17話
今日は遂に入学式の日だ。
『気配隠蔽』と『危機感知』を手に入れてから狩りの効率が格段に上がり、毎日ダンジョンに潜り続けていれば、遂に高校入学の日になった。レベルも17になった。
朝食を食べ、制服に着替える。
いつもは、ダンジョンに行く時の格好でしか外に出ないので少し新鮮だ。まだ時間はあるが、余裕を持って着いていた方がいいだろう。
というわけで、必要な物を学校指定の鞄に入れ玄関に向かう。
戸締りの確認もしたし、制服もちゃんと着れてる、よし。
「いってきます」
玄関の扉を開け、学校に向かった。
道中咲いていた綺麗な桜を見て、あらためて高校に入学するのだという実感が湧いてくる。
俺と同じ制服を着た人達がちらほらと見えてくる。あそこが校門か。
何か列が出来ていると思えば、写真を撮る為の待機列か。その列を避けて校門を潜る。
「おはようございます!」
「おはようございます」
校門の側に立っていた先生に挨拶を返して、案内に書いてあった体育館を目指す。
体育館にはすぐに着いた、座る席はあらかじめ決まっているらしい。壁に貼ってあった紙の通りに席に座り、少しすれば入学式が始まった。
入学式は特に変わった様子はない。眠たくなるほどつまらない校長の話、国歌斉唱、在校生の言葉などを聞いていれば終わった。
これからの予定はあらかじめ決まっていたクラスの教室に案内されるらしい。自己紹介でもするんだろうか。
おそらく担任の先生であろう若い女性が先導する。階段を登り、教室に到着する。
出席番号順に座るらしい、座席表を見て後ろの方に座る。
全員が座ったのを確認した先生が黒板を前に自己紹介を始める。
「私はこの1年1組を受け持つことになった川田理沙です。担任を持つことになったのは初めてだけどみんなと一緒に頑張っていけたらなと思ってます。よろしくお願いね」
チラホラと先生に挨拶返す。
「じゃあ、せっかくだし一人ずつ自己紹介しようか。名前と好きなこととか一言。順番は............出席番号一番から」
教室が少しざわつく。無理もない、いきなり自己紹介をさせられるとなれば誰もが動揺するだろう。
「じゃ、じゃあ、俺から・・・・・・・・・・・・」
次々と自己紹介をして行く。
「はーい。じゃあ次は俺だな。俺の名前は中村一郎。気軽に一郎って呼んでください。好きなことは体を動かす事。ちなみに探索者してま〜す。」
見るからにチャラそうな男子が自己紹介する。探索者という言葉に教室中がざわつく。探索者ってことをバラすのか。バカだな。
「レベルはどれ位なの〜」
教室のざわめきに紛れ誰かが質問する。
「うーん、今は6レベルかな」
「え、じゃあ、スキル使えるの!」
「使えるよ」
「はいはい、質問はあとでね。じゃあ、次の人」
放っておけば終わらないと思ったのか先生が止めに入り、次の人に番を回す。
その瞬間、教室の空気が一拍止まった。
スッと立ち上がったそいつは、まるでドラマから飛び出してきたような美少女だった。
長い金髪がさらりと肩に流れ、制服のリボンすらどこか映える。
おっとりとした目元、澄んだ青い瞳に、整いすぎた顔立ち。
教室のざわめきが、自然に静まり返っていく。
「は、はい、ぼ.....僕の名前は藤原悠です。好きな物はゲームです。よろしくお願いします」
爽やかな澄み切った清流のような声だった。
特別な何かをしているわけじゃないのに、その佇まいだけで誰もが息を呑んだ。
どこかで見覚えがある。・・・・・・・・・そうだ。いつしか、ダンジョンですれ違った奴だ。同い年だったのか。というか、僕っ子!? すごいな。
この雰囲気の中、自己紹介を続けるのか。
というか次の番は俺だ。早く済ませてしまおうと立ち上がる。
「冬野礼司です。好きなことは体を動かす事です。これからよろしくお願いします」
こんな物でいいだろう。拍手がまばらに聞こえる。
異様だった雰囲気が元に戻り後ろのやつも自己紹介して行く。
最後のやつも自己紹介を終え、先生が話し始める。
「じゃあ、このあとは何もないなら帰ってもいいことになっています。明日は遅刻せずに登校しましょう。みなさん、さようなら」
何もすることはないし帰るか。
「悠ちゃ〜ん! 帰ろう!」
前の席のやつに早速話しかけている。どうやら、前からの知り合いらしい。
まあ、俺に関係ないな。
今日はダンジョン探索はどうしようか、などと考えながら帰路に就いた。




