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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第四章 〜乙女ゲーム開始直前 / 盲目〜
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皇弟ノアによる特訓



「そう、そのまま魔力を透明にするイメージで練り上げて──」




オルディアン領の邸では、グレンハーベル帝国の皇弟であるノアにより、ヴィオラの鑑定魔法習得の特訓がなされていた。


王太子アイザックにより、魔力隠蔽の冤罪被害が認められて一族連座での処刑は免れたものの、自国と帝国からの要請で精霊を呼び出しての魔力行使はするなと言われている。


個人で普通に魔法を使うのと、精霊を召喚して魔法を使うのとでは桁違いに魔力が異なるらしく、最上級の精霊と契約しているクリスフォードとヴィオラが精霊を呼び出して魔力を使えば、一瞬で邪神に存在を気取られるとのことだった。






「……出来た…っ」



ヴィオラの体に纏う魔力が水蒸気のような白と透明の中間の色に変わる。


「そう、それが無属性の魔力だ。鑑定や身体強化の魔法などはこの無属性の魔力を使う。当面の目標は自分の属性の魔力の切り替えを自在にできるようになることだな。あとは座学で魔法陣と魔術式の成り立ちについて学ぶくらいか。そっちはジルの方が教えるの上手いんだが…アイツ今クリスフォードと一緒に引きこもり中だからな…、それも俺が教えるか」


「すみません…。ありがとうございます。ノア様」



現在兄のクリスフォードは、ヴィオラよりも早く基礎の魔力操作と魔術をマスターした為、今は応用としてジルと一緒に魔法陣の開発を手伝い、魔術式についてジルから専門的な事を学んでいる。


今までずっと病弱で体を動かすのも大変だった兄が、今では健康的に歩き回って生き生きとしているのはヴィオラにとっても嬉しいことだった。


今は魔術を学ぶのが楽しくて仕方ないようで、クリスフォードはずっとジルの後ろをついて回っている。



同じ闇属性の魔力持ちでもあることから、一緒にいると落ち着くらしい。





「───それにしても、ヴィオラは何で鑑定魔法を習得したいんだ?あれは主に犯罪捜査や武官達のスキル測定等に使われる魔法だぞ。子供のヴィオラには必要ないと思うけど」


「私は医療に使いたいんです。鑑定魔法で患者の状態異常や疾患場所がわかるようになりたい。それをジル様に相談したら魔法陣の書き換えが必要だから時間がかかるって言われました。でもこの国の滞在期間内に完成させるからそれまでに魔力操作完璧にしといてって言われて…」


「ああ…、それでヴィオラの魔法特訓の教師に俺が任命されたってわけか。あの研究オタクめ」



ノアが呆れたように大きなため息をこぼす。




「迷惑かけてすみません…」


「いや、俺はヴィオラ達の護衛だから近くにいつもいるし、問題ないよ。じゃあ続けようか」


「はい!よろしくお願いします」






ジルがこの領地にやってきた時、逮捕された義母―イザベラが脱獄し、行方不明であることがヴィオラ達に告げられた。


そしてその脱獄を手引きしたのが邪神の可能性が高いということも。



そのため、ヴィオラとクリスフィードが狙われる危険は未だ消えておらず、王都に戻る事はしばらくの間は無理だということになった。


ルカディオと再び会えない状況が続く中で、以前は続けられていた文通がピタリと止んでしまった。



何度も手紙を出し、クリスフォードからも出してもらったが、一向にルカディオから返事が来ない。



心配になって父にルカディオの事を聞いても、『特に問題はなさそうだ。稽古で忙しいのだろう』という返事しか返ってこないので近況が全くわからない。


今までルカディオと音信不通になったのは初めての事なので、ヴィオラは毎日不安で仕方なかった。



本当は今すぐ王都に向かいたいが、それは叶わない。  



だからずっと魔力操作の特訓で気を紛らわしていた。


でもルカディオを思い出す度に精神的に不安定になってしまい、クリスフォードより習得が遅れてしまっている。



皇弟であるノアに教わっている事も恐れ多くて緊張が増す原因になっていたが、それに対してノアが気を使い、気安い態度で接してくれるおかげでだんだん緊張が解れ、特訓に集中できるようになってきた。


早く鑑定魔法を習得して薬師の仕事ができるようになりたいと強く思う。




クリスフォードは病弱が改善したとはいえ、走り回れるほどの体力は未だにない。


ジルの鑑定魔法の結果、長年微量のペレジウムを飲まされていたクリスフォードの体内には、未だに毒が残っているらしい。


その毒を完全に消す為にもペレジウムの解毒薬を早く作らねばならない。



もしくは上級の浄化魔法を習得するか──どちらにしろ並々ならぬ努力が必要だった。


だが、それを成し遂げる為にクリスフォードも今必死にジルから学んでいる。



そしてジルもノアもそれに応えるために協力してくれているのだ。



だからヴィオラも結果を出さねばならない。




瞳を閉じて、再び自分の魔力に集中する。


何度失敗しても、何度もやり直して魔力を無色に近づける。



「いいぞ。だんだん操作の速度が速くなってきている。最終的には頭に属性を浮かべただけで瞬時に切り替えられるようになるのが理想だな。ヴィオラはまだ子供だから、訓練を継続していけば学園に入る頃には出来るようになるんじゃないか?」


「そうなれるように頑張ります」



(ルカもきっと、騎士の夢に向かって今頑張っているはず。私もがんばらなくちゃ)




会いたい気持ちを抑えつつも、ヴィオラは目標に向かって特訓を続ける。



父の思惑により、ルカディオが大変な事態に陥っていることを一切知らされずに───。

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