表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第四章 〜乙女ゲーム開始直前 / 盲目〜
65/224

婚約継続の危機




「話を戻すが、ジルやノア様達とも話をした結果、イザベラの逮捕は他の貴族達には秘密裏に行われる事になった。背後にいる奴らを炙り出す為に、表向き失踪したと世間に思わせる」



「秘密裏に?そんな事が可能なのですか?」



クリスフォードが父に疑問を投げかける。


ヴィオラもそこが気になった。王族の専属侍医といえど、身分は伯爵家。



そんな我が家が海千山千の高位貴族達を偽りの情報で操作するなど、無理なのではないか?



ましてや世間全体を偽るなど、一介の医者に過ぎない父ができるとは到底思えない。


もしそれが出来るとしたら、それは王族しかいないだろう。



帝国が絡んでいるのだ。王家が介入してきても何らおかしくない。どうやら兄のクリスフォードも同じ結論に辿り着いたらしい。



「父上が先ほど言っていた協力者というのは、王族ですか?」


「そうだ。イザベラは一時的に王宮の地下牢に囚われ、王太子殿下の主導により尋問が行われる手筈になっている」



「その尋問の後、母上はどうなるんですか?」


「・・・魔力の偽証申告は重罪だ。極刑は免れないだろう」




それはつまり、死刑を意味するという事。


実感はないけれど、私達の魔力は相当強力で使い方次第では国を脅かす程の力になり得るのだとか。


それを偽証して隠匿したのは反逆罪に当たり、さらに義母は禁忌とされる呪いに手をだした。



どちらの罪でも問答無用で死刑らしい。




「「・・・・・・・・・」」




虐待されて愛情なんかカケラも与えてもらえなかったし、自分もあの人の事は嫌いだけど、いざ死刑と聞かされると複雑な気持ちになるのは何故なんだろう。


何だかモヤモヤする。




「父上は?」


「・・・なんだ?」



「父上は何の罰も受けないのですか?」


「!?」



クリスフォードの質問に、エイダンとヴィオラは固まった。




「だっておかしくないですか?そもそもあの女をあそこまで狂わせたのは父上なのに、何で元凶が何のお咎めもなくて母上だけ死刑?別にあの女を庇ってるわけではないですけど、一方的に1人だけ断罪されるのはちょっと違う気がするんですけど?」



冷たい兄の視線が父を捉える。



そうだ。モヤモヤの正体はコレだ。


父達にどんなことがあったのかは知らないが、少なくともエイダンがイザベラを後妻に迎えなければヴィオラ達は虐待されなかったし、ペレジウムの毒が精製されることもなかった。


後妻に迎えたとしても、父が育児放棄しなければ、虐待を阻止してくれていれば、簡単にいくらでも状況を変えられたのではないのか?



確実に一番悪いのは義母だ。


それは変わらない。



それでも父に対する蟠りがあって、大人達が決めた選択を素直に受け入れられない自分達がいる。父も私達のその蟠りを感じ取ったようで兄の視線から逃れるように俯いた。



「俺にも原因があることはわかっている。何を言っても言い訳にしかならないが、俺がイザベラと再婚することになったのは、薬を盛られ、精神障害で正常な判断が出来ない中、婚姻手続きを押し切られたからだ。俺の意思ではないし、その証拠も挙がっている。ただ、その後お前達と向き合うことから逃げたのは俺自身の行いがしたことだから何の弁解の余地もない。それについて王家から何か沙汰があれば受け入れる覚悟だ」



「「・・・・・・・・・」」




いっそのこと、それも薬のせいだとでも言えばいいのに。


父はとても不器用な人なのだと思った。




「ただ・・・、その件に関連してヴィオラに前もって伝えておかねばならない事がある」


「・・・? なんでしょうか?」



「今回、秘密裏にイザベラを逮捕するに当たって精鋭を集めて少人数で行うことになった。その中に認識阻害の魔法をかける為にジルが選ばれ、捕縛する人物には王宮騎士団の団長であるダミアン殿と副団長のレイガルド殿が当たることになった」


「!?」



騎士団長のダミアン様といえば、ルカディオの父親だ。


隠せることではないと思っていたが、よりによって義母を逮捕する人がルカディオの父親だとは、なんという皮肉だろうか。



父の顔をじっと見つめると気まずそうに視線を逸らした。


その様子からして、今現在のオルディアン家の現状がフォルスター侯爵家にしてみれば好ましくないという事がうかがえる。



よく考えれば当然のことだ。誰が好き好んで反逆者のいる家と縁を結びたいと思うのか。



その答えに気づき、ヴィオラの顔から血の気が引いた。



「まさか・・・」



不安に揺れる瞳で父を見れば、ヴィオラの不安を肯定するかのように頷いた。





「ああ。このままいけばルカディオとの婚約は解消される可能性がある」








 


父の残酷な言葉が部屋に響いた。


面白いと思っていただけたら評価&ブックマークをいただけると励みになります(^^)



【こちらも連載中なので良かったら読んでみてください(^^)】


◆婚約者の浮気現場を見た悪役令嬢は、逃亡中にジャージを着た魔王に拾われる。

https://book1.adouzi.eu.org/n2499hs/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