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220話 ヤンデレごっこ①

 今日は久しぶりにクラフトゲームをプレイする。

 ソロ配信ではなくミミちゃんとのコラボだけど、オンラインだから隣にミミちゃんの姿はない。

 いつものあいさつを行い、ゲームの中でミミちゃんと合流してから音量チェックを済ませる。


「久しぶりだからみんなの建築物を改めて鑑賞するのもいいかなって思ったんだけど、それはまたソロの時にやるとして」


 いま拠点として使っている家から未開拓の土地が広がっている方へと視線を移しつつ、あたしは言葉を続けた。


「今日はミミちゃんと一緒に、新しい拠点を作っていくよ~!」


 声高々に宣言し、さっそくダッシュでこの場を離れる。


「あっ、それと今日はあたしヤンデレだから、変なこと言っても心配しなくていいからね!」


 もともと今日の配信では新しい拠点の作成に並行して、ちょっとしたお試し企画を実践することになっていた。

 いまサラッと説明したように、今日のあたしはヤンデレとして配信を行う。

 ドッキリ企画にしようかとも思ったけど、お世辞にもヤンデレに造詣が深いとは言えず、よくない方向にグダるとコラボ相手であるミミちゃんや配信を楽しみにしてくれているリスナーさんたちに申し訳ないので、今回は最初に明言しておくことにした。


「ヤンデレになったユニコちゃんがどんなことをするのか、いまから楽しみです」


「ミミちゃん、ワクワクしていられるのもいまのうちだよ~」


 声を弾ませるミミちゃんに見せ付けるかのように、あたしは手に持つアイテムを石から剣へと切り替える。


『いきなり物騒な』

『ヤンデレが持ったらダメなやつ』

『ミミちゃん逃げて』


 自称ヤンデレが剣を構えたことで、リスナーさんたちは不穏な雰囲気を感じ取っていた。

 もちろん、いきなり斬りかかったりはしない。

 何事もなく拠点の建設を行うだけなら、この剣をミミちゃんに対して振るうことなく配信を終えることになるはずだ。

 あくまで、何事もなければの話だけど。


「近くに岩山とか森があるし、この辺よさそうじゃない?」


「そうですね、水場もそんなに遠くないですし」


「新拠点の場所はここに決定ってことで、とりあえず夜になる前に今晩の寝床を作ろ~!」


「了解ですっ」


 いまあたしが剣を手にしているように、あたしたちは手ぶらでここにいるわけじゃない。

 拠点を出る時に建築道具と武器に加え、松明やベッドといったアイテムを手荷物に加えた。

 ただし、建築素材となる土や石は現地調達。

 食べ物も持ってきていないので、いまからこの辺りを走り回って用意する必要がある。


「ゲームの中じゃなかったら、シチューにこっそりあたしの髪とか爪とか入れられたのにな~」


 土を適当に積み重ねただけの簡易拠点を作りながら、ギリギリ聞き取れるぐらいの小声でポツリとつぶやく。

 上手くは言えないけど、声色も“ヤンデレっぽさ”を醸し出せていた気がする。

 リスナーさんたちもコメントでただならぬ雰囲気を演出してくれて、あたしは早くもこのヤンデレごっこに手応えのようなものを感じ始めていた。

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