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スーパーヒーロー、異世界へ行く ~正義の味方は超能力で無双する~  作者: はらくろ


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第二十一話 王城内への潜入 その3





 あれからじっくりと時間をかけて、一階の各部屋を見て回った。

 もちろん、阿形さんは『格納の術』で取り込んだ時計を見ながら時間を教えてくれてる。


『一八くん。そろそろ日付が変わりそうだ』


(ということは十二時ですね? 時計をみつけてから三時間半)


『あまり収穫があったとは思えんな』


(僕たちが探しているここがおそらく、倉庫だからというのもあるんでしょうね)


 僕たちがこれまで見つけたのは、最近搬入されたと思われる物資とその台帳。

 これまでストックされていたと思われる物資とその台帳。

 これだけの大きさがある王城なら、別に不思議ではなかった。


(あ、阿形さん、あれはもしかして)


 穀類と思われる倉庫を見ているときだった。

 棚単位で取り込まれていた袋を眺めていたら、穀物とは違う文字を見つけた。


『どうかしたのかい?』


 僕はその棚に近寄ると、袋を縛ってある紐をほどいてみた。

 真っ白ではないけれど、穀類ではないものが入っていた。

 少しだけ手に取って舐めてみた。


(あ、やっぱりそうです。これ、塩じゃないですか?)


『なんだって? オレにも少しいいかい?』


 僕の右肩に実体化して現れた阿形さん。手のひらに掬って塩を持っていく。


『お、こ、これは塩辛いが旨味があるな。塩で間違いないだろう。ひとつもらっていこうじゃないか』


(はい)


『海が近いから、塩田を持つ領地があるんだろうな』


(そうかもしれませんね)


『だがこれで』


(はい。あれが少しは食べやすく)


『なるかもしれんな』


 僕たちはゆっくり休めて拠点とできる場所を探すまでは、あの『魚肉タンパク製無味無臭ブロック食品』を食べなければならない。

 だから『それならしょう油か塩があったらいいのに』と話したことがあった。

 塩が手に入ったことで、少しだけ先が明るくなったような気がした。


 ということで僕たちは、ひとつ――とはいっても、おそらく五キロくらいはある綺麗な土嚢袋みたいな袋に入ってる――もらっておくことにした。


(これで香辛料でもみつかったら、町で売り買いできるかもしれないんですけどね)


『たまたまだ。普通はそう都合のよい物は出てこないと思ったほうがいい』


(はい。あ、そういえば阿形さん)


『どうした?』


(例えばですが、ここにある穀物などを取り込んで、食べ物に変換させたりは――)


『以前試したことはある。だが、食べ物だけはなぜかうまくいかなかったんだ。そういうものが得意な者もいたと聞いたことはある。だがオレは苦手だった』


 阿形さんも残念そうな声を出してる。

 色々なものを取り込んで、便利なものを作り出せる錬金術師の阿形さん。

 それでも料理だけは苦手、そういうものなのだろうと僕は思った。


『人には得手不得手というのがあるんだろと、吽形からも慰められた覚えがあるよ』


(そんなことがあったんですね)


 倉庫だとわかり、それを念頭に置いて見て回ったが、やはり基本は穀物や塩。

 たまに木材などの資材を積んである場所もあったが、武器庫は見当たらなかった。


『こうするとある程度だが見えてくるな。この国の税は金銭だけではなく現物、時代劇に出てくる年貢のようなものもあるんだろう』


(そうですね。阿形さんが言ってたみたいに、思ったよりもアナログな部分が多いのかもしれません)


 こうしてかなりの部屋や倉庫を見て回ったと思うが、どこからもいい匂いが漂ってくることはない。

 ということはおそらく、この近場には食堂のようなものもないのだろう。


(食堂でもあったら、何かもらっていくところなんですけどね……)


『一八くんは、精神的に限界かな? 現在、時間は三時になろうとしている。あと二、三時間もすれば日の出を迎えるだろう。そろそろ、調査を終えることにしようか?』


 阿形さんは、時計を見て時間を教えてくれる。

 時計があるなしでは、慎重に物事を進めるのも難しい。

 いいものを見つけた、僕はそう思っていた。


(そうですね。この城は予想以上に広いみたいですし)


『あぁ、そうだな。闇雲に探し回っても良いことはないだろう。地図も時計も資料も手に入れた。成果としては十分だと思うぞ。それに何より、塩は助かったな……』


(確かにそうですね。それではそろそろお暇するとしましょう)


『あぁ、そうしよう』



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