表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~  作者: 一色孝太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/164

第149話 追放幼女、朝練を終える

2025/11/18 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました

 えいっ! (ブンッ!)


 やー! (ブンッ!)


 えいっ! (ブンッ!)


 うん。大変だけど、剣を振るとなんだか気持ちいいね。


「おお、いいですよ。我が主は筋がいい」

「え? ホントに?」

「ええ。今日が初めてとは思えませんね。普通の子供なら、もっと剣に振り回されていますから」

「今はゆっくりやっているから大丈夫なんじゃない?」


 するとメレディスはくしゃりと表情を崩した。


「それが難しいんですよ」

「そうなの?」

「はい。それより、休まないで続けてください」

「あ、うん」


 メレディスに褒められてなんとなく嬉しくなったあたしは一生懸命に素振りを続ける。


「そんなに急がなくていいですよ。同じペースで、しっかりと動かし方を体に覚えさせるんです」

「う、うん……」


 あたしはふうっっと大きく息を吐いて気持ちを切り替え、再び素振りを始める。


「いいですよ。その調子です」

「うん!」


 そうして素振りをしばらく続けていると、空き地の入り口のほうからウィルたちの声が聞こえてきた。


「た、ただいま戻りやした……」

「戻りやした……」

「はぁっ、はぁっ、うぇー」


 えっ?


「我が主! 続けてください!」


 あたしは思わず振り向こうとしたのだが、すぐにメレディスに注意されてしまった。


「ちょっと様子を見てきますから、そのままゆっくり素振りを続けてください」

「うん、分かった」


 あたしはそのまま無心で素振りを続ける。


 ブン、ブン、ブンと重たい木剣が風を切る音が鳴り、それになんともいえない爽快感を覚える。


 へへっ。やっぱりこれ、結構楽しいよね。


「――」

「「「へい!」」」


 すると何を言っていたのかは聞き取れなかったがメレディスの声が聞こえ、続いてウィルたちの大きな声が聞こえてきた。


 それからすぐにウィルたちがあたしの前を横切って、空き地の奥のほうへと向かって走っていく。


「お前ら! 敬礼はどうした!」

「へ、へい!」

「すいやせん!」


 メレディスに怒鳴られたウィルたちは慌てて胸に手を当て、あたしに向かって頭を小さく下げてきた。


 ……うーん。あたし、やっぱりメレディスって優しいと思うんだけどなぁ。


 あたしが初心者だからってことはあるかもしれないけど、でもトラウマになるほど厳しい訓練を強制されてるわけじゃないしね。


 それにさ。ウィルたちにまでああやって礼儀をきちんと教えてあげてるんだもん。


 もしかして、あたしってものすごくいい先生をスカウトしたんじゃない?


 そんなことを考えながら素振りをしていると、メレディスが声を掛けてきた。


「我が主、そろそろ時間ですよ」

「え? もう?」

「はい。あまり遅くなると午前の授業に間に合わなくなってしまいます」

「そっかぁ」


 いい汗はかけたけど……もう少しやりたいなぁ。


「どうですか? 明日以降も続けますか?」

「うん! やる! 楽しかった」

「それは良かったです。明日も同じ時間にお迎えに上がりますよ」

「うん。よろしくね」

「はい」


 こうしてあたしは木剣をその場に置き、メレディスに護衛されながら自宅へと戻るのだった。


◆◇◆


 戻って朝食を食べ、その後はローレッタの授業を受けた。そしてすぐに午後となり、執務の時間がやってきた。


 レスリーに護衛されながら執務室に行くと、そこにはエプロンもホワイトブリムも身に着けていないマリーの姿があった。


「あれ? マリー、その服ってどうしたの?」

「政務官にしていただきましたので、いつものメイド服をそれらしく繕ってみました」

「そうなんだ。すごい。似合ってるね」

「ありがとうございます」


 マリーはそう言うと少し照れたような表情で(うつむ)いたが、すぐに真顔になる。


「それでは、本日の執務ですが」

「うん」

「ジェイクさんから複数の提案事項があるそうです」

「ジェイクが?」

「はい。資料を(そろ)えて隣の部屋で待機していますが、呼び出してもよろしいでしょうか?」

「うん」

「かしこまりました」


 マリーはそう言って部屋を出て行くと、すぐにジェイクを連れて戻ってきた。


「男爵閣下、お目にかかれて光栄です」


 ジェイクはそう言って礼を()った。


「うん。提案があるんだって?」

「はい。まず一点目はスカーレットフォード男爵の紋章についてです」

「紋章?」

「はい。スカーレットフォード男爵には、正式に登録された紋章がございません」

「えっ? あたしの封蝋のやつじゃないの?」

「え? 封蝋ですか?」

「うん。これだけど……」


 あたしはそう言って引き出しからシグネットリングを取り出した。


「失礼します」


 ジェイクはそれを恭しく受け取り、すぐにその紋章を確認する。


「閣下、これは紋章ではございません。王家より爵位を授与した際に仮に与えられる代用紋です」

「そうだったんだ……」

「はい。代用紋は共通で、同じシグネットリングがいくつも存在します。混同を避けるためにもすぐさま紋章をデザインし、王宮に届け出るべきです」

「そっかぁ。気付かなかったよ。うん。ジェイク、ありがとう。すぐにやろう」

「は。続いて領地の経済についての問題なのですが……」

「うん」

「『すけ』の活用を制限することはできませんか?」

「えっ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
技は、すけ(無口師匠)から見て盗め!
人を育てたいなら 有能過ぎるスケには 危険な作業を振りましょう。 っと事かな? 現代社会に於ける AIと人の様に、住み分けが大事。
1人の能力頼りで運営すると、 その1人に何かあったら破綻するからね、 代用できる方法模索するのは必要、 これに気づくのは有能、次回に期待。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