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130話 アイスの一石二鳥な食べ方①

 エアコンのありがたみをひしひしと感じる、真夏日の昼下がり。

あたしとミミちゃんはリビングのソファにもたれかかって、コンビニで買ってきたばかりのアイスを食べている。

百円でおつりが出るリーズナブルなアイスだけど、子どもの頃から変わらず好きだ。

季節ごとに期間限定のフレーバーが登場するので、選ぶ楽しさがあるのも嬉しい。


「定番のソーダ味もいいけど、コーラ味も捨てがたいよね~」


 アイスをかじった際のシャクッという軽快な音も、清涼感の演出に一役買っている。

 のんびり食べていたつもりが、気付けば最後の一口がのどを通っていく。


「確かに――ひぅっ」


「だ、大丈夫?」


 ミミちゃんが突然小さな悲鳴を上げ、頭を押さえた。

 冷たい物を食べた時に起こる例の現象だと分かっていても、心配せずにはいられない。


「頭がキーンってなった時は常温の水を飲むといいらしいよ! ちょっと待ってて!」


 あたしは慌てて立ち上がり、冷蔵庫からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出す。

 ミミちゃんの隣に座ってキャップを開け、それを自分の口に運ぶ。


「んん、んんんっ、んっ!」


 あたしは口の中に水を含むと、当然の流れであるかのように口移しで飲ませようとミミちゃんに顔を近付けた。


「あっ、ありがとうございますっ」


 ミミちゃんは少し照れながらも、躊躇することなくあたしのキスに応じる。

 唇を密着させ、舌を使って口から口へと水を移動させる。

 無事に移し終えると、ミミちゃんはよく味わうように口を動かしてから、はにかむような笑顔を浮かべてゴクリと飲み込んだ。


「どう? 痛いの治った?」


「はいっ、おかげさまで。それと、あの……ご、ごちそうさまでした」


 ミミちゃんはほんのりと頬を染め、愛おしそうに唇を指でなぞる。

 その表情と仕草はかわいさと艶やかさを兼ね備え、思わず見惚れてしまう。

 ちなみに口移しを選んだのは、冷たい水を常温に戻すというきちんとした理由があっての行動であり、決してあたしの個人的な欲望を満たしたかったわけではない。


「そう言えば、あたしもちょっと頭キーンってなってるかも。ミミちゃん、お願いしてもいい?」


「もちろんです、任せてくださいっ」


 特になんの予定もない、真夏日の昼下がり。

 あたしとミミちゃんは、アイスよりも甘いひと時を堪能するのだった。

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