スーサイド・ケイエイ
借金令嬢のたいあたりゲーム返済記「インスタ」
おかげさまで連載70回を突破いたしました。
エタることなくここまで来れたのもひとえに皆様のブクマや応援のおかげです。
ありがとうございます。
この物語もまだまだ中盤に差し掛かる寸前くらいですが、これからもどうぞよしなに。
「遅いぞ!」
「シオン?」
翌日イフオンにログインした私は意外や意外、目の前で仁王立ちしているシオンに迎えられることになった。
「アンタ学校はどうしたのよ、まだお昼よ」
「うるせー、車イスが壊れちまったから行けねえんだよ!」
あー……そっか、リアルじゃ足が満足に動かないんだっけ。
というかなんでそんなに怒り気味なんだろう、昨日私がふらっと帰った後何かあった?
「昨日あの後大変だったんだよ、エリンのやつと一緒におっさんを説得して、今日改めて迎えにくるって約束とりつけて……ほらおっさんの工房に行くぞ! とっとと行くぞ! さっさと行くぞ!」
「待って待って迎えに来るんでしょ? それともクマ鬼の工房の場所、聞いてあるの?」
「……あ」
絵に描いたように「忘れてた」って顔すんじゃないわよ……。
「ほ、ほら……しらみつぶしに探せば」
「ばーか、ただでさえこの街トンでもなく広いのよ、ノーヒントで探すくらいならおとなしくここで待ってた方がいいじゃない……それに今日は用事があるからここから動けないしね、やるなら1人でやりなさい」
それにヘタな真似して目撃した人らに見つかったら袋叩きでしょうが!
「ちぇ……」と拗ねつつ理解したらしいシオンはその場に胡坐をかいた。
「……用事ってなんだよ」
「大規模イベントの準備におぼろちゃんたちとレベリングするのよ、知り合いが隠しエリア見つけたんだって! だからおぼろちゃんが来るまでここで待ってるわけ!」
「はあ!? ふざけんなお前ズルいぞ、ふらっと1抜けした後そんな面白そうなことしてやがったのか! おれもまぜろー!」
うわ床でじたばたゴネだした!
「1枚かませろちくしょー! ずりーぞおまえー! ズリーズ!!」
「ズリーズやめい!」
……とは言え話を聞くに、急に置き去りにされエリンちゃんと一緒に相当苦労をかけた。
なら、たまには甘い汁を吸わせてあげてもいいか。
「わかったわよ……これからやることを手伝ってくれたら、おぼろちゃんが来たらあんたも連れてってくれないか聞いてあげる! でもそれで断られたらすっぱり諦めること! いいわね!?」
「いいのか、いよっしゃあ!! なあ何すりゃいいんだ、調合の手伝いか? レンガ作っても時間まだまだ余りそうだし、ほかになんかすんのか?」
「カンがいいわね……その通りだけど、まずはレンガの調合から! そことそこの材料持ってきなさい!」
「へいへーい」
……はあ。
本当に頭が痛くなるくらい調子よくて、気の早い奴よね。
*
物はためしという言葉がある。
新しい機能とか、道具とか、説明だけじゃわからないものをとりあえず使ってみて、ああこういうものなんだって初めて理解する。
人ってのは結局のところ目先に見えたもので判断するわけだから、来るべき本番に向けて使ってみて、どうなるか確認したくなるもんなのよ。
「というわけでおぼろちゃんがくるまでの間、お店機能っていうのを使ってみようと思いまーす!」
「このとんがり帽子の家、店にもなるのか?」
「そーよ?」
この工房【魔女の帽子亭】は本来、貴族街にある魔法アカデミーの生徒たちが道具屋経営の実習する為に建てられたもので、出入り口と釜のある1階を使ってお店にすることができる。
方法は雑誌やサイトで徹底的に調べたし抜けはない。
まずはお店にしたい工房の中でステータスを開いて……。
「す、すてえたす……」
「おいおい声震えてるぞ……緊張しすぎじゃねーか?」
「大丈夫よ……この日の為にイメトレもしてきたもん……!」
「ええ、気負いすぎだろ……」
うっさい、こっちにはこれに人生かかってんのよ。
ステータスを開いて、だ。
スワイプで流れていく項目の中に【アイテム販売】ってボタンがあるからそれをタップ。
するとなんと、
「うおっ、急に看板出てきた!?」
商品を書き込むための看板が出てくる。
……虚空から折りたたみ式の看板が出て乱暴に着地する様がなんともシュールだわ。
こんなことして壊れないのかと思うけどそこはゲーム、なんと【破壊不能】の特性がついているらしく壊れることはないのだそう。
もっと壊したらいけないものあるだろってツッコミは今はナシ!
こういうお店は1つの区域に密集しやすいから、何を売ってるかパッとわからないと人が入りにくいっていうのはわかるものね。
あとはここに、売りたいものやサービスをメニューから登録する。
もちろんユニークアイテムは選択できない。ぐぬぬ。
他にも限界はあるみたいで、お金を払って増築しないと大きい家具だとかは売りに出せない。うぐぐ。
課金すればすぐに出来るそうけど、もちろんそんなリアルマネーはない。
……そういやクマ鬼がそれっぽい事言ってたっけ「いくらかかった」とか。
まさか課金して……うわ、ちょっとかわいそうになってきたぞう?
ちょっと同情しつつも最後の設定をば。
セット販売をするか、一度に売る個数はいくつか、何時まで開店してるか、リアルマネーは受け付けるか、それぞれ決めてから看板にメッセージを入力する。
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2時間限定の【カテゴリ:衣服】改造サービス。
あなたの服に耐火加工を施して【リキッドウェア】にしちゃいます。
中の繊維を凍らせる【凍結結晶】4つもつけて
ニコニコのお値段5000エン。
リアルマネー取引も承ります。
わーいオトク!
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……これで開店準備は整った。
あとはこれを外に置き、入り口の壁掛けにある【オープン看板】を表にすれば、お客さんが入るようになる!
「メンドくさいシステムだな、適当にいい素材見つけて売った方が早くないか?」
「そうもいかないのよ、リアルマネーに換金できる関係で、ボスから落ちるようないい素材じゃないと値段もつかないんだから」
それに値段はAIが勝手に判断してつけるしね。
ともすればおせっかいなこの設計は正直賛否両論だけれど、私みたいな超初心者がやるには心強い限りなので文句は言わない!
「さーてシオンお仕事よ! 平原にいるスライムを刈って、素材と水をとってきてちょうだい!」
「ようやく出番か! スライムでいいんだな、よっしゃあ行ってくるぜ!」
【リキッドウェア】の素材は衣服を除けば【ぷに玉】と【カテゴリ:水】と【カテゴリ:粘液】。どれも外のスライムが落としてくれる。
万が一素材が足りなくてもシオンで回収できる。
【凍結結晶】もその最中に出てくるから、気にしなくていい。
つまり売り物には困らない!
看板はOK!
釜もスタンバイ完了!
街の外側にあるここなら、職人通り以外の人も来ないでしょ。
さーて、私にとってはこれが初めてのお店経営!
物はためしの実験販売、開始よ!
そんな連載70回目にしてシステムを説明するという……
何か不備や説明不足な部分等ありましたら
↓のTwitter等で教えていただければと思います。
お話に改めて追加したり、その都度説明いたします。




