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【メモリーバンク】異端者扱いされた俺が“量子の魔法”を使ったら世界が変わる――記憶もスキルも無かったけど最強になって行く。  作者: カイワレ大根
第7章

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第119話 偽りの核を暴け――量子視覚が示す一点突破

 魔導獣は霧を巻き上げ、**ズズンッ!**と地面を抉る勢いで跳躍した。

 唸り声が坑道に反響し、直線的な突進がリュークを狙う。


 視界は霞み、間合いを誤れば一撃で肺を焼かれる――

 それでもリュークの瞳には迷いがなかった。


(前脚の角度……踏み込みの軌道。

 重心が逸れている。次は――右から!)


 刹那、彼は身を沈め、足場を滑らせて回避。

 すれ違いざまに短剣を閃かせ、脇腹へ鋭い一閃を叩き込む。


 ズブゥ……ッ!


 刃は確かに肉を裂いたはずだった。

 だが、斬り口はすぐにどろりと液状化し、霧を吸い込むようにして再生していく。


(液状化……!

 霧そのものと同調して再生してる。

 普通の斬撃じゃ決定打にならない)


「再生系か……!

 しかも毒を霧に乗せて拡散してる!」


 リュークは跳躍して距離を取り、量子視覚で波形の揺らぎを追い続ける。


 その瞬間、ルミエルが魔術陣を展開。


「――プリズム・ブレイク!」


 詠唱の声に呼応するように、**ガキィンッ!**と空間が裂け、七色の断片が砕け散った。

 光が屈折して幾重にも乱反射し、霧を切り裂く光の爆片となって魔導獣を包囲する。


「グルァァァッ……!」


 魔導獣が咆哮し、甲殻の隙間を広げて**ブシュウゥッ!**と濃霧を噴き出した。

 視界を覆い、毒を含んだ霧が圧力を持って押し寄せてくる。


 さらに口腔からは**ジュルルゥッ!と音を立てて腐食性の毒液が飛散し、

 岩壁をジュウウッ……ガリッ……!**と焼き溶かした。


「エアーシールド!」


 ルミエルが即座に障壁を展開。

 透明な壁が、迫り来る霧と毒液を**バシィィン!**と弾き返す。


 その隙にシャドウファングが左側から疾風のように突っ込み、

 敵の尾撃を**ズガァンッ!**と紙一重でかわしながら咆哮を叩きつけた。


「グルァァゥゥン!!」


 咆哮が霧を震わせ、魔導獣の感覚を一瞬だけ乱す。


「今だ……!」


 リュークは短剣を逆手に構え直し、敵の正面へ斬撃を叩き込む。


 ――霧と毒の猛攻、光の乱射、咆哮のかき乱し。

 仲間たちの攻防が重なり合い、戦場のリズムを作り出していた。


 次の瞬間、シャドウファングがさらに踏み込み、**ズガンッ!と岩床を蹴り砕いて跳躍した。

 漆黒の爪が閃き、魔導獣の肩口をバキィィッ!と裂き飛ばす。

 紫の体液がジュッ……!**と煙を上げ、床に落ちた途端に石を焦がした。


「よし、効いてる……!」


 リュークが短く声を上げる。


 だが魔導獣も反撃に転じ、怒りに震えた尾が**ブオンッ!と空気を切り裂き、シャドウファングの体を狙う。

 シャドウファングはヒュッ!**と紙一重で身をひねり、尾撃をかわすと同時に横腹へ鋭い牙を食い込ませた。


「グルルゥゥッ……!!」


 噛み裂いた衝撃が核波形を揺さぶり、敵の身体が一瞬だけ硬直する。


「今よ、リューク!」


 合図と同時に、リュークは腰のポーチから小瓶を抜き取り、床へと叩きつける。


 パシィンッ!


 赤紫の煙が霧とぶつかり合い、逆流するように広がった。


「……干渉できる。

 やっぱり“波形”の同調が原因だな」


 毒素の流れが鈍った一瞬――

 魔導獣の脚が止まり、全身の動きがわずかに凍りついた。


 だが次の瞬間――霧の奥で、**ズズ……ズブゥ……ッ!**と不気味な音が響いた。

 核を覆う“錯乱波形”が揺れ、再び魔素が強制的に再構成を始める。


(回復する……!

 持ち直す前に叩くしかない!)


 リュークが斬撃に移ろうとした瞬間、シャドウファングが低く唸り、**ドンッ!**と床を蹴って飛び出した。

 その咆哮は霧を裂き、魔導獣の注意をわずかに逸らす。


 同時に、ルミエルの声が鋭く走った。


「――プリズンブレイク!

 第二干渉波、再配置……!」


 彼女の周囲に魔術陣が重なり、**キィィン!**と高音を放ちながら、霧と光と毒素が複雑に干渉し合う。


 揺らぎの中で、リュークの量子視覚に“本物の核”が浮かび上がった。


「そこか――!」


 短剣に火素を圧縮し、声を叩きつける。


「――ファイアーボルト、狙い撃つ!」


 刹那、短剣先端から迸った火球が一直線に突き抜け、霧の奥の核を撃ち抜いた。

 **ゴォンッ!**と火素の爆裂が広がり、擬似核構造が粉砕される。


「……効いてる!」


 リュークの声が響く。

 だが完全には崩れきらない。


 魔導獣は**ガアアッ……!**と断末魔のような咆哮を上げながら膝をつき、なお立ち上がろうとしていた。

 体表を走る黒い血が蒸気をあげ、霧の中に再び濃い毒を散布していく。


 ルミエルが叫ぶ。


「今のが本核なら、あと一撃で崩れる……!

