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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第四章 〜乙女ゲーム開始直前 / 盲目〜
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消えたはずの禁忌魔法 sideエイダン


「魅了だと!?何で大昔に禁忌とされて廃れていった魔法がダミアンにかけられているんだ。今じゃお伽噺と化していたのに、実際に魅了魔法を操れる者がいたのか・・・」



魅了は大昔に存在していたとされる禁忌魔法だと大陸では伝えられている。


バレンシア王国やグレンハーベル帝国、その他の主要国家の歴史書にも伝えられているくらい、大陸中で禁忌と定められているのだ。


それは過去に実際に魅了で戦争が起こり、滅んだ国があるからだと言われている。






「魔力残滓は無かったので新種の魔草か、神術の類いかと思います・・・。ダミアン殿の供述から恐らくアメリという侍女がフォルスター侯爵夫人を追い詰める為に、自分に好意を向けるように仕組んだのでは?あの女の目を見ると体が言う事を聞かないと言っていたので」


「なんて事だ・・・頭が痛い。そんな物騒な物が出回れば国など簡単に滅ぶし、戦争さえも思いのままだ。王族に使われたらその時点で終わりだぞ。───もしかしてマッケンリー公爵はそれが狙いか?王家への謀反を企てていると?」



「・・・・公爵の方は分かりませんが、帝国側は邪神の完全復活の為に邪神教が再び戦争を引き起こそうとしていると見ています。早急に帝国に書状を出しましょう。魔草はあちらの方が詳しいです。領地にいるジルやノア様にも知らせます。それからヴィオラ達についている精霊にも・・・」



(───その精霊にはどうやって知らせればいいんだ?ヴィオラ達が呼んだら出て来るのだろうか。…今すぐ領地に向かいたいがフォルスター家の事がある。念のためダミアン殿の血液を採取して保管しておこう)



「エイダン、皇弟のオーガスタ公爵に会う際、俺にも声をかけろ。俺の影を双子につけたいが帝国に一応話を通さねばな。魔草の件も含めて帝国とのやり取りは彼とジルにお願いしよう。王家から正式に書状を出せば検閲される。そいつがマッケンリー側の人間だったらおしまいだからな。ジルはともかく、オーガスタ公爵については不正入国だ。それに目をつむっているんだから連絡係を担ってもらわねばな」



帝国の皇弟に対してその態度でいいのかと不安になるが、王族同士のやり取りに伯爵でしかない自分が口を出すのは不敬に当たるのでエイダンは口を閉ざした。



「大丈夫だ。お互い利のある取引だから問題ない」


「──分かりました。ですがノア様の存在はくれぐれも陛下には・・・」



「分かっている。この件は全て俺が預かる。父上にはこのまま狸ジジイ達の傀儡としてアイツらの相手をしてもらうさ。その方が俺も動きやすい」



「では早速領地に知らせを送りますので失礼します」


「ああ。よろしく頼んだぞ」






アイザックと今後の方針について粗方決めたが、エイダンはもう一つ懸念する事があった。



(ヴィオラにルカディオの事を知らせるべきか…)




知らせれば必ず王都に帰りたいと言い出すだろう。



『マッケンリー公爵に知られたなら必ず双子の命を狙うだろう。大人になる前に消す。俺が奴ならそうする』




それは自分も真っ先に思い浮かんだことだ。あの欲に塗れた男が自分を脅かすかもしれない存在を野放しにするとは思えない。


自分と血の繋がったマリーベルやイザベラでさえ自分の駒として使う狡猾な男だ。



(やっぱりダメだ。あの子達に王都は危険過ぎる。どこで情報が洩れるかわからないんだ。ルカディオが領地に向かうまでは伏せておこう。ルカディオが到着する前に知らせを送れば問題ないだろう)




エイダンのこの決断は、子供達の身の安全を最優先した事によるものだった。



だがこの判断によってヴィオラとルカディオの運命が大きく左右されてしまうことを、まだエイダンは知る由もない。


面白いと思っていただけたら評価&ブックマークをいただけると励みになります(^^)


かなり今更ですが、第5話が抜けていたので割り込み投稿させてもらいました。

お手数おかけして大変申し訳ありません。。深くお詫び申し上げます。

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