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29話 オフコラボの裏話①

 数時間に及ぶオフコラボ配信が無事に終了し、あたしとエリナ先輩は立ち上がって軽いストレッチで体をほぐす。


「ん~っ、今日の配信も楽しかった! エリナ先輩、外はもう暗いし泊まっていかない?」


 両手を天井に向けてグーッと伸ばしつつ、お泊りに誘う。

 エリナ先輩はバーチャル世界だけでなく現実世界においても現役の女子高生なので、夜道を一人で歩かせるわけにはいかない。


「い、いいんですか? で、でも……き、着替えとか、持って来てなくて……その、ごめんなさい」


 リスナーさんが聞いたら、いくら同じ声でもすぐには同一人物だと信じられないだろうなぁ。

 配信中のエリナ先輩は饒舌な毒舌家だけど、配信外の様子は正反対に近い。

 どちらにしても、根がいい人というのは揺るぎない事実だけど。


「あたしの服を貸してあげるから大丈夫だよっ。それに、もともと泊まる予定じゃなかったんだから、着替えを用意してなくて当然。謝ることじゃないよ」


「あ、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますっ。えっと、お、お母さんに連絡しておきます」


 エリナ先輩はぺこりと頭を下げてお礼を言った後、スマホを手に取った。

 さてと、あたしも連絡しておかないと。

 スマホを操作し、ミミちゃんに通話をかける。

 呼び出し音が鳴ったのは、ほんの二秒ほどだった。多分、ちょうどスマホをいじっていたのだろう。


「エリナ先輩が泊まることになったよ~」


 開口一番に本題を告げる。


『了解ですっ。晩ごはんどうします?』


「うーん、せっかくだしお刺身でも買いに行く?」


 夜道を一人で歩かせるのは言語道断だけど、三人で近所のスーパーに行くぐらいなら問題ない。

 暗いと言っても遅い時間ではないし、マンションからスーパーまでの道は街灯がしっかりと照らしてくれている。

 この時間帯なら売り場の品もそれなりに残っているはずなので、仮にお刺身がなくても選択肢は少なくない。


『はいっ、そうしましょう。とりあえず、わたしもそっちに合流していいですか?』


「もちろんっ。それじゃ、一旦切るね~」


 話がまとまったところで通話を切り、その数秒後にミミちゃんがあたしの部屋に現れた。


「ミミちゃ~ん!」


 愛する恋人との対面に、あたしは思わず駆け寄って抱き着く。

 ミミちゃんは若干の動揺を見せつつも、慌てることなく抱きしめてくれた。

 抱擁ついでに胸の谷間へと顔を埋め、大きく息を吸う。

 ミミちゃんの甘い匂いが鼻孔をくすぐり、幸せな気持ちに包まれる。


「ゆ、ユニコちゃん、お買い物に行くんじゃなかったんですかっ」


 照れた様子でそう言いながらも、力づくであたしを引き剥がすようなことはしない。

 ちなみに、マネージャーさん同様、エリナ先輩もあたしたちの関係について知っている。


「おっと、そうだった。あんまり遅くならないうちに出発しよっか」


「……ユニコさん、ミミさん、ありがとうございます!」


 抱擁をやめて踵を返した瞬間、エリナ先輩が満面の笑みを浮かべながら元気いっぱいにお礼を言った。

 キラキラとしたエフェクトがよく似合う素敵な笑顔で、心なしか鼻息が荒い。


「こ、こんな間近で、百合を堪能できるなんて、すごく嬉しいですっ。まさに眼福ですっ。そ、その、もしよければ、もっとお二人のイチャイチャしている姿を、は、拝見させていただきたいですっ」


 配信外でここまで饒舌なエリナ先輩も珍しい。


「ってことだけど、どうするミミちゃん? もちろんあたしは大歓迎だよ~」


「わたしだって同じですよ。でも、遅くなると危ないですし、いまはお買い物が最優先です」


「だね。エリナ先輩、スーパーから帰ってきたらたくさんイチャイチャするから、その時に好きなだけ楽しんでよ」


「はいっ、た、楽しみにしています」


 話もまとまったところで、ササッと支度して家を出る。

 あたしたち三人は好きな百合マンガについて話しながら、和気あいあいとした雰囲気で買い物を済ませた。

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