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ソロ探索者、ダンジョンに潜る  作者: 西校


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58話


「いってきます」


 休日の昼、昼ごはんを食べ終わった俺はダンジョンに行くために玄関の扉を開ける。


 数日、月見エリアを探索してわかったが、あのエリアは絶望的に俺に合わない。生い茂っているススキのせいでモンスターを先に見つけられないから、不意打ちができない。


 『気配隠蔽』のスキルを使っている限り俺が見つかることは少ないが、非常にやりにくい。


 今日は、思い切って五階層を探索してみようと思う。レベル的には全然余裕みたいだ。もしダメなら逃げよう。


 ダンジョンに向かって歩いていく。


 家と駅の中間ぐらいに差し掛かった時、甘い華の香りがした。


 椿の愛の効果が発動した時の合図!!


 ということは、俺は今何かしらの精神干渉を受けている? 誰が? なんの目的で? 


 焦る気持ちを隠して、あくまで平静を装い自然な形になるように周りを見渡す。


 周りを見渡すと、グラサンをかけた不審な女性が歩いていた。いや、俺はその女性に見覚えがある。


 すらっとした手足に芸能人のように整った容貌、いつか喫茶店で話した。おそらく、日本最強の探索者であろう人。水見紗季が街中を歩いていた。


 そういえば、あのサングラスに認識阻害みたいな効果があったな。それが、椿の愛の効果に引っ掛かったんだろう。


 いや、なんで? プライベートか?


 まあ、関わることはないか。何も見なかったことにして再び歩き出した。



 数十分後



 ギルドに到着した。


 五階層の地図を購入して、探索申請を済ませてダンジョンに入る。

 

 五階層の最初のエリアは資料によれば、幾つもの錆びた電車が置かれた廃車場みたいな場所らしい。四階層と比べると随分、時代が進んだな。


 ダンジョンのエリアはどういった基準で作られてるんだろうか?


 次に出てくるモンスターだが、車掌の服を着た黒いマネキンのような見た目をしたモンスターらしい。道路の標識をブンブン振り回して攻撃してくるみたいだ。当たったらヤバそうだな。


 これから探索するエリアの予習もできたことだし、早く5階層を目指すか。


発動:『気配隠蔽』


 ススキの中に身を隠しながら、階層を移動できる階段を目指す。



 数十分後


 

 モンスターに一度も会うこともなく階段に行くことができた。このススキ、隠れやすいな。


 気を引き締めて階段を降りて行く。少し降りれば、光が見えてきた。


 階段を降り切りダンジョンの門があるであろう広場に出る。

 

 そこあったのは、廃棄されたと思われる電車が何台も並んだ廃れた廃車場だった。


 廃棄された電車たちをよく見れば種類がバラバラだ。古い機関車やモノレールなど色々な時代の電車が並んでいる。


 それらの共通点を挙げるとしたら、ところどころ錆びついていたり植物が中に入り込んでいたりと全く手入れがされてない点だ。


 ダンジョンの門がある広場は、モンスターが入ってこないようにするためか周りを学校にあるような鉄柵で厳重に囲まれている。


 とりあえず、門の登録だけしておこう。


 周りの観察をやめて、手早く門の登録を済ませる。


 さて、さっそく探索に行きたいが、どうやってこの鉄柵から出るんだ? 他の探索者を見ていればわかるか。


 お、ちょうど門から今から探索に出かけそうなパーティが出てきた。この人たちを見てればわかりそうだな。


 そのパーティを目で追っていると、視界に鉄柵の扉が入ってきた。あれか。


 そのパーティは、その扉を開けて探索に向かっていった。


 俺もそれに倣い、扉を開けて廃車場エリアの探索を始める。


発動:『気配隠蔽』


 スキルを発動し周りを注意して、隠れながら探索していく。



 数分後



 いた。この階層のモンスターだ。その歩いているモンスターを隠れながら観察する。


 黒いマネキンに車掌の服を着せたような見た目に、手には普段見かけるような道路標識を持ち地面にガリガリと引き摺りながら歩いている。


 まずは、鑑定だな。


発動:『鑑定』


《エキイン。どの個体も道路標識を持ち、それを用いて獲物に襲いかかる。目や耳などはないが視覚や聴覚は有している。急所は頭や胸と人間と変わらないが外皮が少し硬い。なお、駅員とは別種》


 駅員? もう一種類モンスターがいるのか? そんな情報どこにも無かったと思うが。見落としていた情報があったか?


