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236話 本気の勝負⑨

 このレースでは、ショートカットを成功させた数だけご褒美が貰えることになっている。

 ご褒美の内容は頬へのキス。

 これによって、一位を目指す手段の一つに過ぎないはずのショートカットが、レースに勝つことよりも優先すべき目標に変わった。


「ミミちゃんもできるだけたくさん成功させてねっ」


「はい、全身全霊を注いで頑張りますっ」


 コースが決まり、わずかばかりのローディングの時間を挟んでレースが始まった。

あたしとミミちゃんは全神経を集中させて、すべてのショートカットに挑戦する。

 時にはコースアウト寸前のラインでギリギリの成功を収め、時には加速アイテムを使って強引に失敗を避け、簡単なところでも決して油断しないよう細心の注意を払い、あたしたちは着実にショートカットを成功させてゴールに近付いていく。


「よしっ、ここも成功~っ」


 惜しくも失敗してしまった場所もあったけど、どうにかほとんどのショートカットを無事にクリア。

 いま通過したのがこのコース最後のショートカットで、ゴールはもう目と鼻の先だ。

 アイテム運のおかげもあって先頭へと躍り出ていたあたしは、そのまま最短ルートを通って一位でゴール。

 すぐ後ろに迫っていたミミちゃんも一秒と間を置かずゴールし、そこから少し遅れて残りのメンバーも続々とゴールラインを越えていく。


「全部成功できなかったのが悔しいけど、それでも七回成功したよ~! ミミちゃんは?」


「わたしは六回でした……。もっと練習しておけばよかったです」


 ショートカットの難易度を鑑みれば、六回は決して少なくない。

 それでも、ミミちゃんは心底悔しそうな表情を浮かべている。

 これが勝負じゃなかったら、回数を無視してご褒美をあげていたところだ。


「それじゃあ、ご褒美はいますぐ――ってわけにもいかないよね。二試合目はあと二レースあるから、三試合目のマッチングを始める前にご褒美タイムってことにしよ~!」


 コース選択には時間制限があり、たとえ全員が操作しなかったところで時間経過によってランダムにコースが決まってレースが始まる。

 いまはいったんご褒美のことは忘れ、残りのレースに集中する――はずだった。



***



 ご褒美というプラスアルファの要素を伴った第二レースの後、第三レースと第四レースはハッキリ言ってひどいものだった。

 厳密に言えば、レースというよりあたしの操作がひどい。

 集中するつもりが気付けばご褒美のことばっかり頭に浮かび、ショートカットはうっかり素通りするしアイテムは取り忘れるし、他にも細かいミスを数えると両手の指じゃ足りない。

 あたし個人としては前半の二レースで一位を取ったアドバンテージが後半の二レースで丸ごと消えちゃったけど、チームメイトが奮闘してくれたおかげでチームとしては二試合目を制することができた。

 もちろん、あたしは喜ぶだけじゃなくしっかり反省しないといけない。


「二試合目は赤チームの勝ちってことで、一勝一敗で三試合目に続くよ! そして、次の試合に移る前に、待ちに待ったご褒美タイムだ~!」


 この後、あたしはミミちゃんから七回、ミミちゃんはあたしから六回、それぞれご褒美を貰った。

 コメント欄の盛り上がりがすごいことになったのと、それ以上にあたしのテンションがとんでもないことになったのは、もはや言うまでもない。

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