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062 虚ろなる力を求め

 



 ピチャ、ピチャ、と滴る雫が水たまりを叩く。


 遠くから聞こえるその音で、僕は目を覚ました。


 体を起こすと、隣にヴァイオラがぐったりと横たわっている。


 揺さぶろうと手を伸ばすと、両手が鎖に拘束されていることに気づいた。


 両足も同様に。


 身動きがまったく取れないわけではないが、かなり動きは制限されている。


 どうやらここは、また(・・)地下牢らしい。


 僕はカビ臭さに顔をしかめながら、ヴァイオラの体を揺らした。




「ヴァイオラ、起きて。ヴァイオラ!」


「うぅん……」




 幸い、彼女はすぐに目を覚ました。


 僕の姿を見るなり、慌てて体を起こそうとするが、途中でガチャンと鎖が引っかかる。




「クリス? って何よこれっ! このっ、こいつっ!」




 必死に力ずくで壊そうとするが、びくともしない。




「腕力じゃ壊れない。だったら魔法で――あら?」


「ヴァイオラ?」


「っ、くっ! な、何よこれっ、全然魔法が使えないんだけどっ!」


「……たぶん、魔石で作られた拘束具なんだと思う。私も魔法が使えないから」




 向かいの牢屋から、女の声が聞こえた。




「イエラ、無事だったんだね!」


「うん……クリスたちが目を覚ましてくれてよかった」




 イエラは僕らを見て笑ったが、すっかり焦燥した様子だ。


 囚人らしく、彼女はみすぼらしいシャツとズボンを着せられていた。


 だがそれは僕らも同じである。


 執事服は脱がされ、ナイフも糸も手元にない。


 僕は鉄格子に近づき、試しに両手で思い切り殴ってみたが――やはりびくともしなかった。




「僕たちはどれぐらいここで寝ていたの?」


「時計がないから、はっきりしたことは言えないけど……数時間、かな。そんなに長くはなかったよ」


「ねえイエラ、念のため確かめておくけど。あたしたちをここに連れてきたの、やっぱりししょ――ベアトリスなの?」


「ああ、その通りだ」




 ヴァイオラの問いに――本人の声が、答える。


 ちょうど様子を見に来たらしいベアトリスは、僕らの牢屋の前に立つと、腕を組んで偉そうにこちらを見下ろした。




「ベアトリスゥ……この裏切り者ぉッ!」


「ははははははっ! 負け犬の遠吠えだなあ、ヴァイオラ。しかしお前は間違っている。我は裏切ってなどいない。最初から、このつもりでお前たちに近づいたのだからな!」


「ミーシャとの戦闘の時点で、僕たちの情報は黒の王蛇に筒抜けだったってわけですか」


「別に不自然なことではなかろう。我は師匠。故に愛弟子の不自然な行動を追った。ただそれだけのことよ」


「だったらあなたは……」




 ベアトリスの背後から、イエラが声をあげる。


 彼女はゆらりと立ち上がり、鉄格子にしがみつきながら言った。




「あなたは、ウェスマリスのあの惨状を以前から知っていたのッ!?」


「だとしたら?」


「組織の中にいながら、どうしてッ!」


「それが組織の狙いだったから。だが案ずるな、イエラよ。我が知ろうが知るまいが、あの村の終わりは時間の問題だった。無知な人間が悪人に騙されるのは世の定め。あのような怪しい薬に飛びついた時点で、もう手遅れだったのだ」


「ふざけるなぁぁっ! 人が死んだのっ! 村が一つ、まるごと滅びたの! 自分の家族が死んでだのにっ、当事者が発した“手遅れ”なんて無責任な言葉で納得させられるわけないじゃないッ!」


「……別に、納得させたいとは思っていない。我はただ、事実を述べたまでのこと」


「その事実を引き起こしておいて何をっ!」


「困った困った。これでは押し問答だ。だがなイエラ、我もその気持ちはよぉーくわかるぞ。無駄だと知っていても、喚くだけ無意味だと理解しても、人は叫ぶのをやめられない。嗚呼、なんと愚かで、非効率な生命だろうか!」




