたね。仕方ありません。弁解するとしましょうか」

そういうと、正志は新たな書き込みを始める。

『私に『悪行投票』をした人は、来るべき大破滅において救いは与えられません。万が一、私がただの狂人ではなくて本当の救世主だった場合、あなた方はなすすべもなく地獄に墜ちるでしょう』」と書かれていた。

悪行カウンターの数字の伸びが緩やかになる。

「ただの小僧にこんな日本中を巻き込むような、大それたテロ行為ができると思いますか?私はこれから沢山の奇跡を起こし、自らが救世主であることを証明しようと思います。善悪の判断は慎重に行ったほうがよろしいかと思われます」

正志がそういった途端、悪行カウンターの増加の数字がどんどん減り、ちらほらと善行カウンターの数字が入り始めた。

「皆さん、慎重な判断をされているみたいで。誠に結構です。それでは、『最後の審判』を始めます」

正志がそういうと画面は選択画面に戻る。次の瞬間から、日本全土を巻き込んだゲームが開始されるのだった


1-Aの生徒たちは、いきなり送られてきたメールを見て驚く。『最後の審判ゲーム』に自分の個人情報が載せられていたからである。

今まで正志に対して行った苛めや嘲り、仲間はずれ、濡れ衣や誹謗中傷などが、本人視点で動画の形でネットに流されていた。

「なんなんだよ!これ!」

一番正志を痛めつけていた工藤啓馬は、自分の欄を見て焦る。今までおこなった悪行が掲載されていたからであった。

画面の中の自分は、実に楽しそうに正志を殴り、彼が孤立するように皆を扇動し、あることないこと罵声を浴びせる。誰から見ても自分は悪人であるかのように描かれていた。

それを見た人間がどんどん掲示板に書き込んでいく。

「ありえねえ。マジ鬼畜。俺イーブルに一票入れるわ」

「幼稚。ストレス解消の為に無実の奴をいたぶっていたのかよ。イーブルに一票」

「俺も学生時代こいつと同類に苛められたわ。イーブルに入れる」

「死ねよ。こんな奴生きている資格ねえよ」

そんな書き込みにつられ、どんどん悪行の票が伸びていく。

「や、やべえ!」

焦った啓馬は、とりあえず正志を誹謗中傷して話をそらすことにした。

「えっと……吾平正志は以前からクラスの和を乱して、女子に嫌らしいことをしていたから俺が注意していただけ。奴のいうことは全部デタラメだ」

掲示板に赤字が書き込まれる。次の瞬間、掲示板の書き込みは激しさを増した。

「嘘ついてんのはどっちだよ」

「はあ?明らかにお前が率先して苛めているじゃん」

「暴力ふるっておいて注意とかないわー。何様だよ(笑)」

そのような書き込みで叩かれて、啓馬の頭に一気に血が昇る。

「こういう書き込みする奴は、吾平正志と同じ嫌われ者(笑)不細工で性格が悪いから、あんな犯罪者の肩を持つ。苛められていた奴」

感情のまま書き込みをすると、よりいっそう啓馬の掲示板は炎上した。

「嫌われ者上等。お前なんかに好かれたくない。イーブルに一票」

「苛められていたけど何か?お前も犯罪者だろうが。イーブルに一票だな」

「反省せずに開き直るって。生きる価値なし。イーブルに一票」

どんどんと悪行側に票が入っていった。

「てめえら!」

ますますヒートアップして、掲示板で舌戦を繰り広げる。それにつれて、どんどん啓馬の悪行票は多くなっていった。


https://kakuyomu.jp/works/4852201425154878348


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