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239話 勝っても負けても幸せな夜

 キスの余韻に浸りつつ、あたしとミミちゃんは配信に使った機材を手分けして片付けた。

 晩ごはんを食べて一休みしたら、いつも通り一緒にお風呂。もちろんここでもイチャイチャした。

 お昼にもシャワーを浴びながらイチャイチャしたから、今日だけで二回も浴室でイチャイチャしている。

 それから二時間ほど経ち、いつでも寝れる状態で二人そろってあたしの部屋へ。

 仲よくベッドに寝転ぶと同時に、ふと思ったことを口にする。


「今日の配信の感じだと、あたしたちの関係を打ち明けても好意的に受け入れてもらえそうって思えるよね」


 学生時代に実際に見かけることがあったからご褒美として頬へのキスを提案したけど、人によっては『たとえ親しい仲同士でもそういう行為は見るのすら嫌だ』という意見を持っていてもおかしくない。

 でも、あたしとミミちゃんがお互いの頬にキスしたことに関して、少なくともあたしが見た限りだと否定的な言葉は一つもなかった。

 様々なリスクを考慮して恋人関係であることだけは伏せてきたけど、思い切って公表するのもありなんじゃないかという気持ちがあたしの中で強くなってきている。


「そうですね、全員からは難しいかもしれませんけど、きっとほとんどのリスナーさんが祝福してくれますよ」


 そう、全員が漏れなくあたしたちの関係を受け入れてくれるなんて都合のいい話はないし、リスクは挙げればキリがない。

 打ち明けても大丈夫そうだと思いつつ、不安も少なからず感じている。

 いつか公表するとしても、その時は運営さんや他のメンバーにも相談して極めて慎重に判断しないと。


「いつかそういう日が来たら、カップルチャンネルを開設したいですね」


「うんっ! 運営さんに土下座してでも開設したい!」


 それからも話題や姿勢を変えたりしながら途切れることなく会話が続き、気付けば体感の数倍もの時間が流れていた。


「今日はもう遅いし、そろそろ寝よっか」


「はい、そうしましょう。電気消してきますね」


 言うが早いか、ミミちゃんはいったんベッドを離れて部屋の明かりを消しに行ってくれた。


「ありがと~」


 照明が消えた後も、カーテン越しに射し込む月明かりによって部屋の中は淡く照らされている。

 ベッドに戻ってきたミミちゃんが横たわろうとした瞬間に、あたしはスッと腕を横に伸ばした。


「さぁ、ミミちゃん。今夜はあたしの腕の中でぐっすり眠って」


 落ち着いた口調で囁きながら、優しく微笑みかける。

 すると、ミミちゃんは柔らかな笑顔を浮かべ、「ユニコちゃん……」とつぶやいた。


「勝ったのはわたしですから、ユニコちゃんがわたしの腕の中でぐっすり眠ってください」


「やっぱり流れで押し切るのは無理だったか~」


「当然ですっ。さぁどうぞっ」


 促されるまま、あたしはミミちゃんの腕にそっと頭を置く。


「ちょっと寝づらいかもしれませんけど、今日は我慢してくださいね」


「ううん、すっごく熟睡できそう」


「そう言ってもらえると嬉しいです。あと、少し暑苦しいかもしれませんけど、それも我慢してくださいね」


 と言いもって、ミミちゃんは空いている方の腕であたしをギュッと抱き寄せた。

 ミミちゃんの温もりが、匂いが、感触が、この上なくハッキリと伝わってくる。

 絶大な安心感と心地よさに包まれながら、あたしは徐々に意識が溶けて眠りに落ちていく――はずだった。

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