創られた少女
男の死体はそのままに、部屋の中を確認すると部屋の隅の机の上に男が何やら研究メモのようなものを書き残している事に気付く。
(そういえば何か書いてたな…。)
机の上に跳び乗ると、そこに広げてあった紙を手に取る。
(ん?この世界じゃ書き物は羊皮紙のようなものに書くとばかり思ってたが、これはちゃんとした紙だな…一応存在するのか。)
ペラリと数枚めくってみるが、案の定何と書いてあるのかは読めない。
「カタリナ、済まんがこれを読んでくれんか?」
大量に返り血を浴び、何処から何処までが肌か服かも判別が難しいカタリナに頼む。声に出して読む以上アスティアにも聞かれるのは解っているものの、何となく読ませたく無かったのだ。
「えーと、なになに…?」
手に付いた血をピッピと払いながら櫻の持つ紙を覗き込む。
そこに書かれていた事の要約はこうだ。
『俺の思う通りに動く兵隊を作る。女は別件用、使うのは男だ。長年の研究で得た、瘴気を使い相手を意のままに操る法を試す。駄目だ…生きたままでは魔人化してしまい使い物にならない。一度殺して『物』にしなくては。』
『物に瘴気を注入し操る法をもっと洗練させなければ。駄目だ、死んだ身体では徐々に腐って使い物にならなくなってしまう。どうにか長持ちさせられないものか。』
『素材が足りない。存在を悟られないでもっと効率的に集める方法は無いだろうか。旅人を待つだけでは余りに不確実だ。いっそ町を襲うべきか。』
読んでいるカタリナの表情が曇る。
「もういいよ。済まないね、気分の悪いモンを読ませちまって。」
「あぁ…ちょっと気持ち悪くなって来た処だ。」
「ふむ、物に瘴気を使う…ね。入り口の岩もそうやって出来た何かなのか。」
「魔法使いのやる事なんてアタイらにゃ全く理解出来ないからねぇ。何が起きても不思議じゃないよ。」
櫻の持つ紙を指でペンと弾いて呆れ気味に吐き捨てる。
「まぁこのメモはこの部屋に関する研究だけのようだね…さて。」
机から飛び降りると櫻は二人に向き直り、次に発する言葉を少々考える。
「この先に…お前さんらには少々刺激が強いものがあると思うんだが、付いてくるかい?嫌ならそっちの出口で待ってな。」
部屋の入り口を指差しそう言う櫻も、出来ればその先の部屋には向かいたく無かった。行けば残酷な光景が待っている事を、男の記憶により知っているからだ。
だが二人から拒否の言葉は全く漏れず、その意を酌むと櫻は近くにあった隠し扉を押し開ける。それは岩壁に見事に溶け込んでいて、存在を予め知っていなければ気付く事など無理だろうと思う程であった。
扉は不思議な事にろくに物音を立てずに軽やかに観音開きで開き、少しばかりの通路を挟むと向こう側に同じような扉が見える。
無言でその扉に向かう櫻の後に続きアスティアとカタリナも歩みを進めると、奥の扉へ近付く程に空気に違和感を覚え始める。
「サクラ様…ここ、何か変…。」
アスティアは思わず両肩を抱くように身を縮めた。
突き当たりの扉に到着し手をかける櫻であったが、一瞬の躊躇いを見せる。しかし意を決してその扉に力を込めると、またしても殆ど音も無く扉は軽々と開いた。
その扉の奥には一際広い、部屋と言うよりは空間と表現した方が良い程の場が広がっていた。正面に見える中央には部屋を作る時にそのまま切り出したのであろう、地面から直接生えるような台座が配され、その周囲に何やら儀式めいたものの痕跡が見受けられる。
部屋の中には重く澱んだ空気が漂い、纏わり付くような寒気を覚えた。
そして部屋の向かって左奥隅、三人は目を疑う光景を目にする。
