表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソロ探索者、ダンジョンに潜る  作者: 西校


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/63

59話


「いってきます」


 玄関の扉を開けてギルドに向かって歩き出す。


 いつものようにダンジョンを探索するためにギルドに向かっているわけではない。


 数日前、ギルドから俺に強制の依頼が入ったと連絡がきた。今日は、その依頼の説明のためにギルドに呼ばれたのだ。


 また、ダンジョンツアーのガイドの依頼だったりするのだろうか? いや、あれは一回だけと言っていたし違うか。


 俺にきた依頼がなんなのか考えながらギルドに向かった。



 数十分後



 何事もなく、ギルドに到着した。


 確か、ギルドに着いたら一度指定の窓口に声を掛けて欲しいと言われたな。指定された窓口に近付き窓口の職員に話しかける。


「あの、すみません。依頼の説明を聞きにきたんですけど………」


「はい! 冬野様ですね。お話は伺っています。案内いたしますので付いてきていただけますか?」


 そう言って窓口の職員は、他の職員に窓口を任せて俺の案内を始める。


 少しギルド内を歩いて、初めて見る部屋の前まで案内された。


「到着いたしました、冬野様。私は依頼人について聞けませんので案内はここまでとなります。依頼人様はすでに部屋にいらっしゃいますので」


「わかりました。案内していただきありがとうございました」


「いえ、お気になさらないでください。それでは、私は失礼いたします」


 さて、部屋に入るか。


 扉の取っ手に手を掛けて、ゆっくりと扉を開ける。


 扉を開けると、ソファに座っている依頼主と目が合う。その瞬間、この前と同じように花のような甘い香りがした。


 は? なんでこの人が? そこには、A.S.S.Fのリーダー日本最強の探索者水見紗季が座っていた。


 待て! 反応してはダメだ! 今、水見紗季は認識阻害の効果があるサングラスをつけている。今、反応すると精神異常に対して何かしら対抗手段があることがバレる。


 これ以上、政府の探索者に目をつけられるのは勘弁願いたい。


 必死に気付いてないようにして、表情を平常に保つ。


 そうしていると、水見紗季はサングラスを取って素顔を現す。


「こんにちは。冬野くん。この間ぶりね」


 俺は驚いたように目を見開く。これで騙されてくれるか?


「水見さん!? お、お久しぶりです。水見さんが依頼主の方ってことですか?」


 冷静になって考えれば、わざわざ水見紗季が依頼について説明する理由はなんだ? 


 政府の依頼だとしても、あの水見紗季が説明するだろうか? いや、普通はそういう担当の人が説明するだろう。


 じゃあ、なんで?


「本当なら、担当の人が説明する予定だったんだけど私が無理を言って代わってもらったの」


「は、はぁ」


 思わず、気の抜けた返事をしてしまう。だから、なんでだ?


「あ! 安心してね。周りにはバレないようにしたから、私がここにいるのを知っているのは私が信頼してる人達だけだから。冬野くんに迷惑かけることはないと思うわ」


 それが本当なら、ありがたいが。大丈夫か? 水見紗季の動向は監視されてるとかはないのか? いや、監視されていたら水見紗季自身が気付くか。


「それで、その、依頼の説明は………」


「そうよね! ごめんなさい。今から説明するわね」


 水見紗季はさっきとは打って変わって、暗い表情で話し始める。


「冬野くんには大規模な防衛戦に参加してもらうことになったの」


「防衛戦?」


 何を何から守るんだ? 探索者なんだし、やはりモンスターか?


「そう遠くない日に地上をモンスターが襲うから、そのモンスターから街や人を守って欲しいの」


 ダンジョンの氾濫か。しかし、俺が戦う必要あるか? 今までだって政府の探索者だけでやってこれたんだし俺より強い探索者なんて、たくさん居るだろう。わざわざ、俺に依頼を出してくる理由はなんだ?


