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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第五章 〜ゲーム開始『君に捧ぐ愛奏曲〜精霊の愛し子〜』
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再会の傷跡 side クリスフォード

今年もよろしくお願いします!



ルカディオと冷たい再会を果たしたヴィオラは、クリスフォードとノアに促され、呆然としたままその場を離れた。


寮の入口前のやり取りだったが、寮生の帰宅時間とズレていて人通りが少なかった事と、クリスフォードが激昂した瞬間にノアが認識阻害などの魔法を施した事で、二人が注目を浴びる前に隠す事が出来た。



「クリス……お前本当に自覚が足りないぞ。今回はたまたま人が少なかったから大事にならなかったものの、あの場に能力の高い魔法士がいれば、お前たちの隠された属性がバレるところだった」


「ごめん……、つい黒い感情が溢れちゃって、どうやってあの脳筋バカをぶちのめしてやろうかと怒りに呑まれちゃったんだよね……」


「仮にも治癒魔法士がそんな物騒な事を考えるな。……はあ、やはり魔法訓練の期間が短かったな。本来なら物心ついた頃から始めるものだが、お前達は呪いのせいで通常より半分の期間しかできていない。ジルと王太子に相談して小型の制御装置を用意してもらった方がいいだろう」


「うん。ごめん──」


「……いや、ヴィオラがあの状態なんだ。お前の気持ちもわかるよ。俺も、腹が立って仕方ない」



静かに怒りを纏うノアを前に、クリスフォードは自分の未熟さを痛感する。


認識阻害魔法で自分と同じ年代に見えても、やはり中身は大人で、皇族で、帝国魔法士団の副団長なのだ。


あの時の一瞬の状況判断と対応は鮮やかなものだった。



「ルカディオのやつ、ノアがあの時護衛だったノア様だと気づかなかったね」


「気づかれたら困るだろ。ヴィオラがまた傷つけられる。でも──結局こっちの俺でも悪い方向に話が拗れたな」


「話を聞かないアイツが悪いよ。……どうでもいいって、政略結婚ってなんだよ。自分がヴィオラにプロポーズして親に婚約を承諾させたくせに……っ」


「そうなのか?」


「そうだよ!あの頃はヴィオラはあの女に虐待されていて、ルカディオがヴィオラを守るって僕と約束したんだ。なのに……よりによってアイツがヴィオラを傷つけた……!」



あの冷たい瞳と冷たい声は、きっと妹の心を突き刺しただろう。あれからずっと目が虚で、一言も言葉を発しなかったヴィオラ。


邸に帰ってきたらジャンヌに連れられて、そのまま自室に篭っている。


ため息をついていると、ジャンヌがサロンにやってきた。



「ノア様、クリスフォード様」


「ジャンヌ……ヴィオラの様子は?」



ノアが尋ねると、ジャンヌは痛ましそうに表情を崩した。



「今はお休みになっています。先程魔力が暴走しかけたので、体に負担がかかったのでしょう。侍女のカリナさんが側で看てくれてます」


「そうか……」


「ほんとにアイツ……許せない」



ルカディオの身に起きた悲劇をクリスフォードも知っている。あの変貌ぶりはその影響だということも理解している。


だがそれでも、自分との約束を破り、ヴィオラを傷つけるという選択をした幼馴染を許すことが出来なかった。


ヴィオラを浮気者だと決めつけ、結婚するまでお互い好きに楽しもうと言った。つまりこれから自分も女を囲うつもりだということだ。


これからも、ヴィオラを傷つける気なのだ。



「あんな奴……、婚約破棄だ!」


「おい、クリス」


「父上が帰ってきたら、今日のことを全部話して婚約破棄してもらう」


「ヴィオラの意思は?本当にヴィオラがそれを望んでいると思うか?」


「ノアだってアイツの冷たい顔を見ただろ?アイツはこれからもヴィオを傷つけるつもりだ。そんな男とヴィオを結婚させてもいいって言うのか?不幸になるってわかっているのに!」


「それは……」


「アイツはヴィオラを守るという約束を破った。そんな男に妹を任せられないし、アイツと関わるたびにヴィオの魔力が揺らいだら、それこそ命取りだ」




二人の仲はもう拗れ過ぎている。


ヴィオラが今までどんなに辛い境遇でも心を保てたのは、ルカディオの想いがあったからだ。


でもそのルカディオが敵に回ったら、ヴィオラはきっと耐えられない。壊れてしまう。



そんなこと、絶対にさせない。




もうルカディオに、


ヴィオラの伴侶になる資格はない。






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