 大げさな身振り手振りで、まるで劇のようにベアトリスは語る。




「なあクリス、ヴァイオラ。以前も話した通り、我には主がいた。スクルドという、それはそれは美しい女だった」


「はっ、自分語りなら壁にでも向かってやってなさいよ。ナルシストの底辺彷徨ってるあんたみたいなクズの話に興味はないわ」


「おーおー、やはりヴァイオラは恐ろしい。その点、クリスは優しくて出来のいい弟子で助かるなぁ」


「仲間が誰も聞いてくれないからって、その手の話を元弟子にするのはやめてよ。ヴァイオラと同じで、僕もこれっぽっちも興味ないから」




 本心だ。


 この状況で、思い出話など死ぬほどどうでもいい。


 聞くぐらいなら死んだほうがマシだ。




「――そこでまで言われると、我も傷つくぞ?」


「そのまま死ね」


「死なないなら僕が殺す」


「くはははははははっ! 威勢が良くて何よりだ! では勝手に語らせてもらうとするか」




 どうせそうなるとわかっていた。


 今の僕らとベアトリスは敵同士。


 互いに言葉を交わすことなど無意味なのだから。




「かつて、スクルドという女がいた。【賢者】と同等の力をもつと言われた彼女は、しかし実験中の事故で命を落とした。十年前のことだ。我は失意のどん底で、スクルドと共に過ごしたその地を離れ、世界を放浪した。だが――三年前。我の手元に、一通の手紙が届いた」




 三年前というと、まだベアトリスが僕の師匠をしていた頃か。




「差出人はかつての友であるヴェルガドーレ。書かれた日付はそれからさらに二年前、つまり今から五年前のことだ。秘密裏に送ったため、我の手元に届くまで、それだけの時間がかかってしまったのだなあ。我はその二つの事実に驚きながら、手紙を読んだ。そして――さらに驚いた」




 もったいぶらずに早く言え。


 とにかく僕はそう願う。




「そこにはこう書かれていたのだよ。『スクルドの死は事故ではない。彼女の存在を恐れた無限貌の手によって引き起こされたものだ』、と」


「……無限貌」


「ふ、クリスは無関心を貫けなかったようだなあ。そう、かの伝説の賢者であり、この国の英雄でもある【無限貌】だ」


「……っ」


「そう睨むな、我は可愛い弟子だと褒めているのだぞ? 奴と我が一緒に戦ったのは、かれこれ二十年前になるか。そのかつての仲間が、スクルドを殺したのだという。これに我は驚くと同時に――初めて、スクルドの死に関して“憎しみ”という情を抱いた」




 ベアトリスの目つきと、纏う空気が一瞬で変わった。


 あたりの空気が一気に重くなり、息苦しさを感じるほどだ。




「これまでは、ただの事故だと。犯人など誰もいない、スクルドの自業自得だと納得するしかなかった。だがそこに、初めて憎める対象が生まれたわけだ! 我は歓喜し、感謝したよ。生きる意味のなくなったこの世界に、たとえいかなる色であろうとも、火が灯ったことに!」




 それは――あまりにどす黒く、薄汚れた火だ。


 その色に照らされた世界は、同様にひどく汚れていくに違いない。




「それから我はクリスの元を離れ、セントラルマリスにやってきた。黒の王蛇に合流するためだ。それと同時に、ヴァイオラの師にもなった」




 そこまで言ったところで、ヴァイオラが目を見開く。




「あんた……」




 声を震わせ、信じられないものを見るような目で、ベアトリスを睨みつけた。




「嘘でしょ? あんた、ミーシャや、旦那様や、奥様がああなる前から、黒の王蛇と繋がってたっていうの!?」


「そうだ」


「じゃあ、あのとき――わかってて止めなかった……の?」


「ああ、そうだ」




 ベアトリスは妙に感情のこもっていない声で、しかし時間を置いて、ゆっくりと言い放つ。




「我は、わかった上で、見殺しにした」




 ヴァイオラの顔が真っ赤になり、彼女は鉄格子の存在などお構いなしに、ベアトリスに向かって突っ込んだ。




「ふざっけんなあぁぁぁぁあああああああッ!」





 顔面から格子に衝突しても彼女の感情が止まることはない。


 額から血を流し、その喉元を食いちぎるほどの勢いで、鉄格子に阻まれながらもベアトリスに食らいつく。




「お前がぁっ! お前が全部台無しにしたのかあぁぁぁっ! ベアトリィィィィィスッ!」


「ああ、我は何もしなかった」


「何でよぉ……そのときに止めりゃあ、こんなことにはならなかったでしょうが……! 何でなのよぉおおおっ!」




 かすれた声の、悲痛な叫び。


 その言葉に反応するように――しかし師匠は、なぜか妙に噛み合わない言葉でこう返す。




「……我は、力がほしかった」


「はぁ? 何、言ってんのよ」


「魔力障壁が生まれてからというもの、かつては最強の執事と恐れられた我は、ただのでくのぼうになった。スクルドはそれでも我を必要としてくれたが、我にはわかっていたよ。それが、ただの情けだということに」


