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インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第三章 ビュンビュン! 神風盗賊ブレーメン!?
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厄介者たちの反省会④~そして神風は1つ所に~

 


 ―いい加減にしてください、また逃げるんですか!? 目の前にあるものからまた逃れようとするんですか!? 逃げのびたところでどうするんですか!!? モンスターからも、責任からも、追ってからも逃げて逃げて逃げて……ネズミですかあなたは!!―


 その言葉におれは何も返せなかった。

 どんぴしゃりすぎて、しばらく考えこんじまった。

 これだけ迷惑を人におっかぶせて、本当に何をしたかったのかって。

 でも、考えてもやっぱおれには“走りたい”しかねーんだよ。


 アイツみたいに。

 うんとちっさい時からずっとあこがれてた、アニメのヒーローみたいに走りてえ! って、そういう想いしかなかったんだ。



 ジッとするのすら嫌がるくらい冒険が大好きな、ハリネズミのヒーロー。

 世界征服を企んでる科学者の悪だくみで捕まる仲間を一気に助けて、そのたんびに出てくるミサイルもビームもビュンビュンとかるーくかわして、そのまま鼻歌交じりに蹴散らしながらニヒルに笑うんだ。



 その姿は本当に楽しそうでイキイキとしてて。

 まだ小さかったおれは、足がよくなったら大真面目にそういう風になりてえと思ってた。

 その思いは、ある程度の分別がついた今でも根っこにある。



 そうだ、速さに極振りしたのは逃げるためなんかじゃねえんだ。

 おれの望みは【無限の冒険】。

 この世界の、どんな危険も走り抜けてあいつと同じヒーローになってやる!


 だったらすることは1つのはずだぜ!



 *



 マルジンさんに【静寂のブローチ】を返した私たちは街の外れにある私の工房へ向かっていた。


「ふぃー、ひどい目にあった……」


「急に来て突っ込むからそうなるのよ、アポくらい取りなさい、アポを」


「アッポー?」


 ……ダメだこりゃ。

 大事なお話をしたければ、予定がないか聞いてアポイントメント……約束をとりつけろってふつー教わらないのかしら?


 そんなだから出入り口で待ち伏せされて、ぶらーんとエイリアンのように連行されてくるなんて目にあうのよ。


「まあいいじゃねーか、おれのおかげで無事にブローチはあのおっちゃんに返せたわけだし、報酬手に入ったし、万々歳……」


「じゃない! 結局不法侵入の分が入って血みどろネームから戻れてないじゃん!」


「なんだよ、憲兵に追われなくなったからいいじゃねーかよ!」


 頭の後ろで手を組んでふてくされはじめたシオンだけど、小さく「はぁ、これじゃ借りを返せねえな……」なんて続けたあたり、反省はしたようなので追撃しないようにする。


 しかし、借り……借りか……。

 前にいるシオンに早足で並びながら言ってやる。


「シオン、たしかに貸し1とは言ったけどさ、そんなにすぐやろうとしなくてもいいわよ?」


 そりゃ、貸した分は返してくれなきゃ嫌だけどさ。

 だからといって、ろくすっぽ何もないところから今すぐやれ、というのは流石に酷じゃないかとも思うワケよ。


 だけどもシオンは「いいんだ!」と言いながら1歩大きく踏み出した。


「リーズだって、なんかやりたいことがあって始めたんだろ? それも、あんな必死になるくらいの……だからおれにも手伝わせてほしいんだ」


「うっ」


 思わず顔をそらしてしまった……!

 あのときこっそり聞いてたのか……というかシオンに気遣われるくらい露骨だった!?

 マズいなあ……かんしゃくのクセをどうにかしないと、この分じゃいつかどこかでボロが出そう。


「……お前がなにを抱えてんのかとか、なんでここにいるのかはあとで教えてくれりゃいいからさ! だから今はその、何も聞かずに恩返しさせてくれねーか?」


「そ、それ貸し借りとたいして変わんなくない?」


「……いいんだよ、細かいことは!」


 どうやら言われてから気づいたらしい。

 顔を真っ赤にしたシオンはごまかす代わりに、一気に私を追い抜いた。


「お前がこうありたいと思った願いを、おれが守ってやる! お前が自分の勝手でおれにしてくれたように、今度はおれが勝手にお前を支えてやる! それでいいだろ?」


 困ったなあ……目が本気だわ。

 ここで下手に断っても何かに紛れて勝手に押しかける、くらいはしてきそう……。

 ふつうの子供ならまだほほえましいもんだけど、相手は走るだけで街を破壊しちゃうある意味で神風なトラブルメーカー、目の届かない位置にいること自体がもう怖い。


「はあ、わかったわ……」


「よっしゃあ! 改めてよろしくな、リーズ!」


 結局、目に見えるところで手綱を握れてた方がまだましだろうと結論付けた私は、シオンの伸ばした手を握ることになったのだった……。




 ああ、どうか。

 彼のやる気が空回りして、私の作ってきた道をぶち壊しにしたりしませんように。

 そう思いつつ、私はシオンを連れて工房へ戻るのでした……。



 *




━━━━━━━━━━loading…━━━━━━━━━



 フォークロアⅠ「自由なる神風の盗賊」Bランク達成を確認。

 該当者:リーズ、おぼろ、シオン


 カテゴリ『創られし音楽隊』のフォークロアⅡ発生に必要な条件を検索します。


 検索中…

 検索中…


 職業カテゴリ【生産系もしくは吟遊詩人】を確認。

 マップ【秘密の隠れ家】への到達未確認。

 クエスト【エスケープ・ゴート】受注者を確認。


 下記フォークロアⅠいずれかの達成未確認。


「月下に響く剣戟」

 受注者:なし


「我らが歌姫に喝采を」

 受注者:なし


 ……

 ……

 ……


「エスケープ・ゴート」

 受注者:シオン



ーー上記フォークロアⅠのうちいずれかを、Aランク以上でクリアしてくださいーー




さーて、次回のインスタは!?



ヤッホー! リーズだよ!

ついにきました、イフオン初の特大イベント!

その名も【レジェンズ・バトルロワイアル】!!


優勝賞金は100万エン!

これを逃がすなんてありえない、というわけで私の一攫千金大作戦が幕をあけたの。



いろんな人の力を借りながらパワーアップして、いざや挑まんバトロワへ!

この新しい力で、みーんな蹴散らしてやるんだから!



だけど私は知ることになる!

まさかあいつがここに……このゲーム世界に来ていたなんて――!


お前は絶対に許さない!

命に代えてもぶっとばす!



次回インスタ!

「ドカバキ! 生きてる罪【パラサイト・シン】!」



私はいつでも命がけ!

スーサイド、オン!


「ブクマ」「ポイント応援」よろしくね!!


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― 新着の感想 ―
[良い点]  スタミナに極振りしたやベー奴と素早さに極振りしたやベー奴が揃っちまった/(^o^)\  おぼろちゃんの真面目かつ優しい感じ、めっちゃよかったです‼
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