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242話 今日は一日いい天気らしい②

「準備も整ったところで、さっそく公園に行こ~!」


 誰が見ても分かるほどに、あたしは上機嫌になっている。

 理由はもちろん、ミミちゃんに日焼け止めを塗ってもらったから。

 あの快感と興奮……思い出すだけでも体が火照ってしまう。

 気温が上がりきる前とはいえ外で体を動かせば嫌でも体温が上がるので、エッチすぎる日焼け止め塗りイベントのことはいったん考えないようにしよう。

 それにしても、まさかミミちゃんがあんな大胆にあたしの――


「ユニコちゃん?」


「はぅえっ!?」


 急に背後から声をかけられ、驚きのあまりビクンッと体が震える。


「ご、ごめんなさい、驚かせるつもりじゃなかったんですけど……玄関で立ち止まったまま動かないから、どうしたのかと思って」


「あたしの方こそごめんね、大したことじゃないから心配しないで」


 考えないようにするという意思は一秒と経たず行方をくらまし、自分の肌を伝う手のひらの温もりや敏感なところを刺激する指の感触などを鮮明に脳内で反芻しようとしていた。

 今度こそ、いったん頭の隅に置いておこう。

 それで、寝る前とかに好きなだけ思い出してニヤニヤしよう。


「そうですか? でも、なにかあったらすぐ話してくださいね」


「ミミちゃん優しい~っ。大好き!」


 あたしは荷物を足元に置き、ミミちゃんに抱き着いた。

 背伸びをしてできるだけ身長差を縮め、顔を上げてミミちゃんを見つめる。


「わたしも大好きです、ユニコちゃんっ」


 あたしたちは玄関で熱い抱擁を交わしながら、引き合うように唇を重ねた。

 数え切れないぐらい繰り返してきたこの愛情表現は、未だに褪せることのない幸福感と高揚感を与えてくれる。

 でも、ほどほどのところで切り上げないと。


「ミミちゃん……」


「ユニコちゃん……」


 目を見れば分かる。二人とも考えていることは同じだ。

 だけど、


「ちゅっ」


 瞬きを一度挟み、あたしたちは再びキスをした。

 第三者は知る由もないけど、実はこんな感じで予定通りに行動できないことが多々ある。

 お出かけ前にリビングや玄関でイチャイチャしてバスに乗り遅れたり、ご飯を作る前にキッチンでイチャイチャしてたら料理を始めるまでの時間の方が長くなってたり、余裕をもってコラボ配信の準備をするつもりがイチャイチャしすぎて時間ギリギリになったり。

 今日も例に漏れず同じことになりそうだから、この辺りで気持ちを切り替えて公園へ行くための一歩を踏み出さなきゃいけないんだけど……。

 ダメだ、心と体がミミちゃんから離れようとしない。

 よし、こういう時は深呼吸しよう。

 大きく息を吸って――


「っ!?」


 いい匂いすぎる~~~~っっ!!!!

 場所が悪かったというか、よかったとも言えるというか、ミミちゃんに密着してるわけだから当然その匂いがハッキリと伝わってくる。

 桃を彷彿とさせる爽やかな甘さと、比喩表現だけど砂糖を山ほど入れたミルクみたいな濃厚な甘さ。それらを絶妙なバランスでブレンドして、お花みたいな香りをちょっと足したような?

 落ち着こうとして冷静に分析してみたものの、上手く表現できているのか自信が持てない。

 とにかく世界一と断言できる素晴らしい芳香が鼻腔を通り抜けて脳に伝わって、爆発的な勢いで幸せな気持ちが全身を駆け巡る。

 深呼吸して気持ちを切り替えるつもりだったのに、むしろ真逆の結果になってしまった。



***



 そして結局、あたしたちが家を出たのはそれから一時間近く経った頃だった。

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