そこにあったのは堆く積まれた大量の死体。しかも女性ばかりだ。どの女性も全身の肉を削ぎ落とされ骨と内臓がゴミの如く積み上げられ、唯一手付かずで残っている頭部は、恐らく生きたままにこのような目に合わされたのだろう、苦悶の表情を浮かべていた。
「うっ…。」
「何…これ…。」
アスティアとカタリナが、言葉を失いながら部屋の中に漂う腐臭に思わず口を覆う。
「これがあの男の研究の犠牲者だ…。不明者は、誰も助けられなかった…。」
歯ぎしりが聞こえる程に櫻が食いしばりながら声を漏らす。すると突然、部屋の中の空気が櫻へ向かい流れるように動き出した。ソレは櫻の身体の中へ飛び込むように消えて行く。
途端、櫻の胸が締め付けられる。内から溢れる恐怖・悲しみ・苦しみ・怒り、様々なものが綯交ぜになったような感情がその身の内を駆け巡った。
「サクラ様!?」
「お嬢!?」
二人の慌てる声が部屋の中へ響いたその時、櫻の瞳から大量の涙が溢れた。
「どうしたの!?サクラ様!?」
ボタボタと大粒の涙を地面に落とす櫻にアスティアが駆け寄る。だが
「…いや、大丈夫だ。」
と涙を拭い、部屋の奥へと進む。そこは死体の山の反対側、無数の全裸の若い女性が手枷に繋がれ壁際に項垂れていた。歳の頃は皆15~16くらいか。見た目は全て同じ、薄灰がかった黒髪セミロングのボブカットに、身長は櫻との対比から大体150~160センチ程で胸はBカップ程度。あの魔法使いの男の趣味なのだろうか。だがよく見るとそのどれもが身体の何処かを欠損しており、生きているようには見えない。
「お嬢、この娘達は…?」
恐る恐るカタリナが問う。
「これがあの男が作り出そうとしていたモノ。自分の都合の良いように尽くしてくれる肉人形さ。アイツはそんなくだらない欲の為に、これだけの人の命を奪ったんだ…!」
「一体どういう事?」
「さっきの研究メモにもあったが、物に瘴気を入れる事で自分の意のままに操る法というのを使い、身の回りの世話から実験素材の調達、研究の手伝いに戦闘、更には性処理までをこなす都合の良い女を作りたかったんだよ。差し詰め『ゴーレム』って処か。」
「『ゴーレム』?」
「あたしも詳しくは無いが、人が特定の目的を持って作った、命令に実直な人形みたいなもんだね。」
「それが最初からの研究目標だってんなら、瘴気に取り憑かれてなくてもクズだったね…!」
吐き捨てるようなカタリナの言葉に櫻も頷く。
「あぁ。そしてその都合の良い女を作る為に、攫った女性の肉を削いで材料にし、魔法を使い全く新しい魔法金属を創りだす事に成功したらしい。」
「魔法金属?人の肉を材料にそんな物が?」
「頭の中を覗いても原理なんて理解は出来なかったが、金属の頑丈さを持ちながら女性の肉体のような柔らかさ・しなやかさを実現し、尚且つどんな形にも変化させる事が出来る…という物らしい。さっきの戦闘であの男が持っていた武器、あれがそうなんだろう。」
「それじゃ、この娘達は…人じゃないのか?」
項垂れ、微動だにしない少女達に目を向けるカタリナ。
「恐らくはね。その魔法金属を組み立てて自分の理想を作り上げようとしていたんだろうが、何らかの理由で放置されていたモノなんだろう。可哀想に…これじゃ殺された女性達も、このコ達も報われないよ。」
見た目には普通の人間の女性にしか見えないそれらの身体に触れる。本当に生きているように柔らかく温かみも感じるその身体。
「…ねぇ、サクラ様。このコは何処も欠けてないよ?」
アスティアが覗き込むその個体は並べられたそれらの最奥に位置し、何処にも欠陥の無い完璧な身体に見える。
「確かにね。ここまでして完成に至らなかったのは何故なんだ?」
