誰だお前
誤字脱字報告ありがとうございます。とっても助かります(>人<)
「・・・誰だお前」
「ノアです」
「何でヴィオの隣にいる?」
「・・・旅の間、ヴィオラ様とクリスフォード様の護衛を務めておりました」
「そうか。じゃあ帰ってきたから護衛はもう終わりだよな。ヴィオの隣は俺って決まってんの。だから離れて。近いよ。クリスの隣ならへばりついていーから」
「何言ってんの?ヴィオの隣は僕の場所だよ。お前こそ近すぎなんだよ。離れろ」
「俺は婚約者なんだから隣にいる権利がある。シスコンは引っ込んでろ!」
先程、隣国からの長旅を終え、ようやくオルディアン伯爵家に着いた。
今回は急に決まった帰国だったので手紙を出しても間に合わないと思い、ルカディオに知らせずに帰って来た。
でも隣の家から見えたのか、到着するなり伯爵家を訪ねてきて、こうして新顔のノアに噛み付いたのである。
そして今は兄のクリスフォードと口喧嘩をしている。
(何このカオス・・・ていうかルカ!皇弟殿下に失礼な態度取らないで!不敬罪になっちゃうよ・・・っ)
隣国の王族に対して無礼な態度を取るルカディオにヴィオラは顔から血の気が引き、アワアワとしながらノアの顔を見た。
ヴィオラの視線に気づいたノアは、「大丈夫」と言っているかのようにヴィオラに笑顔を返す。
「ヴィオ!」
「わっ」
ノアの返しに安堵していると突然視界を遮られ、直ぐにルカディオに抱きしめられているのだと気づいた。
「ヴィオ・・・俺以外の男見ないでよ。浮気?」
「なっ、違うわ!そんなわけないじゃない。私が好きなのはルカだけよ」
皆の前で告白する羽目になった事に、恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になると、ルカディオは満足したようにヴィオラの両頬を押さえて顔を上に向かせ、
チュー
と2秒くらいキスをした。
「!?・・・ルカ!」
(また人前で!しかもノア様やマルク様も見てる前で!信じられないっ)
「ヴィオは俺のだって教えとかないと」
2年ぶりに再会してからのルカディオは何だか手が早くなった気がする。隙あらばヴィオラに触れてくるのだ。
(いいのこれ?私達まだ10歳よ?ミオの感覚でいうと子供過ぎてNGなんだけど、この世界ではどうなのかしら?他の子供と会ったことないから全然わからない)
そういえば・・・─と、10歳にもなって友達1人もいない事実に気づいてヴィオラの目が少し曇った。
「最近の子供はマセてますねぇ」
「彼がエロガキなだけじゃん?──あ、エイダン様だ」
ノアとマルクが他人事のように子供達を眺めていると、禍々しいオーラを携えてエイダンが子供達に近づいてきた。
そして未だヴィオラを抱きしめているルカディオの頭を貼り付けた笑顔で鷲掴みにする。
「いっ」
「ルカディオ君?私は君に婚約者とは適切な関係を。とお願いしたはずだよね?ちょっとオイタが過ぎるんじゃないかなぁ。君の父上と話し合わなきゃいけないかな?ん?どうする?」
「す、すみませんっ。調子乗りました!」
ギリギリと頭を鷲掴みされたルカディオは堪らずヴィオラを離して降参の意を示し、エイダンに許しを乞う。
爵位はルカディオの家の方が高いため、本来なら次期侯爵家当主に対して無礼だと取られそうだが、名門オルディアン家は昔から数々の功績を経て陞爵を打診されるも、その都度断っていることは社交界では知れ渡っており、伯爵家といえど高位貴族の間では一目置かれている。
何故なら陞爵を受けていればとっくに公爵になっていてもおかしくない家だからだ。
そして優秀な治癒魔法士であり、王族の専属侍医であるエイダンもまた、伯爵家当主といえども一目置かれており、立場的には次期侯爵家当主よりもエイダンの方が上な為、ルカディオは逆らえない。
「バーカ」
ようやく解放されたルカディオはクリスフォードに揶揄われて不貞腐れるが、ふとある事に気づく。
「そういやお前、顔色良いな。今日は体調大丈夫なのか?」
「・・・・・・まあね。隣国で療養もできたから」
クリスフォードは魔力のことは濁した。
邸にイザベラが居る以上、どこに公爵家の間者が潜んでいるかわからない。
これから起こる展開にあちら側も戦々恐々としてるはず。帰国すればすぐにこちらの情報を取りに来るだろうから警戒するように。と父が言っていた。
だがこの時既に、こちら側の運命にルカディオも絡め取られようとしていたのを、この時のクリスフォード達はまだ知らない。
その事によって、
大事な妹が傷つけられる事を、
クリスフォードも、父エイダンも、
まだ気付けない。
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