「だから、何がいいたいのかって言ってんのよぉっ!」


「そしてスクルドを無限貌の手から救い出すこともできずに、失った。それからも、復讐すらできぬまま、無為に命を消耗してきた……」




 そしてベアトリスは、牢屋の鍵に手を当てる。


 ガギッ! と音が鳴ると、扉が開いた。


 鍵を破壊したのか、それとも力で開いたのか。


 ともかく、彼女はここにきて、僕らの牢屋に入ってきたのだ。




「はっ……ははっ……入ってくるなんていい度胸じゃない。拘束されてようが、あんたみたいなクズは、あたしがぶっ殺ォすッ!」




 もちろん、ヴァイオラが自らの殺意を止められるはずもなかった。


 魔法が使えない状況でもお構いなしに、ベアトリスに突っ込んでいく。


 迫る弟子を前に、ベアトリスは――腰を落とし、構えを取った。




「ヴァイオラ、危ないっ!」




 僕は思わず、ヴァイオラとベアトリスの間に飛び込んだ。


 その犠牲に意味はないと知りながらも、体が勝手に動く。




「ぶ、ぐっ……!」




 めり込む拳。


 まるで内臓をかき混ぜるように、見えない力が全身を震わせ――吹き飛んだ。




「クリス!?」


「クリスぅっ!」




 ヴァイオラとイエラが叫んだ。


 僕は体を壁に強打し、床にずり落ちる。




虚震拳(きょしんけん)。そう、今の我は違うのだ。虚――全身に流れる魔力、その道の“空白部分”に、この力は宿っている」


「見せつけて自慢しようっての? でもねぇ、そんなものっ!」


「体内における魔力を体外へと放出せぬよう、留めておく役目を、虚が担っているのだ」




 やはり会話は噛み合わず。


 ベアトリスはなおも構えを解くことはなく、今度はヴァイオラに向けて拳を――否、掌底を叩き込む。




虚振掌(きょしんしょう)


「がっ! ごおぉっ!?」




 ヴァイオラは吹き飛ばない。


 つまり、体内にそのダメージは全て叩き込まれた。


 口から飛沫が飛び、目が大きく見開かれる。




「つまり、魔力とは相反する存在」


「ぐうぅっ!」




 続けて、今度は顔面に拳を振るう。


 倒れたところを、踏みつける。




「あぐっ、か、ひゅ……っ!」




 ヴァイオラは痛みに苦しみながらも、その足を必死で掴んだ。




「こんの……許すかあぁ……! 許すもんかああぁぁああ……っ!」


「大した執念だ。それは愛か? 愛なのか?」




 笑いながら、再び振り上げられる足。


 僕は立ち上がると、なりふり構わずにベアトリスに突進した。




「おぉぉおおおおおおおおッ!」


「ふはははははっ! くはははははははっ! ならばァ、我のこの感情もまた愛よッ!」




 無論、拘束された僕に抵抗する術などなく――今度は、側面からの蹴りで吹き飛ばされる。


 脳がぐわんと揺れ、意識が揺らぐ。




「今の我には力があるッ! 魔力障壁に阻まれず、立ちはだかる壁を打ち砕く力がぁっ! かの無限貌を殺すための力がああぁぁッ!」




 続けて、ベアトリスは何度も何度も僕らを痛めつけた。


 立ち上がったら拳で打ちのめし、横たわると蹴りで叩き潰す。




「今の我ならばッ! 必ず! スクルドの役に立てるッ! はずッ! なのだあぁぁぁぁあああッ!」




 僕らがぐったりと動かなくなってもなお、繰り返し、繰り返し、“虚”とやらが宿った脚部で、何度も踏みつけられた。




「ふはは……我は、無力などではない。我は“執事”だ。主のために、命じられれば戦場すら支配するッ! それが執事という生き物なのだよ、クリス、ヴァイオラぁっ!」




 その感情の吐露は――どこか痛々しく――


 これまで偉大な師匠だと思っていた人間が、急に矮小な、一人の人間に思えた。




「もうやめてぇっ!」




 唯一無事なイエラが、向かいの牢屋から止めようとしてくれている。


 彼女も、大切なものを失ったばかりで、辛いだろうに。




「お願いだから……やめて……っ」


「何だイエラ、泣いているのか? 案ずるな、お前も近いうちに魔物になる。そうなれば、もう恐怖も悲しみも感じることはない」


「そんなことはどうでもいいのっ! クリスとヴァイオラは、大切な弟子だったんじゃないの? 一度繋がった人間を、どうしてそんな風に扱えるのぉっ!」


「そう、弟子だ。我が育てた。丈夫に、頑丈に、執事らしく。自分がどれだけ傷つこうとも、主のために立ち上がれるようにな」




 ベアトリスの足が、僕の頭を踏みつける。




「ふ、ぐっ……」




 そのままぐりぐりと、つま先を押し付けた。




「その甲斐あって、二人はいいサンドバッグに育ったぞぉ?」


「……そんな。そんな、ことって」




 膝をつくイエラ。


 きっと、彼女の心はとうに折れているのに――それでも付いてきてくれた。


 それを、さらに追い詰める必要が、どこにあるというのか。


 ああ、こんなことになるなら、連れてこなければ。


 はは、そういう意味では、キャミィはラッキーだったのかな……。




「ふはっ、ふはははははははっ! どうせお前たちは一週間の命だ! それまで死なない程度に痛めつけてやる、我のこの虚の力でなぁっ! 師匠への恩返しだ! ははっ! くはっ! ふはははははははははははははははァッ!」