櫻は疑問を口にすると周囲を見回し始める。そして部屋の角に何かを見つけると小走りに駆け寄った。
「やっぱりな。」
そう言ってその場に有った机に跳び乗ると、その上に束ねられた紙束を手に取る。
「カタリナ、済まんがまたこれを読んでくれんか?」
「あいよ。それにしても紙なんて高級品をこんなに贅沢に…あの男は何処かの金持ちだったのかね?」
紙束を受け取りながらカタリナが呟いた。
(紙が高級品…?そうか、それで普段大量に使われるような書類には紙が使われる事が無いのか…。)
「それじゃ読むよ。」
カタリナが紙束に書かれていた事を読み上げるが、大半は魔法金属の作成に関しての専門的な事ばかりで、読み上げているカタリナも聞いている櫻とアスティアも理解が及ばなかった。
だが問題の、完成した筈の人形に触れる部分となるとその文面は変化を帯びる。
『35体目にしてようやく全身を組み上げる事が出来た。材料になった肉の相性が悪かったのか今まで途中で結合に失敗していたが、遂に完璧な姿を創り上げる事に成功した。』
『何故だ。身体は完璧に仕上がっている。生体融合も問題無く機能している。既に意識も存在している筈なのに何故動かない?』
『身体を動かすには動力にパワーが足りない。取り込みは出来ても人類の心臓は貧弱すぎる。もっと強い生命力を埋め込まなければ。』
『獣の心臓では適合すらしない。やはり人類の中から強靭な心臓を探すしかないのか。ここまで来て行き詰まるとは。』
ふぅ…と息を吐き、カタリナが手に持ったメモ書きを下ろした。
「…今ので最後みたいだね。アタイは頭使うのが苦手だから何の事やらさっぱりだったよ。それにしても胸糞悪い…簡単にトドメを刺すんじゃなかったね。」
そう言いながら紙束をペラペラと捲って行くと、白紙が続くかと思われたその中に設計図のような図説が書き記されたページを発見する。
それは数ページに渡り身体の各部位毎に分けられていたが、覗き込んだ櫻達が注目したのは胸の部分。心臓に当たる箇所が開閉し、そこに動力となる他者の心臓を嵌めるように記されている。
「ひょっとすると、男達もただ殺されただけじゃなく心臓を抜き取られていたかもしれないね。そのうえで残った身体はゾンビとして兵隊に仕立て上げる…クズだが効率的ではある。」
櫻は机から飛び降り、壁に鎖で腕を固定されダラリと項垂れる35番と呼ばれていたらしい少女人形の傍へ歩み寄ると、その俯いたままの顔を見上げ、覗き込んだ。
その表情は穏やかで、瞳は眠っているかのように閉じられている。だがそんな彼女に櫻が読心術を試みると、確かに意識…いや、意思が存在していた。
(驚いたね…これはまるで人間の心だ。)
驚くと同時に哀れに思う。これだけ精巧に出来てしまえば最早作り物と人間との差など無いだろうに、それ故にこうして手枷で繋がれ思うように動く事も話す事すらも出来ずに長い期間を過ごした日々は苦痛であっただろう。
「カタリナ、この娘の手枷を外せるかい?」
「ん?手枷部分はちょっと難しいが…繋いでる鎖程度なら千切れると思うよ。」
「そうか、それじゃ頼む。」
櫻に言われるがままにカタリナが鎖を引き千切り、倒れてきた少女人形の身体を櫻が受け止めると優しく床に横たえた。
そして彼女の手を取り優しく語りかける。
「お前さん、意識があるんだろう?あたしは人の心を読む事が出来るんだ、頭の中で返事をしてくれればいいから、あたしの質問に答えておくれ。」
『…はい。』
櫻の問いかけに驚きを含んだ返事を返した。
「よし、それでいい。」
頷き、手の甲を優しく撫でて目の見えぬ少女に肯定の意思を伝える。
