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143話 同時視聴オフコラボの役得③

 先ほど浮かんだ考えがフラグになったらどうしようと少なからず本気で心配していたものの、その不安は杞憂に終わることとなった。

 映画は恐怖の余韻を残しつつも満足感のあるエンディングを迎え、配信画面の中央に大きく表示された『同時視聴!!!!』という文字を非表示にして感想パートに移る。


「怖かった~! けどすっごく面白かったね!」


『二人の反応が最高だった』

『見たの二回目だけどめちゃくちゃ怖かった』

『ギリギリ漏らさずに済んだよ』


「何度か思いっきり悲鳴を上げてしまって、すみませんでした。鼓膜は大丈夫でしたか?」


 確かに、命の危機に瀕した登場人物をも凌ぐ声量の悲鳴だった。


『予備があったから平気』

『むしろご褒美です』

『ミミちゃんの珍しい大声が聞けて嬉しかった』

『あれ? 音聞こえないけどミュート?』


 大喜利会場と化しつつあるコメント欄を楽しませてもらいつつ、ふと気付いたことを話すため口を開く。


「手のひらが汗でびっしょりなんだけど、怖くてハラハラしたのもあるとして、ミミちゃんがずっと手を握ってたのも理由の一つだよね~」


「えっ、そんなにずっと握ってました?」


「うん!」


 驚くミミちゃんに、あたしは即答で返す。

 まぁ、ミミちゃんがあたしの手を握っていたというより、お互いに相手の手を握っていたと言った方が正しいけど。

 

『てぇてぇ』

『ユニコちゃんの返事元気よすぎて草』

『微笑ましい』

『ホラー映画に心から感謝』

『3D化した時にもホラー映画の同時視聴をお願いします!』


「あとね~、ミミちゃんのリスナーさんには本当に申し訳ないんだけど、他にも役得な出来事がいろいろとあって――」


 あたしは映画視聴中のことを思い出しながら、配信しても問題ないエピソードを抜粋して絶え間なく言葉を発し続けた。

 ミミちゃんの照れる様子や、リスナーさんたちからの反応も楽しませてもらう。

 そして同時視聴の締めくくりにミミちゃんと映画の内容について改めて語り合い、リスナーさんたちからはおすすめのホラー映画を教えてもらった。

 配信を終えて一息ついていた中、あたしはおもむろに沈黙を破る。


「ミミちゃん、今日は一緒に寝ようよ~」


「わたしもちょうど同じことを言おうとしてました」


 口には出さないものの、恐怖は依然として頭の中に居座っている。

 一人なら耐えられなくても、二人なら余裕で乗り越えられるはずだ。


「おねしょしても許してくれる?」


「もちろんですよ。誰にも言いませんから安心してください。替えの下着もすぐ取りに行きますっ」


「漏らす前提になってるけど、さすがに漏らさないからねっ? こう見えても大人だから! さすがにもう卒業したもん!」


「ふふっ、分かってますよ。大丈夫ですからね」


「笑顔が優しすぎる! 漏らすって思ってるでしょ!」


 ホラー映画の余韻がもたらす恐怖なんてどこかへ飛んで行ってしまったかのように、他愛ないやり取りで盛り上がる。

 翌朝におねしょという名の悲劇が起きたか否か、それはあたしとミミちゃん以外知る由もない。

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