 まあ、考えるのは後だ。いまは、目の前のモンスターに集中しよう。


 とりあえず、いつも通り『投擲』で攻撃だな。


発動:『影操作』


 投げる用の槍を『影操作』で製作していく。この作業も、何回も繰り返しているからか初めの頃と比べて槍を作る速度が速くなっている。努力の成果が出たようだ。


 作った槍を構えて、『鑑定』に書かれてあった歩いているモンスターの急所の胸に狙いを定める。


発動:『投擲』


 俺の手から放たれた槍はモンスターの胸に向かって飛んでいき、胸に刺さるかに思えた。


 カァン


 と甲高い音が鳴り響き、槍がモンスターの胸に弾かれる。


 マジか。鑑定結果に少し硬いと書かれていたが、今の俺の影で作成した槍の練度では貫けなかったか。もっと切れ味を増やしたいところだな。


 いや、反省は後にしよう。今はモンスターだ。


 流石に俺に気付いて俺に向かってきている。しかし、標識を引きずりながら歩いているから動きは遅い。


 とりあえず、『影操作』で転ばしてトドメを刺そう。


発動:『影操作』


 モンスターの足元の影を操作して、足を引っ掛ける要領でうつ伏せに転倒させる。


 よし、成功だ。転倒してできた隙に一気に距離を詰めてトドメを刺す。


 血は全く出なかった。生物と違って血は流れてないのか。カボチャ頭と同じタイプだ。


 少しすれば死体は光の粒子に変わり、ドロップアイテムが出てくる。


 それを拾い上げ観察すると、見た目は先程倒したばかりのモンスター、エキインが被っていた車掌の帽子だ。今までのドロップアイテムからして、何かしらの効果があるのだろうか?


 鑑定してみよう。


発動:『鑑定』

 

《定刻帽子。装備していると、正確な現在の時刻がわかるようになる》


 正確な時刻か? どういった基準の正確な時刻だ? 世界単位で考えるとイギリスの時刻か? それとも、現在地によって変わるのか?


 少し気になるし装備してみるか。害はないだろう。


 周りを警戒しながらも検証のために定刻帽子を頭に被る。


 そうすると、頭の中に現在の時刻が浮かんできた。


 自分が持っている時計を見てみれば、ピッタリ同じ時間だ。どうやら、現在地の時刻を何時何分かまで教えてくれるらしい。秒数までは分からなかった。


 よし、検証も終わったし、今日はもうこの辺で帰るか。一体しか相手にしていないし、疲れてはないがここは初めての階層だ。何があるか分からない。


 そうだ。その前に一応、ステータスの確認だけしておくか。


「ステータス」


【名前】冬野 礼司 Lv29

【称号】『禁断の果実』『人魚の真実』『闇裂く狩人』『愛する貴方へ』

【スキル】『影操作』『鑑定』『回復』『投擲』『危機感知』『気配隠蔽』『プロテクション』『強打』

 

 お! レベルが1上がってる。後一回レベルが上がれば、スキルが手に入るな。良いスキルが出るといいんだが。


 ステータスの確認を終えて、再びギルドに歩みを進めた。

 

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― 新着の感想 ―
需要高そうなアイテムやな
場所柄ソウシキテツとか出そう。 トリテツとか大挙して出てきたら嫌だな。
ファンタジー感ある場所から都市伝説ホラーみたいなフィールドになりましたねぇ どういう基準で決まってるんでしょうねほんと
感想一覧
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