42話
カッキーン!!
そんな気持ちの良い音を響かせ、バットでこちらに飛んでくるボールを打つ。
今、俺が何をしているのかというと昨日取った『強打』のスキルの実験を兼ねて、ダンジョンに行く途中に家から近いバッティングセンターに寄り、バッティングをしている。
球速は割と高くに設定している。
そろそろ、次の球が来る。
ピッチングマシーンから球が放たれ、こちらに近づいてくる。
レベルアップしている影響で上がった動体視力のおかげで球がゆっくりに見える。・・・・・・・ここだ!!
発動:『強打』
カッキーン!!
甲高い音がバッティングセンター中に響き渡る。バットに当たった球は放物線を描きながら飛んでいく。
結構、良い当たりだったな。
ホームランとまではいかないまでも、遠くに落ちる。
やはり、何か武器を持っていても問題なく、『強打』の効果は出るな。
スキルを何度か使いボールを打ち続ける。
「はぁっ…….はぁ......っ……」
息が切れてきた。おかしい、レベルアップの影響で体力も上がっている。こんなにすぐに息が上がるはずがない。
スキルの影響か? 『強打』を使うと通常より体力を使うのだろう。だとしたら、戦闘中に何度も使うのはやめておいた方がいいな。トドメを刺す時とかの、ここぞというタイミングで使う必要があるな。
『強打』についての知りたい事は、確認できたし、ここで何もする事はないな。何球か打ってバッティングセンターを出る。
後は、モンスターに効果を試すだけだ。
数分歩き、駅に到着する。電車で一駅移動しダンジョン最寄りの駅に着く。
そこから徒歩で移動して、ギルドに到着する。
素早く探索申請を済ませて、ダンジョンの門を使い三階層に移動する。
今日はあくまでスキルを試すだけだ。時間もあまりないし一匹倒したら、帰ろう。
発動:『気配隠蔽』
スキルを発動し和街エリアを歩き回り、赤鬼を探す。
・・・・・・・・・・・・・・いた。運が良いことに赤鬼は俺に背を向ける形で歩いている。
『気配隠蔽』の効果が続いている間に走り出し、赤鬼との距離を詰めていく。
どんどん、赤鬼との距離が縮んでいき槍の射程圏内に入った。
今だ!! 赤鬼の心臓目掛けて槍を突き刺す。
発動:『強打』
走った勢いとスキルで強化された突きの威力が合わさり、ずぶりと赤鬼の心臓を槍が貫く。
やはり、槍でも発動できるのか。結構、応用が効くな。
赤鬼の抵抗を避けるために、すぐさま槍を抜きバックステップで赤鬼から離れる。
「ガアァァァーーーーー!!!!」
赤鬼は耳をつんざくような叫び声を上げながら、腕をがむしゃらに振り回している。
あまりの叫び声の大きさに思わず、俺は耳を塞いでしまう。
まずいな。これだけ大きな音を出せば近くの赤鬼がこっちに来るかもしれない。
そんなことを思っていれば、赤鬼は前のめりに倒れ力尽きる。
早くドロップアイテムを回収して、ここから離れないと。
光の粒子になり消えた赤鬼の死体から現れたドロップアイテムを回収して、その場からすばやく離脱する。
ドシン!!!
遅かったみたいだ。前の路地から出てきた赤鬼と目が合った。
流石に、これからもう一匹と戦うのは面倒くさいし逃げよう。
そう考えた俺は回れ右をして、走り出す。
赤鬼も逃げ出した俺を追いかけてくるが、走る速度が遅く距離はどんどん離れていく。
家屋の中に入ったりして、赤鬼の目から逃れるようにして走れば、数分で逃げ切ることができた。
今日はもう帰ろう。地図で現在地を調べて帰りの道を確認して、歩き出す。
20分程歩き、ダンジョンの門がある広場に到着する。
やっと着いた。思ったより遠かったな。あとは、ドロップアイテムを換金して帰るだけだな。
ダンジョンの門を潜ってギルドに戻る。その後は、いつも通り窓口で換金を済ませて、帰路に就いた。
そういえば、もうすぐダンジョンツアーがあるな。そのことを思えば、少しだけ憂鬱だ。
まあ、悩んでもしょうがない。なにかあれば当日に考えよう。




