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日本に戻れる異世界転移生活で詐欺師が望むモノ ~戦闘チートはないけど、占いと日本の物資で頑張ります!~  作者: 出雲大吉


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第114話 小笠原アミは死に、レティシアは生きる


 アルトの我が家に戻ってきた初日を終え、翌日となった。

 この日は24時間の充電期間を終えたため、日本の家に帰る予定となっている。


「いつ帰るかねー」


 俺は朝ご飯を食べながらどうしようか悩む。


「ご飯を食べ終えたら日本に行くんじゃないの?」


 俺のつぶやきにレティシアが反応した。


「時差があるから今帰っても深夜だぞ?」


 今は朝の8時だから向こうは深夜の2時だ。


「あー……そんなことを言ってたわね。私は別に構わないけど……お風呂入りたいし」

「じゃあ、そうするかー……イレーヌさんも構いませんか?」

「はい。大丈夫です。正直、いまだに異世界に行けるっていうのが意味不明で時間は気になりません」


 異世界に行くってことを考えれば、時差は些細なことか。


「じゃあ、そうするかー」


 俺達は朝ご飯を食べ終えると、片付けと準備をする。

 そして、準備を終えたので、スマホを起動させた。


「よーし、転移するぞー。昨日の父さんと同じように俺に触れろー。あ、スマホが見える位置な」


 俺がそう言うと、4人が俺の肩に触れてきた。

 さすがにフィリアとヘイゼルはレティシアとイレーヌさんがいるので抱きついてはこない。

 そらそうか……


「じゃあ、この画面を見ろー」


 俺はスマホを掲げ、アプリを起動させた。

 スマホの画面にいつものぐるぐる画面が表示される。


「うわー、催眠術をかけられているみたいねー。気持ちわるっ!」


 レティシアのドン引きしている声と共に視界が白く染まっていった。



 視界が収まると、日本の家に戻ってきていた。

 ただ、時刻は深夜のため、暗くて何も見えない。

 俺はスマホのライトを頼りにすぐに電気をつけた。


 電気をつけた後、チラッとレティシアを見ると、レティシアは茫然としていた。

 イレーヌさんは天井の電灯を見た後、キョロキョロと部屋を見渡している。


「日本ね……日本の家だわ」


 レティシアがポツリとつぶやいた。


「そうなんですか? 確かに見たことがない物が多いですね。というか、灯りがやけに明るいですね。アルトの家でも思いましたが、ここはそれ以上です」

「こっちの世界は魔法がない代わりに科学が発達したのよ」

「前に聞いたことがありますが、これはもはや魔法では?」


 俺もそう思う。

 発展した科学は魔法と変わらない。

 こっちの世界で暮らしていた時は当たり前だったが、あっちの世界に行って生活をしていると、本当にそう思う。


「ある意味、魔法よりもすごいわよ。それにしても、あんたって、良い家に住んでんのね?」


 レティシアも部屋を見渡した。


「ここは実家だな。結婚した時に家をもらったんだよ。ここは宝くじ御殿でな、母親が未来視で儲けた金で建てた家なんだわ」

「そういえば、未来視があれば、お金なんて好きに手に入るわね」

「だから俺の両親は働きもせずに遊んでんだわ」

「幸せそうな一家ねー」


 いや、俺は働いているから。

 半分詐欺だけど。


「まあ、ゆっくりしてくれ。風呂に入るか?」

「そうね。懐かしき日本のお風呂に入ろうかしら?」

「あ、準備をしてきます」


 フィリアがそう言って、風呂場に向かっていく。


「テレビをつけてもいい?」


 レティシアが聞いてきた。


「いいけど、2時だぜ? ニュースくらいかね?」

「それでもいいわよ」


 レティシアはソファーの前にあるローテーブルの上に乗っているテレビのリモコンを取ると、電源を押した。

 テレビが点くと、テレフォンショッピングの番組が流れている。

 若い男女がオーバーなリアクションで包丁を紹介しており、見たことある番組だ。


「言葉がわかりません」


 テレビを見たイレーヌさんが首を振った。


「くだらない番組ね。本当にくだらない…………ほ、本、当に…………」


 レティシアはテレビから視線を切ることもなく、ただ涙を流している。


「レティシア…………」

「リヒト、ありがとう。今、ようやく理解した。私は……小笠原アミは死んだのね…………夢でもない。私の頭がイカれたわけでもない。本当に死んだのね…………」


 ずっと夢見心地だったのか……

 いや、心の底では夢と思っていたのかもしれない。

 だからあんなに簡単に前世の自分の死を受け入れてたんだ。


「姫様! あなたは小笠原アミではありません! レティシア様です! 前世の記憶があるかもしれませんが、あなたがレティシア様であることを忘れないように。今の自分を否定してはいけません。過去に捕らわれた者は破滅します。お気を確かに!」