「さて、単刀直入に聞くよ?お前さん、生きたいか?」
唐突な質問にその様子を伺っていたアスティアとカタリナが驚きの表情を浮かべた。
『私は…ご主人様が望む通りに存在する『物』です。私にその決定権はありません。』
「あたしはそんな事を聞いてるんじゃないよ。お前さんがどうしたいのかって意思を聞いてるんだ。」
『ご主人様の意思が私の意思です。私のご主人様が私の処遇を決定してくださる事が、私の意思です。』
ハァ~…と思わず大きな溜息が櫻から漏れた。
(まぁ解ってるよ?こういう風にプログラムされちまってるんだろうって事は…だがこうも頑なだとねぇ…。)
頭をポリポリと掻く。すると唐突にピンと思いつく事があった。
「実はねぇ…そのご主人様がここから居なくなっちまってね?去り際にお前さんの事を『もう要らないから好きにしろ』って言われてあたしが貰ったんだ。だから今のお前さんのご主人様はあたしなんだよ。」
『え…?それは本当なのですか?』
「あぁ本当だとも。そもそもあの男があたしらをここまで通した事が何よりの証拠じゃないかい?あんな他人を寄せ付けないようなヤツが、信頼する人以外をここまで通す訳が無いだろう?」
『…解りました。今から私は貴女をご主人様と認識します。ご主人様、私に何をお望みでしょうか?』
上手く行ったと櫻の表情がニヤリとほくそ笑む。
「だからさっきから言ってるだろう?お前さんはどうしたいんだ?自分の意思を示してみなよ、それがあたしの最初の命令だ。」
『…私は、ご主人様に尽くしたい。ご主人様が私を要らないと仰るまでお傍に居たい。…生きたい…です。』
その言葉を聞き出した櫻は、満足気に『むふん』と鼻息を鳴らした。
「さっきお前さんの説明書きを見てな、動力の心臓を強いものに付け替えれば自由に動けるらしいというのは解ったんだ。それで一つ心当たりがあるんだが、心臓を取り出してお前さんの胸の中に納めれば勝手に結合はしてくれるんだろう?」
『はい。私の生体融合能力は私の意思により他の生物を取り込む事が出来ます。心臓を胸の中に入れて頂ければ私がそれを取り込みます。』
そう言うと少女人形の胸が『ぐぱっ』と開き、その中に拍動する心臓が姿を現した。
「付け替える時にこの心臓を外さなきゃならんと思うんだが…これ取って大丈夫なのか?」
『はい。心臓が外されても数日間は、残留エネルギーにより次の心臓が宛てがわれると自動で融合を開始するように出来ています。問題はありません。』
「成程ね。それじゃ今から代わりの物を入れる為に一旦それを外す事になる。その際に痛みなんかは無いのか?」
『事前の通告があれば痛覚を消す事が可能です。…痛覚をカットしました。これより心臓を停止致します。』
「あぁ。それじゃ次に意識を取り戻すまで、少しの間お休み。」
持っていた手を少女人形の腹部へ優しく置く。
「カタリナ、この娘の心臓を取り出してくれ。別の強力なヤツに付け替えるんだ。」
「あ…?あぁ、解った。」
言われるままにカタリナは少女人形の胸の中に手を突っ込むと、ぶちぶちと音を立てて心臓を取り出した。
「これも誰か犠牲になった人の心臓だったんだろうね…。」
「そうだね…せめて後でそこに居る皆と一緒に供養してやろう。」
櫻は積み上げられた女性の亡骸の山を見るとカタリナの腰にポンと手を当て、声を明るく振舞う。そして徐に衣服を脱ぎ、アスティア目掛けてパスした。
「え?サクラ様?」
「お嬢、何を?」
突然の行動に驚く二人に対してアスティアを手招きすると、
「アスティア、この辺を舐めてくれないかい?」
と指差し円を描いて見せたのは、胸の周辺だ。正確には心臓の位置なのだが、その指された部分にアスティアもカタリナもゴクリと唾を飲み込んだ。
