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55話 先輩たちのコラボをミミちゃんと視聴する

 リビングのテーブルにジュースとお菓子を用意して、ミミちゃんと並んで席に着く。

 部屋から持ってきたノートパソコンには配信の待機画面が表示されているけど、今日は配信する側ではなく見る側だ。

 数分後に始まるのは、先輩たちのコラボ配信。

 今日は一期生の二人による久々のコラボとはいえ、雑談配信で一万人を超えるリスナーが待機しているのだから本当にすごい。


「ミミちゃんっ。はい、あ~ん」


 和菓子のアソートから一口サイズのどら焼きを手に取り、袋を剥がしてミミちゃんの口元に運ぶ。


「あーん」


 かわいい。お菓子を食べているだけなのに、おいしそうに咀嚼する様子は永遠に眺めていたいほど愛らしい。

 あまりにかわいくてミミちゃんのことを食べたくなってきたけど、それは後でのお楽しみにしておこう。


「あっ、始まるよっ」


 待機画面から配信画面に表示が切り替わり、先輩たちの姿が映る。


「ごきげんよう豚共、皇エリナよ! 同期とのコラボは何気に久しぶりよね。後半には告知もあるから、ちゃんと最後まで見なさいよね!」


 セーラー服に身を包む金髪碧眼の美少女ことエリナ先輩。

 最近絡む機会が多いこともあり、あたしの中ではもう仕事仲間ではなく友達として認識させてもらっている。


「みんな、おはよー。栗夢(くりむ)シャテーニュだよー。二日ぐらい休むつもりだったんだけど、気付いたら一週間経っちゃってたんだよねー」


 シャテーニュ先輩は古より存在する栗の妖精で、年齢は不明。

 ゆるふわロングの髪はきれいな栗色。衣装はノースリーブのワンピースだ。

 ミミちゃんに匹敵する癒しボイスの持ち主であり、彼女のASMR配信で寝落ちしない人はいないとまで言われている。

 ちなみに、おっとり系のお姉さんという印象のシャテーニュ先輩は、胸のサイズがあたしとそんなに変わらない。


「気付いたら一週間って、時間の感覚が狂ってるんじゃないかしら」


「不規則な生活を続けるとこうなるから、みんなも気を付けようねー。それと、心配をかけたお詫びとして、今日から一ヶ月間は毎日休まず配信するよー」


「このバカ! 配信頻度を増やすこと自体は賛成だけど、きっちり休まないとダメよ」


「仕方ないなー、同期の頼みなら無下にするわけにもいかないからね」


「なんでアタシが無理言ってお願いしたみたいになってんのよ!」


「それはそれとして、エリナって最近ユニコちゃんとかミミちゃんとの絡みが増えたよねー」


 不意に先輩の口から自分たちの名前が出て、少なからず気分が高揚する。

 間違っていたら申し訳ないけど、名指しでコメントを拾われた時のリスナーさんも、こんな気持ちなのだろうか。


「急に話題を変えてきたわね。まぁ、確かに前と比べてコラボしたりオフで会うことが多くなってるわ」


「シャテーニュもコラボしたいんだけど、なんて言って誘えばいいと思う?」


「はぁ? あんた前にコラボしてたじゃない。同じ感じで誘えばいいのよ」


 あたしはキーボードに手を伸ばし、『いつでも大歓迎ですよ!』とコメントする。


「ほら、ユニコがいつでもいいってコメントしてくれてるわ」


「えっ、本当? ユニコちゃん、元気ー? ミミちゃんも一緒に見てくれてるのかな?」


 画面越しの問いかけに、『元気です!』とコメントで返す。

 ミミちゃんもスマホで自分のチャンネルにログインしてから、『ユニコちゃんの隣で見てますっ』とコメントを送った。


「うんうん、元気が一番だよね」


「そうね、元気な方が調教し甲斐があるわ」


「調教? エリナ、キャラ変したの?」


「キャラ変とか言うな! アタシはデビュー当初から調教って言いまくってるわよ! って、威張って言うことでもないけど……」


 そう言えば、しばらく前にあたしがエリナ先輩に調教されているファンアートを見たことがある。

 エッチな意味じゃなくて、ユニコーンに芸を仕込んでるっていうコンセプトのイラストだった。


***


 ミミちゃんと人知れずイチャイチャしながら先輩たちのトークを楽しんでいると、あっという間に一時間近くが経過していた。

 今回の配信はそろそろ終了ということで、冒頭にて軽く触れていた告知について、エリナ先輩が詳細を語る。


「泣いて喜びなさい、豚共! 来週の金曜日に歌ってみた動画を投稿するわ! アタシとシャテーニュのデュエットよ!」


「聞いてねー」


 内容が明らかになるや否や、目で追い切れない速度でコメントが流れていく。

 速すぎて全文は読めないけど、どのコメントも感謝や喜びを伝えるものであることは間違いない。


「それじゃ、今日はここまで。また会いましょう、豚共!」


「みんな、最後まで見てくれてありがとー。おつかれー」


 こうして、先輩たちのコラボは盛況のうちに幕を閉じたのだった。

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