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身近なる心霊スポットに心を寄せるある夏の宵

 唐突な話ですが。

 少し前に、近所に強力な心霊スポットがあるのを知りました。


 たまたま、我が家に訪ねてきた業者さんがふたり、いとまの際に、

「帰りに回って帰りたいのですが○○という場所を知ってますか?」

 と訊くのです。

 もちろん、地元では知らない人もない場所ですので、お教えしました。


 どうして? 

 後からネットで調べてみるに、そこは全国的にもかなり、ホットな心霊スポットでした。


 いわく

「近くで女子高生が自殺した」

「死体遺棄事件の現場である」

「自殺者が他にも」

「不思議な音が絶えず聞こえる」

 等々……


 現代的で面白かったのが

「あのユー○ュー○ーの××が訪ねた」という枕詞でしょうか。

 確かに動画にも、ありました。


 ここで、まったく知らない場所ですと「おおおお~~!!!」となるところなのですが、実はこの場所、地主さんが近所におられまして。

 その方が、また、良い人なんですわ。

 ある時、地区の集まりでふと、こう苦笑しておられました。

「なんかさー、ちかごろ○○がネットでヤバい場所って言われてるらしくてさ~~(笑)」

 度重なる不法侵入者のせいなのか、単にほったらかしのツケなのかは不明ですが、少し分け入った私有地の路肩も少し崩れ気味らしく、もう少ししたら手を入れないとなー、とのこと。


 ここで事実と異なる点がいくつもありまして。列挙しますと


・その場、または近辺で女子高生が自殺した事実は皆無だということ。

・死体遺棄事件はかなり昔にあったが(ヤ○ザどうしの諍いの末)、そこから少し離れた場所で、その○○はまったく関係ない場所だということ。

・自殺者が他にも、というが、確かに近くの山小屋で自死があったが、それ一件だったこと、また、自死じたいは(かなしいことに)全国でもまったく珍しくない事案であること。

・山の中なので、町なかから来るとあたりかまわずそりゃー、不思議な音しか、しないでしょー、って山奥なこと。


 ですかね。


 私も仕事や緒事情でその場を何度も通るのですが、特に恐ろしい目にあったことは、まったくございやせん。

 そして土地所有者の方は、農作業のたびにそこを行き来されておりますが、今でもとっても、元気いっぱいでやんす。


 こうして思うに、何かの噂に尾ヒレがついて、あっと言う間にモンスター級のお話になってしまうのは、たぶんここだけではないのだろうな、と。


 最近、何かの機会に、どなたかのお名前のついたサイトを拝見したことがありました。

 日本全国、特にマンションアパートの事故物件などについて、その内容を地図に従って告げてくださるという、これからその近辺に住みたいがあまり物騒な所は嫌だなー、と感じる方がたにはもってこいのサイトであったような気がします。

 私も以前住んでいた何ヶ所かをその地図で拝見し、たまたま同じアパートであった『事件』を後あとになって知る、ということもありました(少し寒気が)。


 それでも、それ以上に感じたことは……


 この地図に載っていない何千何万かの事故・事件・不幸な出来事があまりにも多すぎ、しかも自身もよく知っているということが多く。

 事故、慾がらみの事件、心中、自死、内容も事情もさまざまな。

 それらはほとんど、載っておりませんでした。なぜかその事実に安心したりもしましたが。


 地図じたいがあてにならないということもある上に、この世の業の深さを改めて、思い知ったわけでありまして。


 この世の不幸がすべて、地図にもれなく載っていたら、いったいどうなることになるのか?

 すべての場所が動画で『心霊スポット』として紹介されていたら、どうなるのか?


 まあ、たぶん深呼吸する場所すら残されていないかなー、と、ね。


 知らぬが仏。


 と言いつつも、やはり、亡くなった方々への追悼の思い、遺された方がたへの労わりの心は忘れてはいかんなー、と。



 なぜこのようなお話を急にしたか、といいますと……


 今日、子どもを連れて近所の公園を通りかかった時に、その子が急に思い出して言ったのが


「この××公園の、あの場所(指をさして)、霊感の強い子がね、夜、通ろうとして足がすくんで通れなくなってね……」


 その場所は、奇しくも、知人の幼い娘さんが事故で亡くなった場所に程近かったのです。

 言おうかどうしようか迷ったのですが、軽く、その事実だけは話しておきました。


 知っている人が不幸にあった場所ですと、どうしても「心霊」とか「オカルト」ってことばを無邪気に使えないものなのだなあ、とちょっと思ってしまいまして……

 私も、ホラーとかオカルトとか、嫌いではないのですが、そこはしっかり、心に刻んでおきたいな、と改めて感じた次第です。 


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