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 優姉のところにこっそり忍び込もうとしたらすでに先客がいて、しかも超キスしてた。

 嫉妬でどうにかなりそうで、我慢できなくて突入した。


 私だって優姉とキスしてる。キスをして、繰り返す度に、どんどん優姉にひかれる自分がいて、どんどん好きが増えていって、もう言い訳できないくらい恋をしている。

 だからもう、シュリに恋人の立場をとられたままなんて嫌だ。妹としてシュリに軽くキスするならいい。でも、恋人は私がなりたい。私は妹なんてもう嫌だ。


 この、体中から湧き上がる感情は、もはや恋という一つの単語で表現しきれていないとさえ思う。だけど私は馬鹿だから、うまく言葉にできない。ただ好きだ。

 いつでも優姉を思ってる。優姉を抱きしめたい。キスをしたい。私だけを見てほしい。優姉。優姉が好きだ。大好きすぎて、いつも頭がおかしくなりそうだ。

 本音を言えば優姉から一秒たりとも離れたくないし、優姉と永遠にくっついていたい。もちろん無理なのはわかっている。物理的に不可能だ。それでも願ってしまう程度には、好きだ。


 どうしてこんなに好きなのかもはや自分でもわからない。でも好きだ。ずっと前から好きだった。それに恋愛感情まで追加されてしまえば、もう私の優姉への愛は天井知らずだ。


「シュリ、ごめん」


 でもだからって、私のやってることが正しいとは思わない。自分の行動を正当化出来るなんて、思ってない。

 どれだけ言い訳したって、シュリと優姉は恋人で、そこに無理やり割って入ったんだ。

 もちろんだからって、やったことを後悔していない。悪いことはわかってる。わかってるし、シュリに対してごめんねという気持ちはある。


「……謝らないで。ユカナに対して、色んなことを思う。でも、ユカナのことも好きだよ。だから、私も悪いから、謝らないで」

「……わかった」


 シュリに悪い部分があったか思いつかないけど、本人がそう言うなら言うのはやめよう。


「シュリ、一緒に寝よう」

「……わかった」


 今日はなんだか、一人で眠りたくない気分だ。


 シュリに用意された部屋に行き、布団に潜り込んでシュリに抱きつく。ぎゅっと抱きしめると、シュリもまた、そっと私を抱きしめてくれた。

 同じことを考えているのだとは思わないけど、根底には不安感があるのだろう。


 ついに優姉に二者択一を迫ってしまった。

 どんな結果になるにせよ、何らかの回答はあるだろう。どうなるのか。選ばれないことへの不安、同時に選ばれることにも不安はある。

 シュリのこと、私だって好きだ。いいやつだ。友達として以上に、一緒にいるだけ家族や身内に近いくらいに情ができた。だからこそ、嫌われたり気まずくなるのは嫌だ。

 自分勝手なのはわかってる。それでも、嫌なものは嫌だ。


「シュリ……ごめんね」

「……」


 シュリは返事をしなかった。寝たふりをしているらしい。

 それならそれで、勝手に話をさせてもらおう。独り言をなんて言おうが自由だ。


「シュリのこと、好きだよ」


 顔をみなくていいくらいに、シュリを抱きしめる。いや、体格的には抱きついてると言うべきか。


 本当は、シュリに譲るべきだと思う。ずっと一緒にいられるわけじゃない。日本に帰るまでの間だけだ。でもどのくらいかわからない。帰れないかも知れない。

 だけど、帰れないとしても、私たちは老けないのだ。仮にエルフと同じくらいだとしても、50年をシュリに譲っても私には100年ある。だから譲るべきだと思う。

 でも嫌だ。我が儘なのはわかってる。それでも優姉がシュリの恋人なのは、嫌だ。

 もちろん優姉がシュリを選ぶというなら、仕方ない。悔しいしむかつくし、泣くし、二人のこと見てられなくて一年くらい逃げるかも知れないけど、でも優姉の決断なら仕方ない。

 優姉が選ぶというなら、もう二人の邪魔をするつもりはない。


 駄目なら駄目でちゃんと、恋人がいるからじゃなくて、シュリと比べて駄目だからと言ってほしい。


「シュリなら、嫌だけど、許す。だから、選ばれても気を使わないでよね」


 これは私と優姉がただの姉妹に戻るために必要な過程なのだ。少なくとも私にとっては必須だ。だから嫌な思いをさせるけど、少しだけ我慢してほしい。


 私が泣いて逃げて落ち着いたら、二人とはちゃんと元の、姉妹で家族で友達な、そんな関係に戻るから。


 ああ、でも、それは、本当に。どれだけ覚悟をしていても、想像するだけで泣けるくらい、辛いな。








 ユカナは、本当に、馬鹿だ。二人のどっちがいいかなんて、そんなのユウコに聞いたらユカナを選ぶに決まってる。

 なのに、ユカナは自信がないらしい。いつもは自信満々で、力一杯引っ張ってくれるのに、こういうことには自信がないなんて、可愛いと思ってしまう。ずるいなぁ。


 選ばれても気を使うな、なんて、ユカナは小さいのに、人のことを考えて、本当に偉い。

 私は自分のことしか考えてないのに。ユウコとユカナがキスをしてるのは結構前から知ってた。でもそれを言ってユウコに選ばせたら、私は選ばれないから、それが怖くて、嫌で、言わなかった。

 ユカナとキスをしても、私ともしてくれるならいいと思ってた。


 でもユカナははっきり嫌だと言った。自分は選ばれないと泣くくせに、どちらもじゃなくてどちらかを選べとユウコに迫った。

 ユカナは本当に強い。強くて、優しくて、惨めになる。ユウコは私がただ先に告白したから恋人にしてくれただけだ。ユカナが先ならユカナと恋人になって、私がどんなに言ってもキスをしてくれることはないだろう。

 私はずるくて、自分勝手で、弱い。


「これは、寝言だけど……ユカナこそ、気を使わないでね」


 ユカナは私にとって、妹のような家族のような、凄く大切な、友達なんたから。

 ユカナと気まずくなるのは私だって嫌だよ。


「シュリぃ」


 痛いくらいに抱きついてくるユカナの頭をそっと撫でた。











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