 地下にベアトリスの笑いが反響する。


 その声はどこか虚ろで。


 僕たちは、朦朧とした意識でそれを聞き――そしてまた、数えるのも面倒になるほど、殴られ続けた。




 ◆◆◆




 ベアトリスが地下から地上にあがると、階段の傍らに男が立っていた。


 彼はベアトリスの姿を見るなり、わざとらしく拍手する。




「いやぁ、いい熱血指導だったなぁ……」




 皮肉っぽく笑いながら、露骨にベアトリスを挑発する。




「他の十悪には口をつぐむくせに。あんなに熱心に“虚”を説くお前を、俺は初めてみたよ」


「……No.Ⅳ、“空白”か。とんだ節穴だな、あれのどこが指導だと?」


「俺にはそう見えたというだけの話だ」


「ふん、最初から盗み聞きが目的でここにいたくせに、よく言ったものだ」


「人聞きが悪い。少し気になることがあったのでな、様子を見に来ただけだ」


「そうか。だがちょうどよかった、我からもお前に聞きたいことがある」




 ベアトリスは、用事さえなければ、この会話にすら付き合うつもりはなかった。


 彼女は空白と向き合い、至極真剣な表情で問いただす。




「ニールという男を知っているか」


「ニール? はて?」


「とぼけるな。少なくとも、我とヴァイオラの会話は知っているはずだろう。お前の手下が、我をずっと尾けていたはずだからな」




 そんな指摘を受け、やれやれ、と首を左右に振る空白。




「……いやはや、困ったものだ。部下であろうとも、気配の遮断は完璧に躾けたはずなのだが」


「我を騙せると思うなよ」


「ふ……だが残念だ。我々が尾行をはじめたのは、あのマリシェールからでねえ。それ以前のことは知らないのだよ」


「そうか……知らないのなら構わんが」


「しかし、なぜその男のことを気にするのだ」


「何、こちらの事情で会話が半端に終わったのでな。それを気にしていただけだ」


「いいや、それは違うな」


「何?」




 眉をひそめるベアトリス。


 すると再び不敵な笑みを浮かべ、空白は言った。




「同姓同名の人物を知っている。だから気になった――違うか?」


「空白、貴様どこまで知って――!」




 ベアトリスは殺気立つ。


 すると空白はその場から消え、離れた場所に再び現れた。




「おっと、俺はこれ以上深入りするつもりはない。空白はあくまで空白、どこにでもあるが、特定の立ち位置を好むわけではない」


「好奇心で探っていると?」


「かもしれないなあ。“知らないもの”があると、ムズムズする性分なのでな」


「ふん……敵意が無いのは本心か。気配の消し方、そして動き、やはり貴様は――」




 見定めるように、目を細めて、執事はその胡散臭い男を睨んだ。


 同時に、その体より敵意を発す。


 一気に、周囲の空気が張り詰める。




「ならば放っておけ、我らに関わるな」




 だがベアトリスは、そんな敵意の弦を弾くことはなく、あっさりと空白に背中を向ける。


 そして彼の前から立ち去った。


 一人残された空白は、ぺちんと右手で頬を叩いた。


 すると顔が変わり、髪も黒から金へと変わる。




「……ひゅう。いやー、やっぱり本物の執事はこえーわ」




 外見だけでなく、彼の声も、先ほどまでとはまったく異なっていた。




「こんなところで“素”を出したらバレますよ、隊長」




 空白の隣に、音もなく降り立つポニーテールの少女。


 彼女は黒のボディスーツを纏っていた。




「んじゃてめーもここで隊長とか呼ぶんじゃねえ。つかバレてたぞ」


「執事相手に完全に潜むとか無理ですって。最初から私はそう言ってましたよね、隊長」


「だからここで隊長って呼ぶなっつうの。ったく……ほんっと気が休まらねえ」




 頭を抱え、ため息をつく空白。


 その仕草は、先ほどまで見せていた“No.Ⅳ”のものと似ても似つかない。




「で、さっきの話はどうするんです。ヴェルガドーレには報告しますか?」


「……いや、いい」


「では、()には」


「もちろん伝えとけ。しっかり、漏れなく、詳細にな」


「ラジャ」




 手短に会話を済ませると、女は再び姿を消した。


 空白も頬を叩き、顔と髪を元に戻す。




「ん、んんっ……さって、と。久々の首領との顔合わせは一週間後、か。それまで気を引き締めなければな」




 最後に声も修正すると、彼は黒の王蛇の闇に溶けて消えた。




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