34話
ピピピピ
聞き馴染んだアラームの音で目を覚ます。
重い瞼を開き、カーテンを開けて朝日を浴びる。
今日からもう学校が再開する。ダンジョン氾濫が起きた2日目に、再開するのは早すぎる気がするがこんなものか。ダンジョン氾濫もそこまで頻繁には起きないが、定期的には起きるからな。
さて、早く朝ごはんを食べて、学校に登校する準備をしよう。
リビングに降り朝ごはんの準備を済ませて、食卓に並べる。
「いただきます」
朝ごはんを食べながらテレビをつける。
「〇〇市のダンジョン氾濫はA.S.S.Fの活躍により・・・・・・・・・・・・・・」
どこの局も一昨日のダンジョン氾濫についてのことばかりやっている。まあ、当たり前か。
どうやら、一昨日のダンジョン氾濫で怪我をした人はいるものの死者は0人らしい。高校に現れたモンスターが最後の三匹だったようだ。だから、救助が遅れたのか。
「ごちそうさま」
朝ごはんを食べ終わり、食器の後片付けをする。
よし、後は学校に行く準備だ。顔を洗って歯を磨き、制服に着替える。
準備完了だ。少し早いがもう出てしまおう。カバンを背負い玄関に向かう。
戸締りの確認は済んだし、完璧だ。
「いってきます」
玄関の扉を開けて、外に出て学校に向かう。
十数分歩けば校門に到着する。
校門を潜り、下駄箱で靴を履き替え教室に向かう。
教室に近づいて行くと、いつもより教室がざわついている気がする。なんだ? どうしたんだ?
ガラガラと音をたてながら教室の扉を開ける。
教室を見渡せば、前の方に人だかりができている。よく見れば藤原の周りに人が集まっているようだ。
一体何があったんだ?
疑問を解消すべく、自分の席に座り前の集団が話していることに聞き耳を立てる。レベルアップして身体能力が上がっていることで、一人一人の話し声が鮮明に聞こえる。
「藤原さんがA.S.S.Fに誘われてるって本当!?」
「あの後、水見さんに直接勧誘されたって聞いたよ!」
どうやら、水見紗季が藤原をA.S.S.Fに誘っているという事が噂になり、その真偽を確かめようと周りに集まっているらしい。質問攻めされている当の本人は、人に囲まれて困っている様子だ。
それにしても政府の組織に勧誘されるなんて、すごいな。回復系のスキルを持っている奴は結構いるが、藤原のスキルはこの前のダンジョン氾濫の時に怪我をした生徒に使っている所を見たが、ほぼ一瞬で治していたしな。レアなスキルなんだろう。
キーンコーンカーンコーン
授業の五分前を知らせるチャイムが鳴り、前で藤原を質問攻めしている集団が席に座り始める。
先生が教卓に立ち、日直に号令を促す。
「起立」
クラス全員が立ち上がる。
「礼」
数時間後
キーンコーンカーンコーン
6時間目の終わりを告げるチャイムが鳴る。
やっと、終わった。
帰りの支度を済ませて、さっさと教室を出る。
下駄箱で靴を履き替え、校門を潜り帰路に就く。今日のダンジョン探索はどうしようか。昨日は行ってないから今日は行くか。
そうと決まれば、さっさと家に帰って準備しないと。
「あの! 冬野くん!!」
早く帰ろう足を早めようとした時、後ろから声をかけられる。聞き覚えのある声だ。
この前もあったぞ、こんな状況。俺は後ろから声をかけられる呪いでもかけられてるのか。今度、お祓いでも行ってみるか? 流石に声をかけられすぎだろ。
そんなことを考えながら振り返る。そこには、予想通り藤原がいた。
「今日は、これから用事はありますか?」
唐突だな。何の用だ? 相談に乗った貸し借りは無くなったはずだ。まさか、この前のダンジョン氾濫で手助けした事についてか? だが、あれが俺だってバレる訳がない。槍を投げた後すぐに隠れた。そういうスキルを持っているなら別だが、そんなピンポイントで誰だったか分かるスキルなんて聞いた事がない。
いや、今考えた所で答えなんて出ない。本人に何の用事か聞いてみよう。
「えっと、藤原さん。今日はどうしたのかな?」
「はい! 今日は少し話したい事があるんです」
「その話したいことって何かな?」
まさか、本当にバレたのか?
「少しだけ長話になるので、何処か喫茶店にでも入りませんか? それに、冬野くんと話をしたいのは僕だけじゃないんです」
誰だ? 藤原と共通の知り合いなんて、いた覚えがないぞ。怪しいな。
正直、行きたくないがここで断っても違う日になるだけだろう。とりあえず、話を聞いてみるか。
「わかったよ。えっと、喫茶店はどこに行くか決まってるの?」
「あ、はい。これから、合流する方がおすすめしてくれた場所があるんです。私について来てください」
そう言って、藤原が歩き出した。変な場所だったら速攻で逃げよう。
「話が纏まったようで良かったわ。じゃあ、早速行きましょう」
後ろから話しかけられると同時に肩に手をかけられる。
は? 誰だ? 知らない声だ。後ろから近づいて来てたのに、全く気づけなかった。
その声の主人を確かめようと振り返る。そこには、サングラスを掛けた長身の女性がいた。全く見た事がない。
「あ! 水見さん!」
その女性がサングラスを外すと、正体が急に分かるようになった。
は!? 何でこの人がここに!?
そこには、よくテレビなどで見かける水見紗季、その人が立っていた。




