爆砕と蛮雷、そして三の解④~45秒作戦会議~
~2週間近く開いちゃったので前回のあらすじ~
ロックから教えを乞うリーズだったが、あまりにもスパルタ思考で前途多難。
そこで偶然休憩にきたおぼろを巻き込み、急遽作戦会議をするのだった。
「ロックさんのビルドは【器用】に重きを置いた技量戦士……ただ私のような一撃で仕留めることよりも、乱打戦を優先して厚く【防御】に振ったそうです」
思えばよく動くわりに後手を取ることが多かった。
いつだって出たとこ勝負ばっかり……何も考えずに突っ走って、相手の事を考えないからこうやって散々な目に遭うんだ。
「振りすぎるとかえって感覚が狂うそうなので、【速さ】にはそこまで手を入れてなかったですね」
だからすべきなのは推測を立ててどんどん更新していくこと。
どれだけ手札があるか。どういうビルドなのか。そこからどんな試合運びが理想的かを考える……あの千本ノックはそれを読み取るための練習と思えば納得行く。
……イヤ教え方下手では?
何も言わずぼっこぼこにして、ここまで考えろって鬼畜では?
そこんとこどうよねえ……ってロックをみるけど、ただいまロックは座禅を組んで悟りを開いてる真っ最中だ。
ちくしょうこのやろう……。
いや【ブリッツ】を今撃てばあんがいあたるんじゃ「リーズさん?」おっといっけね。
「ロックさんのことで私が知ってるのはこのくらいですけど、いいんですか? 当時のステータスなんか聞いても役に立たないんじゃ」
ところがどっこい、正確にわかれば大収穫なのよ。
ここでおぼろちゃんにクイズ。
「【紅演武】習得の条件は『【格闘家】かつ一定の力と器用値』……レベル30でそれを習得してるってことは、どういうことだと思う?」
「……どこでそれを? まさかさっき盗み聞き──」
「おっと人聞きが悪いぞおぼろちゃん! 聞こえちゃったんだから仕方なし!」
「意思をもって聞いてるんだから変わんないですよ、もう……」
私悪くなーいもーん。
【風読み】が勝手に私の耳にシオンの会話を爆発込みでお届けしてきただけだもーん。
出てきた言葉はひっこまないもーん。
ほらほらー、ジトっとむくれてたってカワイイゲージが爆増するだけで、ハナシが脱線する以上の効果はでないぞう?
「……それ以外の項目にステータスを振る余裕なんてほとんどない、でしょう?」
「せーかい! ほんとよくできてるわよね……」
VRMMOって、いかにも現実っぽいけどゲームだから、ステータス1つ伸ばしたらその分どこかひっこんじゃうのよね……
PvPの原理っていうのはじゃんけんに近い。
手持ちのスキルを「勝ちにつながる手札」とし、それをぶつけ合って勝敗を決める。
プレイヤーの出すスキルはそれぞれアシスト機能でどういう動きをとるか決まってるから、どこでどう出すかを読み合い、スキをうかがうことになる。
ただこの「手札」がなかなかのくせ者。
どれだけ数があるかわかったもんじゃないから、次に相手が出す手札を考えてばかりだとさっきみたいな『遅れ』ができて押し切られちゃう。
では無数にあるスキルから相手の使える手札を絞り、万全な読み合いを成立させるためにはどうしたらいいか?
そこで必要になるのが『相手のビルドを予測すること』。
相手の動きやスキルを見て、相手がどういう状況に強いかを割り出す。
ロックとしてはあの千本ノックでそれを察して欲しかったんだろうけど……あいにく頭回んないからおぼろちゃんの力を借りちゃいます、まあお互い様よね。
「それで私からビルドを……どういう構築かわかれば弱点もおのずと見えるから」
「そう! どれだけ鍛えてようと土俵は平等、積み上げた250ポイント分しか数字を割り振れないなら、たとえプロにも穴は出るわけよ!」
とすれば次に必要なのは……。
「ステータス! おぼろちゃんにも見せたげて!」
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スタイル▼
【七大罪・強欲】E
【三解の錬金術士】
【七大罪・傲慢】
【七大罪・色欲】
【七大罪・憤怒】
ジョブ▼
【一の解・理解】【二の解・分解】【三の解・尸解】
【釜調合】【素材発見】【簡易調合】
ユーズ・コモン▼
【スーサイド】
【ブリッツ】【サンダークラップ】
【エナジーキャノン】
【トペ・スイシーダ】
パッシブ▼
【デスマーチ】【遮二無二】【千雷】【被虐体質】
【とんずら】【生産職の革命児】【錬金中毒者】
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カギはロックの知らないスキルのアプローチ。
おぼろちゃんの言う通り小手先でプロを倒すのは無理だもの、大まかに把握だけでもしておきましょ。
【三解の錬金術士】。
スタイル装備ならこれが筆頭になるのかしらね?
