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182話 深夜の裏作業

「ん~……」


 ある日の夜、部屋の明かりを消した後も、なかなか寝付けずにいた。

 眠気がまったくないわけじゃないんだけど、もう一歩のところで眠りに入れない。

 こういう時のテンプレとして羊を数えてみたものの、一向に効果を感じられず途中でやめてしまう。

 ふとした閃きで羊のコスプレをしたミミちゃんを思い浮かべてみると、そのかわいさに身悶えし、毛刈りという名目で服を脱がしたいとか考えて興奮して逆に眠気が弱まってしまった。


「よしっ」


 たまにはこんな日もあると素直に諦めて、あたしはベッドから離れて部屋の明かりをつけ、パソコンを起動する。

 お世辞にも体にいいとは言えないけど、せっかくだからこの時間を活用してクラフトゲームの素材集めをすることにした。

 メンバーによってはこの時間にログインしている場合もあるから、もしかしたら突発的に交流できたりするかもしれないと淡い期待を抱きつつゲームを起動。

 残念ながら、現在ログインしているのはあたし一人。

 一応メンバー全員の配信スケジュールを確認してみたところ、近い時間に配信予定のメンバーはいなかった。

 もともと一人で作業するつもりだったのに、誰かと話したい欲がどんどん強まっていく。

 とはいえこんな時間にミミちゃんを起こすのは申し訳ないし、他のメンバーにしても寝ているとは限らないけど時間帯を考えれば起きている可能性の方が低い。

 ――そうだ、配信しよう。

 思い立った瞬間、あたしはすぐさま行動に移していた。

 申し訳程度の告知をしてから、足音に気を付けつつキッチンへ飲み物を取りに行く。

 部屋に戻って諸々のチェックを済ませ、配信を始める。


「みんな、こんユニ~! この上なく突発的だったのに集まってくれてありがと~!」


 夜中に大声を出しても問題ない自室の防音性に感謝しながら、いつものように始まりのあいさつを口にする。

 わずかばかりの眠気は、自分で聞いた感じだと声からは滲み出ていなかった。


『こんユニ』

『配信助かる』

『夜なのに元気だね』

『思ったより起きてる人多い』


「裏作業するつもりだったけど、配信してるから裏じゃなくなったね。ところで、『深夜の裏作業』って言葉だけ聞くと危険な雰囲気感じない?」


『確かに』

『分かる』

『極秘って感じする』


「やっぱりみんなもそう思う? あと、『大人の』って付くとエッチな感じするよね! これも絶対共感してもらえるはず!」


『それも分かる』

『場合によるかな』

『飲み物に付くと苦いイメージあるかも』


「大人のオモチャとか大人の遊びって聞くと、ちょっと人には言えないこと連想しちゃうよね~」


 言ったそばから、ミミちゃんとの大人のオモチャを使った大人の遊びが脳内に浮かぶ。


『相変わらず脳内が真っピンクだ』

『連想するのはいいけどその中身を配信で言っちゃダメだよ』


「この話題を続けるとアーカイブが消えることになっちゃうかもしれないから、話題変えよっか」


 眠気がイタズラをしてポロッととんでもないことを口走りかねないので、危険の芽は早めに摘んでおくことにする。


「みんなは眠れない時ってどうしてる? とっておきの解決策とかあったりする?」


『羊数える』

『推しのASMR聞くとか』

『癒し系の音楽聞いてたらけっこう寝れる』

『諦めてゲーム』

『甘い物食べる』


「なるほど、十人十色って感じだね~」


 いろんな意見が飛び交う中、羊を数えるというコメントの数がけっこう多くてクスッとしてしまう。


「あっ、前にミミちゃんが作ってた畑だ!」


 リスナーさんたちとやり取りしつつ素材集めや整地を進めながら、メンバーのみんなが作った建築物なんかを見て回る。

 配信を始めてから一時間弱が経過したぐらいで大きなあくびが出るようになり、用意した飲み物がなくなる頃には危うく寝落ちしそうになるぐらい眠気が強くなっていた。

 意識があるうちにリスナーさんたちへ配信を終える旨を伝え、ゲームからログアウトしておく。


「みんな、今夜はありがとね~。みんなもちゃんと寝てね。おつユニ~」


『おつユニ』

『ゆっくり休んでね』

『楽しかった』

『こっちこそありがとう』


 配信を始めるのも終わるのも急だったのに、みんなのコメントは優しいものばかりだ。

 心が温かくなったおかげか、ベッドに寝転んだあたしは、驚くほどすぐ眠りに落ちた。

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