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212話 寝る前の穏やかな時間

 お風呂に入って体の芯まで温まり、しっかり歯も磨き、寝るための準備は万全。

 入浴中に今日は一緒に寝ようという話をしていて、約束通りあたしのベッドに二人で寝転んだのが数秒前のこと。


「お風呂に入る瞬間も最高だけど、この感覚も負けてないよね~」


 気の抜けた声でそう言いながら、寝返りを打ってミミちゃんに抱き着く。

 ちなみに、『この感覚』と言ったのはベッドに寝転がる時のことを指している。

 いくらお風呂に入ったりベッドに体を預けたりする瞬間が至福でも、ミミちゃんに抱き着くことによって得られる幸福度には勝てない。

 お風呂の中でミミちゃんとイチャイチャして、ベッドでもこうして密着している今日という日は、極めて幸せな一日と言える。

 その極めて幸せな日がけっこう多いからこそ、あたしはストレスを溜めずに日々を楽しく生きられているんだと思う。


「ユニコちゃん、いい匂いです」


 眠気は感じないものの普段より少しふにゃっとした声で、ミミちゃんが囁く。

 あたしのことを抱きしめながらの発言だったから、耳元に吐息がかかってドキッとしてしまう。


「ありがとっ。ミミちゃんもめちゃくちゃいい匂いだよ~」


 ギュッと抱きしめ合い、お互いに相手の温もりと香りを感じながら、就寝前のひと時をのんびりと過ごす。

 少し経ってからふと時計を見ると、いつも寝ている時間よりかなり早かった。

 早いと言っても子どもが寝る時間と考えれば妥当なぐらいだけど、日付が変わってから寝ることの方が多いあたしの脳は、まだ寝るには早いと判断している。


「ミミちゃん、もう寝そう?」


「あと一時間ぐらいは起きてると思います」


「じゃあ、寝るまで愛してるゲームしない?」


「愛してるゲームって、相手の顔を見ながら交互に『愛してる』って言って先に照れた方が負けってゲームですよね?」


「うんっ」


「いいですけど、すぐに負けちゃいそうな気がします」


「あたしも勝つ自信はほとんどないよ~。多分、一回ごとに勝敗が決すると思う」


「それを寝るまで繰り返すってことですか?」


「その通り! というわけで、まずはあたしが先攻を貰うね!」


「あっ、ずるいですっ」


 問答無用で先攻を取ったあたしは、動揺するミミちゃんの瞳をジッと見つめながら口を開く。


「ミミちゃん、愛してる」


 元気いっぱいに言うのではなく、囁くように愛を告げる。

 発するのが耳元じゃなくても、周りに雑音がないこの状況なら言葉は問題なく届く。


「んぅ……っ」


 ミミちゃんの顔が一瞬で真っ赤になり、あたしの方を向いていた視線は明らかに別の方向へと逸れた。


「やった~っ、あたしの勝ち!」


 勝利を喜んでみたものの、至近距離から面と向かって好きな人に愛を告げるというのは無感情にできることではなく、あたしもそれなりに照れてしまう。


「すかさずあたしのターン! さぁミミちゃん、あたしの目をジッと見て!」


「えっ? 次はわたしの番じゃないんですか!?」


「そこは変則ルールってことで」


 変則どころか反則なルールを後付けして、さっそく第二戦に移る。

 そんな他愛ない戯れを楽しんでいるうちに少しずつ眠気が強くなり、次に気付いた時には幸せな気持ちで朝を迎えていた。

 隣を見ると、ミミちゃんはまだ寝ている。


「ミミちゃん、愛してる」


 起こしてしまわないよう小声でつぶやき、頬に軽くキスをしてから、あたしは二度寝するべく再び瞳を閉じた。

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