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エピローグ

本日、複数話を投稿しています。

よろしければそちらを読んでからエピローグをお読みください

結婚式の日は晴天になった。



当日、アリスとカーラとベスが私の支度を手伝ってくれた。


アリスは

「あの引きこもりだったお嬢様がまさかお妃様になるなんて」

と目に涙を浮かべながらドレスの隅々までチェックしてくれた。


私のアンバー色の栗毛は綺麗に編み込まれ、頭の上には大きなダイヤモンドがあしらわれたクラウンを乗せた。


幾重にもレースを重ねたスカートは、どんな姿勢になっても綺麗に見えるように魔法がかけてある。

手袋はレースでできた手首までのものをつけた。


エメラルドの指輪は、オルゴールに入れたままリングピロウに乗せて、後続の馬に乗ったトーマスさんが運んでくれる事になっているから今はつけない。



「さすがマリーナ様。お美しいです」

準備を手伝ってくれた3人は嬉しそうに笑った。




支度を終えて控室から出ると、両親とギルバートが待っていてくれた。


「マリーナ、綺麗よ。

自分で幸せを掴んだ貴方を尊敬するわ。

あなたのおかげで、アデレイド領は戦地にならずに済んだの。本当にありがとう。」


「マリーナ、これまで本当に頑張ってくれたね。

これからは自分の幸せだけを考えるんだよ…と言いたい所だが。

マリーナらしく頑張れば公務も何もかもきっと大丈夫。」


「姉上。幸せになってくださいね。

私も姉上に負けない位、立派になってみせます」


両親と、みるみるうちに頼もしくなったギルバートが私を囲んでそう言ってくれた。


3人の後ろに控えているノエルは微笑んでいた。




「準備はできた?

そろそろパレードの時間だ」

と、リスト様が来た。


リスト様はプラチナブロンドを後ろに流し、軍服に似た王族の式典用の服に、胸には沢山の勲章を付けて、ホールで待っていた。


トレド子爵とは違い背筋を真っ直ぐに伸ばし、髪は後ろに流しているので綺麗なブルーグリーンの大きな瞳と長い睫毛が際立っている。



私の手を取り、

「マリーナ、いつも綺麗だけど今日は一段と美人だよ。

大変な事も多いかもしれないけど、生涯私と共に過ごしてほしい」

と言うと、手袋越しにキスをくれた。


それから、私をエスコートしてアデレイド侯爵邸の門の外に出た。






第二王子の結婚式のパレードには二人を一目見ようと沢山の国民が集まった。


それは『腹心を失った王子と婚約者を失った貴族令嬢が愛を育む』というドラマや小説が女性の間で大ヒットしているからで、そのモデルとなった二人を見るために沢山の人が集まったのだった。



真っ白のウエディングドレスに、大きなダイヤモンドがあしらわれたクラウンをつけて、リスト様のエスコートで待機している馬車までの短い道のりを歩く。


足元の真紅の絨毯を一歩、一歩、ゆっくり歩く。


そしてオープンタイプの馬車まで来ると、執事のトーマスさんが控えており、私達が乗り込むのを見届けると扉を閉めてくれた。


馬車はアデレイド侯爵邸からゆっくりと大通りをパレードしながらザーランド教会へと向かう。



私達は沿道のギャラリーに向かって手を振った。



王城が正面に見える場所を通過した時だった。


あのオルゴールから綺麗な音色が流れて、沢山の花吹雪が舞い上がった。


花吹雪はキラキラと光りながら、街中に散っていく。

手のひらに乗るくらいの小さなオルゴールから鳴る音色は、遠いところまで響いた。



沿道の人々は、優しい音色の音楽が流れる花吹雪の中で、馬車に乗って手を振る第二王子とマリーナ妃に手を振りかえしていた。





結婚式はザーランド大聖堂で行われ、前シラウト侯爵様こと現ザーランド司教様が式を執り行った。


式では、リスト様が魔法陣を描き、リスト様と私は夫婦としての婚姻の儀を行った。

魔法陣は、今度は右手の薬指の指輪へと変わり、小指の指輪が無くなった。


そしてリスト様に薬指に、あの大きなエメラルドの指輪をはめてもらった。



その後、大規模なパーティーが行われた。

そこには国中の貴族や国外の要人が招待された。


沢山の招待客の前で、前王妃様から託された大きなエメラルドの指輪をつけた私とリスト様が挨拶をした。




国宝級の指輪は、招待客の噂の的になった。



フィオナ・フリト侯爵令嬢は

「新興貴族から第二王子に乗り換えね。上手くやったわね」

と周囲の人にいい、

「私も婚約者候補だったのに。

私が最有力だったのよ?だから本当はあの指輪は私の物になるはずだったのに!」

と言っていたようだ。


私の事を快く思っていない人も一定数居ると思う。

そんなの最初からわかってた事だから気にしない。



昔みたいに色々考えるのはやめた。


これから嫌な事もあるかもしれないけど、それ以上に楽しいことやワクワクする事が待っているから。

そう思ってリスト様を見ると、リスト様は私に微笑みかけてくれた。



「フリト侯爵令嬢は、私の婚約者候補だったんだよ。

他にも婚約者候補が何人かいたけど、諜報の仕事をしていると、普段の様子を垣間見る瞬間がよくあるんだ。

どのご令嬢も、ドレスと宝石とゴシップにしか興味がなかった…。

だからマリーナに出会う前は、他国に婿養子に行くか、一生独身でいこうかと考えていた。」

そして私を真っ直ぐに見て


「マリーナと出逢えてよかった」

とリスト様は言ってくれた。








それから後、先代王妃様の残した指輪は、実は王宮地下迷路の開かずの扉の鍵ではないのか?と大騒ぎになったり。


一時的に、旧ラナス侯爵領を統治する事になり、視察に訪れたダイヤモンドが採れなくなった鉱山からレアメタルが産出して大騒ぎになったり。


健康になった弟のギルバートが第四師団長に弟子入りをしたり。その第四師団長は、世界的に有名な大魔法使いの仮の姿だった事が発覚したり。





この後も色々な事が起きるけれど、それはまた別のお話。






これで完結となります。

いかがでしたでしょうか?

楽しんでいただけましたか?


続編を始めました!

読んでいただけると嬉しいです。


https://book1.adouzi.eu.org/n7766hf/

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