錬金術士の職業で使えるスキルのコストを下げてくれるシンプルながらとっても嬉しいスタイル。ばかすかHPを削りやすい私にはうれしい……え? 調合は命を削ってやるものでしょ?
めちゃくちゃ不本意な【色欲】。
……条件を見るに注目を浴びたという解釈から生えたらしいこれは、NPCからの好感度とモンスターのエンカウントを2倍にはね上げるスタイル。
「行き過ぎた情欲は災禍を招く」ってそういう……と思ったけど、モンスターから素材をはぎ取れるチャンス倍増するのは普通にいいじゃん、今やってる場合じゃないけど。
【百雷】から変化した【千雷】。
雷魔法の火力を引き上げてくれる、単純ながらものすごくお世話になってるスキル。
どのみち【スーサイド】頼みなのは変わらないし、これからも彼は人知れず支えてくれるのでしょう。
なんだかかなしい……私は忘れないからね。
【被虐体質】はロックにボコられてたら出てきた。
ダメージを受けるほどその分を何割か【防御】に変換してくれる。
【強欲】もって前衛に出ればあら不思議、攻撃集めて硬くなり続ける永久機関の完成……すごい、痛くないけどやってらんない!!
気を取り直して【遮二無二】……しょにむにであってるよね、生徒会にしょむってあるもん。
スキル効果で支払ったHP分【速さ】に補正をかけてくれる。
小回り改善じゃん、ロスト寸前まで削ればシオン並に速く……おぼろちゃんに怒られるから無理に狙うのはやめよう。命は計画的にね。
【三の解・尸解】くそう、また読めない文字を……いや、見たことあったわ。
どこの国できいたんだっけなー、中国? インド?
確か死んだあとに魂を体の外に出せたら仙人に転生できるってお話だったはず。
なんだか錬金術らしくないけど、手に入った以上は使わせてもらおう。
して、効果はと……
「……へえ」
目標と狙いは定まった!
なら必要なのはとにかく体力だ。
BP全部スタミナに突っ込んで……。
「めーーーーっ!」
「ひつじ!?」
ステータス画面の項目に指を伸ばしたところで、おぼろちゃんがさえぎってきた。
「少しでも別の能力を伸ばすべきです! 【スーサイド】中に速くなれるなら少し【速さ】に振って、距離を置きながら戦えるじゃないですか!」
「……ほっほーう、つまり逃げ回らなきゃ私がロックに勝つ可能性は0と申すか?」
「真正面から勝つつもりなんですか……? 相手はプロですよ!? ステータスからちゃんと考えて振らなきゃ勝てるわけない!」
「そっかー……」
うんうんいーわよお、今ので火がついた。
そんなに信用ならないなら何度だって見せてやる!
「そうですよ、それに見えてる弱点のケアだって軒並みおさえてるでしょ……」
「百も承知ぃ!!」
「ってあーーっ!? 何やってんですかーー!?」
はっはー、話が長いからその間にBPをスタミナへブチ込まれるんだぞうおぼろちゃん!
これで私は完全異常者、ドリルめいた尖りと引き換えにきれいさっぱりだ!
「それじゃあこれまでと変わらないじゃないですか、いつも自分の身を削ってばかりで……! 気合と根性だけじゃ届かない場所だってあるんですよ?」
「どこにだって届くわよ」
もとより私はどこへ行っても戦えるのだ。
ただそれが対エネミー用のもので、人に向けた戦いじゃなかっただけ。
だから無理に選んで捨てなくても、そのまま持っていって機能を加えていけばいい。
ロックの弁を借りるなら私は未だ発展途上、こんなところで捨てるのはあまりにももったいない!
「届かないのは1個を抱え込んで手を伸ばさなかっただけ! はしってればどこにだって行けるし、何個だって手に入るんだから!」
よそ見しないで手を伸ばすんだ!
PSやシステムで力差を埋められるなら、他をアテにして曲がるなんてもってのほかだしね!
「それはきっと理想論ですよ……できる人もいるし、できない人だっているんです」
「まーまーそんなこと言わずに見ててよ、これから面白いことになるから!」
いろいろ教えてくれてありがとうロック、お礼にどえらい目に遭わせてあげるからね。
さんざんわからん殺しをされたんだもの、目には目をってことで目にモノを見せてあげるわよお……!
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シレっとスルーされた【傲慢】くんと【とんずら】くん「俺たちは!?」
あまりにもかわいそうなので簡単に説明しますと
【傲慢】くんは相手を見下してるとスキル威力50%上昇でイキれるが、
見下せないと攻撃スキルを全封印されクソ雑魚ナメクジになるスタイル
【とんずら】くんはエネミーからの逃走に補正がかかるスキルです。




