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第七十一話 論功行賞 実弟

週一更新もギリギリで間に合いましたが、来週も忙しそうです。

皆が帰ってきたので、落ち着いた頃合いを見計らい広間に集めた。

新たに帰属した諸将も下座に並んでいる。


「皆々。此度は誠に大儀であった!」


俺の言葉を受けて、一斉に平伏する家臣たち。


ここは村中城改め、佐賀城の大広間。

最後に此処で集まったのは、筑後に落ちる前。

土橋加賀に唆されて踊った諸将に囲まれて籠城していた時だった。

もう一年以上経っている。


帰ってきた。

ここにきて、真にそう実感する。


今から行うのは、一連の流れに対する論功行賞である。

大まかな枠組みは、既に執権の二人や家老たちと打ち合わせ済だ。


考え、調整したのは実務職を奉行や家老たち。

それを伝え、下命するのが俺の仕事。


二年もの長きに渡り、俺たちを支え・働いてくれたのだ。

大いに報いてやらねばならない。


「では、今より論功行賞を行います。

 名を呼ばれた方は御前にお出で下さい。」


司会を務めるのは家老の江副安芸。

筑後から戦場までずっと共におり、最近はこういった仕事を割り振りやすくなった。

上級家老であることから、立場的にも申し分ないしな。


「龍造寺新次郎様!」


「ははっ!」


まずは弟の新次郎。

俺の名代として別働隊を率い、三根郡を抑えた上に養父郡と基肄郡を平定した。


「新次郎。北部の平定、大儀であった。」


「いえ。兄上の御為ならば、いくらでも。」


互いに笑みを交わす。

立派になったものだ。


「新次郎。そなたには私の一字と新たな名を与える。

 以後、安房守 信周のぶちかと名乗るが良い。」


「ははぁ!ありがたき幸せに存じます!」


新次郎改め安房守には、今後俺が率いる龍造寺家の一門筆頭となって頑張って貰う。

よって、今までは水ヶ江の西分家に過ぎなかったが、今後は佐賀の分家という立場になる。

要は水ヶ江と同格になるということ、格上げされるということだ。


「また、安房守には養父郡の郡司を任せる。」


「謹んで承ります。」


今回俺の領地となった場所は、東肥前六郡一帯である。

神代領の山内一帯と、神埼郡の小田領・小城郡の千葉領は除くが。


そこで、それらを管理するために郡ごとに“郡司”と“郡代”を置くことにした。

郡における守護と守護代のようなものだな。


「そして、だな。」


「はい。」


「新次郎、もとい安房守には嫁を取らせる。」


「は?」


「兵部!」


「はっ!」


俺の発言にポカンとしている安房守を差し置き、堀江兵部を呼ぶ。

堀江兵部には予め伝えていたので、間をおかず反応してくれた。


「安房守。」


「は、はい。」


「そなたは、そこの堀江兵部の娘・於凛を娶るがよい。」


「……は、あ。や、その……。」


「安房守様。不束な娘でございますが、何とぞ良しなにお願い致します。」


「あ、はい。……え?」


クックック。

すっかり慌てておるようだな、安房守め。


もとより彼らは互いに想い合う仲である。

更に俺という主命であり、既に決定事項なのだが。


突然すぎて処理能力が追い付いていないようだ。

政治・軍事においては素晴らしい能力を発揮するというのに、面白い奴め。


「「「おめでとうございます!!」」」


呆ける安房守を尻目に話は進み、大広間に集う皆は祝福の言葉を投げかける。

そこまでされて漸く、この面白い弟も状況を呑み込めたようだ。


「兄上、堀江殿、そして皆。ありがとう。」


今日一番の輝く笑顔が見れた。

これに惚れた家中の者は多い。

いやー、よかったよかった。


「婚儀の日取り等は後日、改めて伝える。楽しみにしておけ!」


笑いながら言ってやると、照れ笑いで返された。

うむ。

和気藹々としてて実に良いな。

何度も思うが、取り戻したという感じがとても良い。


* * *


ちなみに本来の順番とは異なるが、もう前に出てきてしまったのでやっちゃおう。


「岳父となる堀江兵部には、安房守の与力を申し渡す。

 よく支え、務めてくれ。」


「御意!!」


堀江兵部は安房守の岳父になるということもあり、この際安房守の与力とすることにした。

佐賀に詰める方は、堀江兵部の兄である堀江筑前に任せることにした。


* * *


「次に、龍造寺六郎二郎様!御前に。」


「承知。」


安房守の次は、同じく弟である六郎二郎だ。

まずは改名の儀となる。


「既報の通り、六郎二郎には大内左京より一字を賜っている。

 そこで、これより名を長信と改めよ。」


「御意にございます。」


大内左京大夫義長とは、直接矛を交える予定はない。

そのため、大内左京と和議を結んだ筑前の原田弾正の斡旋によりこうなった。


ほぼ傀儡とは言え、大内の名は大きい。

その辺りを加味した結果が、六郎二郎への偏諱ということだ。


しかし、身内とは言え公式の場で、俺が大内左京と呼び捨てにしても誰も問題視しない。

つまりはそういうことだな。


さて、偏諱の件は正確には報告であって論功行賞ではない。

嫡弟として、筑後での留守居をしっかりやってくれた褒美を与えねばならない。


「また、六郎二郎には神埼郡の郡代を任せる。頼むぞ?」


「はは!ありがたく、お受け致しますっ!」


武功という意味での功はないが、政治的な意味での功は大きい。

そのため、実務経験を積ませるために郡代の役職を与えることにした。


留守居とは違い、大役を任された自覚があるのか頬が紅潮している。

焦らずじっくり熟して欲しい。


尚、神埼郡の郡司には同盟者である小田駿河を充てる。

そして、いずれ六郎二郎の嫁を小田家から迎える腹積もりだ。


そんな感じで、新体制の整備を進めて行く。

これぞ、新しい龍造寺家の幕開けと言えよう。



何度かご依頼ご指摘頂いております、「人名一覧」の作成を進めています。

そして一旦の区切りとすべく、今月中の完成・投稿を目指しています。

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