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211話 心躍る香り

 あたしとミミちゃんにとって一緒にお風呂に入るのは日常茶飯事であり、むしろ別々に入ることの方が珍しい。

 お腹いっぱい食べた後に適度な休憩を取り、あたしたちは今日も二人で脱衣所へと足を運ぶ。


「お風呂、お風呂っ、お風呂~♪」


 思い付いたばかりのお風呂ソングを口ずさみながら、夏物と比べて少し生地が厚いシャツを脱ぐ。

 いまはまだ裸になっても少し肌寒い程度だけど、これから秋を越えて冬を迎えれば入浴前のこの時間は寒さとの戦いになる。


「あれ? ミミちゃん、どうしたの?」


 最後の一枚であるパンツを脱いでふと隣を見ると、ミミちゃんは最近買った秋用のニットを一枚脱いだところで手が止まっていた。


「あっ、ご、ごめんなさい、ユニコちゃんの歌がかわいすぎて、つい手が止まってしまって。いますぐ脱ぎますねっ」


 そう言って、慌てて脱衣を再開するミミちゃん。

 一枚、また一枚と衣服を脱いでいく様子を見守っていたあたしは、裸になったタイミングでガバッと抱き着く。


「ありがと~! 童謡以外の歌を褒められるなんて滅多にないから、すっごく嬉しい!」


 二人とも一糸まとわぬ姿だからこそ、肌と肌が触れ合っている場所は服を着ている時よりも温もりを強く感じられる。

 ただ抱き合っているだけなのに天井知らずの多幸感に包まれ、浴室に移ろうという意思が頭にありながらも体は一歩もここを動こうとしない。

 そのままいつも通り入浴前に数分ほどかけて裸のスキンシップを楽しんだ後、あたしたちはようやく浴室へと移動して心待ちにしていた入浴剤を湯船に入れた。


「ヒノキの香りってほんとにいいよね~」


 粉末タイプの入浴剤は手で軽くお湯をかき混ぜると瞬く間に溶け、その爽やかな香りで浴室を満たしてくれる。


「心が安らぎますね」


 あたしとミミちゃんは数ある入浴剤の中でもヒノキの香りが特に好きなんだけど、同年代の中では珍しい方かもしれない。

 高校生の頃に友達と入浴剤の話をしていて、見た目は子どもなのに好みがお年寄りみたいだと言われたこともある。


「それじゃ、ササッと体をきれいにしてお風呂に入ろっか」


「はいっ」


「別に洗わなくても、ミミちゃんの体はいつでもきれいだけどね」


 シャワーの前に立つミミちゃんの背中からそっと抱き着き、前面に腕を回す。

 右手でおっぱいを鷲掴みにして、左手はお腹の辺りから徐々に下へと滑らせていく。

 指先が敏感なところに触れると、ミミちゃんの口から艶やかな嬌声が漏れた。

 ダメだと訴える声は吐息と変わらぬほどに小さく、ミミちゃんの体は言葉以上にハッキリと本心を主張し始める。


「どうせ体を洗うんだから、我慢しなくていいからね」


 声を抑えようとするミミちゃんにそう告げて、あたしは左手の指に込める力を少し強めた。

 指に伝わる淫靡な感触と、ミミちゃんから発せられる甘い声。

 これから先に今日のことを思い出す機会があったとして、最も強く印象に残っているのはヒノキの香りとお湯の温かさではなく、ミミちゃんの匂いと温もりになると思う。

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