 それに、最近はダンジョン氾濫で地上に現れるモンスターは比較的少ない方だと聞いた。大規模にする理由がわからない。


 そんな、俺の疑問を感じ取ったのか水見紗季は話を続ける。


「いつもだったら政府の探索者だけで事足りるんだけど、今回はそうも行かなくなってしまったの。冬野くん、ユニークモンスターって知ってる?」


 無茶苦茶、知ってる。今まで4体も遭遇して倒した。まあ、知らない体で行くか。ユニークモンスターを倒した奴がどんな扱いを受けるか知らないからな。


「噂程度は」


「そう。ユニークモンスターっていうのは、世界に一匹しかいないモンスターのことをいうの。どの個体も何かしら厄介な能力を持ってることが多い厄介なモンスターよ」


「なるほど。そのユニークモンスターが地上を襲うんですか?」


「そうよ」


 なんで、それがわかるんだ? 未来がわかる奇具やスキルがあるんだろうか?


「なんで、ユニークモンスターが襲ってくるってわかるんですか?」


「それは言えないの。ごめんなさい。戦いを強いられる貴方に隠し事をしなければいけない事を許してちょうだい」


 そう言って、水見紗季は頭を下げる。


 なるほど。教えないのではなく教えれないということか。政府の極秘事項か何かなんだろう。なんにせよ知りすぎるのは良くないな。


 しかし、これまでの話を聞けば聞くほど依頼を受けたくなくなるな。ユニークモンスターには良い思い出が全くない。


 どうにか回避する方法はないのか。俺が力不足とか言って断れないものか?


「それは良いんですけど。自分では力不足に感じます。俺より強い探索者なんて沢山いますよね。なんで俺に依頼が?」


「ごめんなさい。それも言えないの。何かしらの基準で選ばれたとだけ言えるわ」


 未来がわかることと俺への依頼が関係してるのか? 俺が防衛戦で大活躍でもするのか? もしくは俺が持ってるスキルにユニークモンスターに効くものがあるとか? 


 いや、そもそもどんなユニークモンスターなんだ? 一匹では無さそうなんだよな。一匹なら水見紗季一人で大丈夫だろうし。聞いたら答えてくれないのだろうか?


「じゃあ、どんなユニークモンスターなんですか?」


「詳しくはわかってないのだけど、とにかく数が多いことだけわかってるの」


 なるほど。群体のようなユニークモンスターってことか。


 そういえば、どれくらいの猶予があるんだろうか。


「依頼の日はいつなんですか?」


「それは、まだ正確にはわかってないの。分かり次第、ギルドの方から連絡をするように頼んでる」


 未来がわかる奇具もしくはスキルはそこまで万能ではないようだ。


 それから水見紗季は、報酬の件や防衛戦の場所を丁寧に説明していった。



「……………以上で、大体の説明は終わったんだけど何か質問はある?」


 いやマジで、なんで、この人が説明に来たんだ? もう直接聞いてみるか。


「じゃあ、一つだけ。なんで、水見さんが俺への説明に来たんですか?」


「それは……冬野くんに謝りたいことがあったからよ」


 謝りたいこと? なんだ?


「初めて会った時、喫茶店で話をしたでしょ。あの時言った、屋上の箒に指紋が付いていたなんて嘘だったの。本当にごめんなさい」


 そんなこと言われたか? あの日、話した内容なんていちいち憶えているわけがない。しかし、それを言うためだけに俺に会いに来たのか? なんというか、律儀だな。


「そして、本来護られるべき子供である貴方を戦いに巻き込んでしまって、ごめんなさい」


 そう言って、水見紗季は深く頭を下げた。


 水見紗季は俺が依頼に参加するのに賛成しているわけではなさそうだな。この人、強さ以外は普通に良い大人っぽいんだよな。


「頭を上げてください。水見さんが俺に依頼を出した訳ではないんでしょう」


 まあ、水見紗季を責めるのはお門違いみたいだしな。別に水見紗季には何も思っていない。俺に依頼を出した奴は許せないが。


「ごめんなさい」


 また、謝った。今日はすごい謝ってくるな。


「だから、大丈夫ですよ。話はこれで終わりなんですよね。俺はこれで失礼しますね」


 俺はそう言って、部屋のドアを開けてギルドの出口に向かって歩いていく。


 クソ! これが強制の依頼じゃ無ければ絶対に断ってるのに!!


 俺に依頼をした奴は絶対に許さん。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
未成年に対して戦闘を強制する依頼を出すのはデモが起きてもしゃーないクソ組織だな。
報告されているから依頼が来たと思っている感じ?
ろくに情報を開示しないのに拒否権がないのはあまりにもブラック過ぎる。闇バイトかなんかか?未成年にこんな強制依頼が公式に来たとかSNSで呟いたらえらいことになりそう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