 イレーヌさんはレティシアの前に回り、跪いてレティシアに活を入れる。


「そうね…………そうね」


 レティシアはイレーヌさんに抱き着き、ただ涙を流していた。

 俺とヘイゼルはただそれを見ているだけだ。


 母さんが言っていたのはこれか…………

 これが未来視で見えていたのだろう。

 だからレティシアにイレーヌさんを頼れって言ったのだ。


「リヒト…………教えて。私のお父さんとお母さんは?」


 ようやく聞いてきたか…………

 今まで絶対に聞いてこなかったことを。

 前世の自分の死を受け入れる気になったからだな。


「残念ながら亡くなっている」

「…………そうよね。あれで生きてたら奇跡よ。現場を見に行こうかしら…………」

「それはダメだ。さっきもイレーヌさんが言っていたが、死に引っ張られるぞ。下手をすると、お前という存在が死ぬ」

「姫様、リヒト殿の言う通りです。絶対に行くべきではありません」

「そう…………お花くらいは供えたかったのだけど…………」


 両親へか…………


「それは俺が供えておいたし、お前の両親も成仏している」


 俺はネットで事故を調べた後に事故現場に行った。

 正直なことを言うと、レティシアの両親は地縛霊となり、悪霊の一歩手前だった。

 無念だったのだろう。

 さすがにこれはレティシアには言えない。


「成仏…………そういや、あんたって、霊媒師とか言ってたわね」

「それが本業だよ。お前の両親が成仏してどうなったかは知らない。輪廻転生か仏になったかはわからんが、安らかに逝った」

「そう…………ありがとう」


 レティシアは泣きながらイレーヌさんを強く抱きしめた。

 イレーヌさんも子供をあやすようにレティシアの背中をさすっている。


「あのー…………お風呂の準備が……」


 いつの間にか戻ってきていたフィリアが気まずそうに声をかけた。


「あ、そうね。悪いけど、いただくわ。イレーヌ、来なさい。使い方を教えるわ」


 レティシアはイレーヌさんから離れると、涙をぬぐった。


「あ、レティシア様の着替えを脱衣所に置いておきましたので使ってください」

「着替え? え?」

「来られるということで買っておいたんです。新品ですし、どうかお使いください」


 この前、フィリアとヘイゼルが買っておいたのだ。

 俺は少女の服なんかわからんから見てただけ。


「わざわざ悪いわね」

「あ、イレーヌさんも用意してますけど…………」

「私のですか? えーっと……」


 イレーヌさんが悩んでいる。

 まあ、この人はこの世界の服とか知らんしな。


「あなたも着替えなさい。外に出るとしてもメイド服はマズいわ。リヒトがヒソヒソされるから」


 うわっ、されそう!


「イレーヌさん、着替えてください。あなたはメイド服が似合いすぎてヤバいです。主に私の尊厳がヤバいです」


 俺は必死に懇願する。

 日本でメイド服は100パーセント、コスプレになっちゃう。


「あ、はい、わかりました。では、着替えさせていただきます」

「ごゆっくりどうぞー」


 レティシアがイレーヌさんを連れていったので、俺達はソファーに座って待つことにした。


 しばらく待っていると、レティシアとイレーヌさんがお風呂から上がり、戻ってくる。


「いやー、あんたの家のお風呂って広いわねー。それにしても、久しぶりに満喫したわー」


 レティシアは首タオルをかけ、笑顔である。


「あのー、この格好、変じゃないです?」


 イレーヌさんは白のシャツを着ており、下は黒のパンツスタイルだ。

 俺から見たら普通だが、イレーヌさんにとっては違和感がすごいのかもしれない。


「普通よ、普通。というか、こうやって見ると、イレーヌってスタイル良いわね。さすが騎士!」


 可愛らしい格好をしているレティシアがイレーヌさんを褒めた。


「こっちの世界だとそれが普通なんですよ。嫌かもしれませんが。まあ、我慢してください。というか、剣を置いてもらえません? それで外に出ると、銃刀法違反で捕まるんですけど…………」


 イレーヌさんは普通の格好だが、手には剣を持っている。

 非常に怖い。


「あ、イレーヌ、この国は武器を所持するのは禁止だからマジで捕まるわよ」

「それでは姫様を守れません」

「私を襲う人なんて…………いや、いるかもだけど大丈夫よ!」


 金髪碧眼の少女なんて、おっきいお友達が好きそうだもんなー。


「えー……剣がないと……」


 騎士だもんなー。


「えーっと、ちょっと待ってくださいね」


 俺は棚から昔、異世界で使えるかもと思って買った伸縮式の特殊警棒を取り出した。


「これをあげますので、剣の代わりに使ってください」


 俺は警棒をイレーヌさんに渡す。


 イレーヌさんは警棒をじっくり見たり、叩いたりして強度を確認している。

 そして、振って警棒を伸ばすと、何度か素振りをした。


 なお、その音がヤバく、脳天をかち割られそうな気がした。


「これは良いですね。仕込み剣よりも強度が高く、携帯も楽です」

「あのー、おねがいですからむやみにやたらに使わないでくださいね。護身用の物ですけど、あなたが使ったら軽く人を殺せそうです」

「姫様に害なす者は殺します」


 こっわ!

 神父様もあんな母親の為ならこんな感じだったのだろうか?


「レティシア、出かける時には絶対に俺のそばから離れるなよ」


 俺がいたらさすがに変態さんはやってこないだろう。


「そうするわ…………あっちの世界ならまだいいけど、日本でこれはマズい」


 レティシアも自分の騎士にちょっと引いていた。

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― 新着の感想 ―
レティシアさんが 軽く小突くだけで 脳天かち割れそうだもんねwww
[一言] 別嬪な外人さんが出入りしてるからすでにひそひそされてそうですよね また増えたぞってなもんで ママンつながりで想像されているかな?実際フィリアとレティはソフィアつながりでもありますね
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