「う、うん。」
突然の事に戸惑いつつも全裸で立つ櫻の前に跪き、べろりと舌を出すとたっぷりの唾液を下から上へ繰り返しその胸へ塗り込んだ。
(あ、これヤバイな…クセになりそうだ。)
快楽成分を含むヴァンパイアの唾液が広範囲で塗り広げられる為、櫻の身体も火照って来る。思わず声を出しそうになるのを口に手を当てグっと堪えた。
ピリピリと痛覚が麻痺してきた事を実感して来た辺りでアスティアを制し、次にカタリナを手招きすると、
「カタリナ、あたしの心臓を抉り出してくれないか。」
と耳を疑う提案をした。
「はぁ!?何言ってんだい!?いくらお嬢が不死だって聞いては居ても、それは流石に危ないんじゃないのか!?」
「なぁに、全身が弾け飛んでも復活するらしいし、それくらいなら大丈夫さ…多分ね。」
櫻の言葉に躊躇いがちに獣人形態へと変態すると、その手を構える。だが踏ん切りが付かずなかなか行動に移れないカタリナ。
「早くしとくれ。アスティアの麻酔が効いてる間にやってくれないとコッチだって怖いんだからさ。」
焦る櫻に急かされ、意を決して櫻の胸元に爪を突き立てると、肉を引き裂いて骨を砕き心臓へと到達する。大量の血が溢れ出し櫻の表情にも苦しみが見て取れる中、カタリナは心臓を傷付けないよう慎重に取り出した。
不思議な事に取り出された心臓は力強く脈打ち続け、その中から血液が拍動に合わせピュッピュッと吹き出し続ける。
「あぁ!勿体無い!カタリナ、早くその心臓をそのコに!」
アスティアの声に状況を思い出したカタリナが慌てて少女人形の胸の空洞に心臓をそっと置くと、途端に周囲の血管のような管がその心臓に取り付き、ジワジワと融合を始めたではないか。
「どうだい?上手く行ったかい?」
胸元を押さえて櫻が声をかける。カタリナの手が身体から抜けた時点で治癒力を全開にし失った部位も完全に修復したのだが、幻肢痛のように痛みの記憶がまだ脳内に残り思わず押さえてしまっていたのだった。
アスティアから服を受け取り頭を通すと、少女人形の姿を覗き見る。
「あぁ、心臓の取り込みはちゃんと出来たみたいだ。だけど…。」
少女人形は動かない。
不安に思い櫻が読心術を試みるが、その意思が感じられない。
(どうした?失敗したのか!?あたしの読みは間違っていたのか!?)
櫻の中に不安が渦巻く。グッと手を握り締め、祈るように瞳を閉じた。
するとその時、
「再起動を完了しました。おはようございます、ご主人様。」
不意に耳に聞こえた声。先程は読心術で頭の中に流れ込んできていた声だ。
ハッと顔を上げるとそこには、身を起こし瞳を開き、その口から言葉を発する美しい少女が居た。
「おぉ…!やった!動いてる…!立てるか!?自分で歩けるか!?」
思わず出た櫻の喜びの声。
「はい。ご主人様のお陰で私はこのように自らの意思で動く事が出来るようになりました。本当に有難うございます。」
スっと立ち上がると両手を前に添え、深々と櫻に向かい頭を下げる少女。その所作は恐らく作り手の男が望む献身的な女の姿なのだろうが、そんな事は些細な事だ。櫻には少女を自由にしてやれた事の達成感が大きかった。
「サクラ様凄い!やっぱりサクラ様は神様だ!」
「ははっ、その神様が上手く行くように神に祈ってたくらいだがね…。」
アスティアの感激の抱擁を受けつつも、自分の考えが間違っていなかった事に大きな安堵の息を吐く櫻。
「さて、取り敢えずこの洞窟から出る方法を探すか…。」
その言葉にアスティア、カタリナ、そして少女も頷くと、部屋を後にしたのだった。




