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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第五章 〜ゲーム開始『君に捧ぐ愛奏曲〜精霊の愛し子〜』
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政略結婚

タイトルを他掲載サイトと合わせました。更新が不定期ですみません!


「ル……ルカ……」



五年ぶりに再会した婚約者は、背がぐんと伸びて肩幅も広く、鍛えられたその体躯は子供らしさが抜け、凛々しい少年へと成長していた。


目の前にいる彼は、子供の頃に蕩けるような甘い瞳で自分を見ていた少年と、本当に同一人物なのだろうか?


彼の瞳は、男子寮の門の前で待ち伏せていたヴィオラとクリスフォードに、底冷えするような冷たい視線を向けている。



「ル…ルカ……、会いたかった。ずっと会いたかったよ」



堪えきれずに涙を流したヴィオラを見て、ルカディオは不快そうに眉間に皺を寄せた。



「──おい、久しぶりに会った婚約者と幼馴染に対して随分な態度だな。とても侯爵令息の取る態度とは思えないね」



クリスフォードはルカディオの態度に対して負けじと不快感を露わにし、鋭い眼光で睨みつけている。



「お前こそ、格上の侯爵令息に対する態度じゃねーな。不敬だぞ」


「それ本気で言ってる?オルディアン伯爵家は建国時からある家で、お前の所よりも歴史の古い由緒正しい家柄なんだけど?なんなら父上を説得して、明日からお前の家より格上の公爵家になってみせようか?」


「…………っ」



この国の医療のパイオニアであるオルディアン伯爵家が、長い歴史の中で何度も陞爵の打診を断り、あえて伯爵位に留まっている事は貴族なら誰でも知っている。


それこそエイダンがその気になれば、すぐにでも陞爵できるほどの功績をオルディアン家は残しているのだ。


この国の医療の発展は、オルディアン家の研究なくして成し遂げられなかった。



それに加えて最近ヴィオラが開発した植物性の紙は、産業革命を起こすほど経済に衝撃を与えた。


さらには、その紙に医療鑑定の魔法陣を組み込むという偉業まで成し遂げ、最後に秘匿されていた双子の学園デビュー。


今の社交界はオルディアン伯爵家の噂で持ちきりだ。



それをずっと王都で暮らしていたルカディオが知らないはずはなく、クリスフォードの挑発に舌打ちして悪態をつく。



「相変わらず腹黒で性格悪いな」


「安心してよ。ヴィオを傷つける奴限定だから。それ以外の人間には優しくて優秀な跡取りだと評判なんだよ?」


「お兄様、お願いだから喧嘩ごしにならないで」


「喧嘩ごしで話してるのはこの脳筋(バカ)の方だろ」


「はっ、シスコンも相変わらずか」



先程から放たれるルカディオの冷たい声に、ヴィオラは萎縮してしまう。だがどうにかして蟠りをなくし、以前のような二人に戻りたい。




「ルカ……、私たち何か誤解があると思うの。だからちゃんと話し合いたい」


「誤解?お前が領地で他の男と仲良く暮らしてたことか?」


「違う! だから、それは誤解なの…っ、ずっと手紙にもそう書いていたじゃない。読んでくれていないの?」


「ああ、読んでないな。それに誤解とかもう、そんなのどうでもいい。だから話し合う必要もないよ。俺は俺で好きにするから、お前も好きにすればいいよ」



どうでもいい――。

その一言がヴィオラの胸を突き刺した。



「……好きにすればって……どういう意味?」


「俺に構わず好きに男を囲えばいい。どうせ俺らは政略結婚なんだ。結婚するまではお互い自由でいよう」





(────政略…結婚……)



それはつまり、




もうルカディオの愛は消えたということだろうか。


突き付けられた現実に、ヴィオラの視界から光が消える。



「お前…っ、それ本気で言っているのか!!」



ルカディオの発言にクリスフォードが激高した。


「クリス!!」



木陰から慌ててノアが駆け寄り、二人を背に庇う。

そして後ろを振り返り、小声でクリスに呟いた。


「クリス、魔力が漏れてる! だがお前よりヴィオラの方が危ない…っ、お前の漏れた魔力をそのままヴィオラに流せ!早くしろ!」


「え?」



ノアの言葉に、慌ててヴィオラに視線を向ける。


そこには大きく目を見開き、息を乱して胸元を押さえ、苦しそうにしている妹の姿があった。



(まずい…っ! ヴィオの魔力が暴走しかけてる)



クリスフォードはすぐにヴィオラを抱きしめ、自分の魔力を流し込んだ。


双子ゆえの特権か、ヴィオラの体は瞬時にクリスフォードの魔力を受け入れ、触れ合う温もりから兄の魔力を体内に吸収した。


闇属性の魔力のおかげで、ヴィオラの過熱しかけた魔力が沈静化されていく。



そしてノアは二人に認識阻害の魔法をかけ、魔力検知を遮断する結界を二人に張った。



「なんだいきなり。お前誰だ?――……なんかどっかで見たことある顔だな」



ルカディオは突然現れたノアを訝し気に見た。


何となく見覚えがあるような気がするが、どこで見たか思い出せない。


だが、ルカディオの視線から遮るように、ヴィオラをその背中に隠したことが無性に腹が立った。



「はっ、なんだ。俺に言われずとも既に新しい男を囲ってるってことか? もしかして今日はその報告に来たとか?どうぞどうぞ、ご自由に。そのかわり俺も好きにさせてもらうから。お互い学園生活楽しもうぜ」



蔑むように、歪に口角を上げるルカディオに、五年前の面影はどこにもなかった――――。




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