 でももう一回狙うには――っ!」


 視界は再び濃霧に覆われ、刻一刻と状況が悪化していく。

 岩壁が**バキィッ!**と罅割ひびわれれ、足元の石が崩れ落ちる。

 時間は残されていない。


 ◆共鳴する一閃 ― 撃破への連携戦術

 濃密な霧が渦を巻き、魔導獣の体表が**ズズ……ズゥン……!**と粘りながら再構成されていく。

 さきほど崩れかけた核が、今まさに凝縮し直されようとしていた。


「もう一度……今ならまだ、撃ち抜ける!」


 リュークは量子視覚を全開にし、霧の奥に震える“核の振動波形”を捉える。

 だが――


(速い……!

 再構成速度が、さっきより倍以上だ……!)


 単独では間に合わない。

 だが彼は一人ではない。


 リュークは迷わずポーチを開き、小瓶を三本取り出した。


「ルミエル、シャドウファング……飲め!」


「当然よ」


 ルミエルは即座に瓶を開け、躊躇なく口に含む。

 黒狼も差し出された瓶を一噛みで砕き、液体を喉に流し込んだ。


 精神共鳴ポーションが三者を同時に貫く。

 脳を走る閃光、心臓を叩く鼓動、神経の網が一本に束ねられていく。

 三者の視界が一瞬重なり――互いの動きが言葉なく理解できるほどに同調した。


 リュークの量子視覚はさらに深度を増し、偽りの核の奥に潜む“真の波形”を捉える。

 ルミエルの詠唱は光素子の一粒一粒にまで干渉し、制御が研ぎ澄まされる。

 シャドウファングの筋肉が震え、**ズンッ!**と地を蹴るだけで地面が軋んだ。


「ルミエル、光を集中させろ!

 シャドウファング、陽動だ!」


 その声と同時に、黒狼が**ドンッ!と爆発的な加速で飛び出す。

 爪がガギィッ!**と火花を散らしながら虚空を切り裂き、咆哮が霧を吹き飛ばす。


 敵の注意が逸れた瞬間、リュークの視界に核の位置が鮮烈に露出した。


「――今!」


 ルミエルの詠唱が完成し、共鳴の力を纏った声が響く。


「プリズマ・スパイラル!」


 螺旋の光が、三人と一匹の意志を束ねて一点へと突き進む――!


 杖先から放たれた光束が**ギュゥゥゥン!**と螺旋を描き、霧を屈折させながら強制的に“収束点”を作る。

 魔導獣の巨体が拘束されるように硬直し、震える核が視界に浮かび上がった。


「……見えた!」


 リュークの短剣が火素をまとい、**ジジジッ……ッ!**と赤熱化していく。

 詠唱は不要――量子記憶の知識と戦場の経験が、彼の中で自然と一つの技に昇華される。


「――ファイアボルト・エッジ!

 直線収束形態!」


 火素が刃全体に凝縮し、臨界を超えた温度が一瞬で走る。

 灼熱の刃は、霧を蒸発させながら一直線に振り抜かれた。


 ズバァァァァッ――!!!


 赤く灼けた閃光が、魔導獣の本核を真正面から貫く。


 核は**ジジッ……パキィン!**と音を立てて蒸発するように崩れ、共鳴していた波形は強制的に断ち切られた。


「……核の振動、止まった」


 リュークが着地と同時に呟く。


 魔導獣は喉奥から**ガフッ……ゴゴッ……!**と血に濡れたような断末魔を絞り出すと、

 全身が内側から光に包まれ――次の瞬間、爆ぜた。


 ゴォォォォンッ――!


 衝撃波が坑道を揺らし、濃霧は一気に吹き飛んだ。

 焼け焦げたような臭気が薄れ、澄んだ冷気が流れ込む。

 視界が開け、閉ざされた空間にようやく“出口”のような透明さが戻る。


 ルミエルは膝を突き、肩で荒く息を吐いた。


「……霧が晴れた。

 毒素の波形も……完全に消えた」


 シャドウファングはまだ残骸を警戒するように唸り、**ガリッ……**と爪で床を抉った。

 だが、やがて鼻をひとつ鳴らし、静かに身を引く。


「……終わったな」


 リュークは短剣を下ろし、油断なく霧の去った空間を見渡した。

 そこには、完全に沈黙した核片――かつて毒と霧を操った生命の残骸が、脈動を失ったまま転がっている。


 ルミエルは眉を寄せ、小さく呟いた。


「でも……この空間そのもの、歪んでた。

 量子視覚じゃなきゃ、核の位置も見えなかった」


「……あの倒れていた人間、どうやってここに入り込んだ?」


 ルミエルが視線を向けると、リュークは無言で頷き、観測ノートを開いた。

 **カリッ……カリッ……**と木炭筆の音が静けさの中に響く。


「空間の重なりか、結界のズレ……いや、誰かが“通した”。

 そうでなきゃ説明できない」


 ルミエルの顔に、はっとした影が走る。


「……つまり、意図的に“開かれた”可能性があるってこと?」


 リュークは記録の手を止め、霧が消えた坑道の奥を見据える。

 そこには、見えない誰かの“仕掛け”が潜んでいる気配があった。

 静寂の奥に、次なる謎が――確かに口を開きかけていた。


 次回:観測外領域の真相 ― 熱痕と守護者の再起動

 予告:熱痕が示すのは、“過去の戦い”の続き――そして守護者が再び歩き出す

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