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235話 本気の勝負⑧

 ショートカットは難易度に差があるのと同じく、コースによってその数も異なる。

 積極的にショートカットを狙おうとする気持ちに応えてくれたかのように、次のレースはあたしが選んだショートカット多めのコースに決まった。


「ミミちゃんミミちゃんっ」


 レース開始直前、ミミちゃんの邪魔をしない程度に体を寄せつつ話しかける。


「どうしたんですか?」


「ショートカットを成功させた数だけご褒美欲しいな~」


 交渉を持ちかけたものの、不意に思い付いただけなので中身についてはまだなにも考えていない。


「いいですよ。その代わり、わたしにも同じ条件でご褒美くださいね」


「契約成立だね! よ~しっ、全部のショートカット成功させちゃうよ!」


 という話をしているうちにレースが始まり、ほどなくしてショートカット可能な場所が見えてきた。

 このショートカットは成功してもそれほどタイムを縮められるわけじゃないし、逆に失敗したらどう足掻いても減速してしまう。

 難易度は低めだけど、ここをあえてスルーする人は少なからずいる。

 でも、あたしにはそもそも挑戦するという選択肢しか存在しない。


「いまのうちに宣言しておくよ! このコースのショートカット、全部挑戦するから!」


 そう告げながら、最初のショートカットを無事に成功させた。

 ほぼ同じタイミングで、ミミちゃんも無事にショートカットを成功させる。


「ところで、ご褒美の内容って決まってるんですか?」


「う~ん……ほっぺにちゅーしてほしいな~」


 さすがに配信で唇へのキスを要求するわけにはいかないから、場所をちょっとずらして頬を指定した。

 場所が頬なら、親しい友人同士のスキンシップとして有り得ない話じゃない。

 学校にもよるだろうけど、あたしやミミちゃんが通っていた女子校では割と日常的に見かける光景だったし。

 あたしとミミちゃんは当時から付き合っていたから、頬とはいえ他の人にキスしないし、されたこともない。


「えっ!?」


 なんの変哲もないカーブの途中で、ミミちゃんが派手にコースアウト。


「ミミちゃん!?」


 頬とはいえキスを要求されるとは予想していなかったようで、盤外戦術と捉えられてもおかしくないほどに動揺させてしまった。


「ご、ごめん、別に驚かせるつもりじゃなかったんだけど」


 直線が続く区間に入って少し余裕が生まれ、コメントチェック用に配信を流しているスマホをチラッと見てみる。


『ちゅー!?』

『てぇてぇ』

『いくらでも払うから配信でお願いします!』

『ちゅー!』

『これはファンアートが楽しみ』

『想像するだけでニヤニヤが止まらない』


 あんまり多くは見れなかったけど、リスナーさんたちもかなりビックリしている様子だ。

 少し遅れて、ミミちゃんが恥ずかしそうにしながらも「分かりました」とご褒美の内容を承諾してくれた。

 その瞬間はコメント欄を見る余裕がなかったものの、さっきの反応からして尋常じゃなく盛り上がったと思う。

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