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インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第三章 ビュンビュン! 神風盗賊ブレーメン!?
42/87

厄介者がゆく地下水道②! どん詰まりのお説教と襲撃!

 

「あはははは! たーのしーーっ! ブリッツブリッツブリッツブリッツーー!!」


「ひぎーーーーーっ!!?」


 結果から言っちゃえば恐れる必要なんてないんだわ!

 だってあの火山を私は攻略したんだもの!

 だだっ広い平原で3人に囲まれるわけじゃないんだもの!

 ハナっからオバケなんて私のテキじゃなかったのよ!


「リーズさん」


 腕輪がわたしの魔法にちからをくれる☆

 わたしのイヤなものをぜーんぶふっとばしてくれる☆

 うひょーーーー☆☆☆


「リーズさん!」


 バチバチがビリビリに☆

 ビリビリがバリバリに☆


「リーズさん!!」


 そしてバリバリが―――


「いーーやっほーーーい!!!」


 どっかーん☆☆ となってオバケをみなごろしにする☆☆

 よーっしこのままブレーメンもブチころ――


「リヨさん」


 現在地はT字路に行き当たったあたり。

 つぎはどっちにいこうかなー☆ と思った時に後ろから刃がしゅどっ――っと壁に突き立てられた。

 恐ろしいくらいに静かに首の真横へ正確に刺さったそれは、確かな『殺意』ってものを私に訴えてくる。


「少々お話があります……聞いていただけますね?」


「き、聞かなかったらどうなるでしょうか……」


「知れたこと」


 ゆっくりと刀を引き抜いたおぼろちゃんはそのままぴたりと首筋にくっつける。

 無機質な冷たさが、全身にわたった。つまり首を斬り落とすと。


「き、きれーに刺さったわね、おぼろちゃんらしく無駄のない……」


「それは辞世の句ですか?」


 辞世の句とかしってるんだー……それずいぶん昔の劇の言葉らしいんだけど、おぼろちゃんは博識だなあ……

 和ませようとした言葉も今のおぼろちゃんには通じない。

 うん、戻った。リアルの流子ちゃんらしさが出てきた。

 ただ後ろから漂う般若オーラとか、そこまで立ち戻らなくてもよかったかなあ……。

 結局私は情けなくみっともなく恥も外聞もなく、湿った地に膝をついて、年下の妹分相手に頭を下げたのだった……


「モウシワケアリマセンデシタ……」



 ━━━━━━YOU WIN!━━━━━━


 モンスターの討伐成功!


 ノーダメージボーナス+50%!


 EXPを1940獲得!


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 *


 そこからはぷりぷり怒るおぼろちゃんに頭を下げながら、自分のスキル構成について語り尽くす羽目になった。

 強欲やスーサイドはもちろん、使える魔法のこと、錬金術のスキルのこと、ステータスや装備品の効果に至るまでマルハダカにされた。おぼろちゃんに曰く、


「こうなったのはあなたに決定をゆだねた私の責任でもありますので!」


 とのことだ。

 ステータスをスタミナに極振りしたことを話したら、それはそれで怒られた。

 なんでみんな極振りを嫌がるの……? 異常者みたいに扱うの……? って言ってやりたかったけど実際のところ私は異常者でまぬけ。義は向こうにあるので何も言えない。


「しばらくスーサイドは禁止です! 理由はもちろんお分かりですね?」


「調子に乗ってHPを削り、走って暴れまわるからです……」


「そうです!」


 破壊という破壊をしながらここを徘徊してるっぽいブレーメンがいる以上、モンスターとの戦闘だとかはなるだけ控えたい。

 ヘンに動き回って、身動きのとりにくい水路で戦闘になったところを襲撃! なんてされたらひとたまりもないからね。


「次やったら覚悟してください、いいですね!?」


「は、はい……」


 おぼろちゃんの凄みを全身に受けながら、私はもう二度とおぼろちゃんの前で調子に乗らないようにしようと肝に銘じたのだった。

 ……ん? いや待てよ。


「ふっふっふ……心配する必要はないぜ、おぼろちゃん」


「どうかしましたか?」


 いいこと考えた。

 おもむろに立ち上がった私はアイテムボックスを開き、おぼろちゃんにあるアイテムをお見せしてあげる。


「この小さな包みは?」


「説明しよう! これは【シンデレラパウダー】! 数分間死んでもたちどころに復活する状態にしてくれる、主役の粉なのだー!」


 おぼろちゃんに見せびらかしてる包みは、自作した布を四角く切って巾着袋にしたもの!

 さすがにツボにたんまりとたまったまま持ち歩くのは不便だったからね。

 とにかくこの主役の粉さえあればいくら調子に乗っても復活できるから、大砲を撃ちながらブレーメンを探して、あわよくばそのまま討伐できる!

 これなら――


「……マルジンさんに頼まれたブローチはどうするので?」


 ダメだーーーー!!!

 どう考えても盗まれたものは消し飛ぶ!

 それにこれ以上どんちゃん騒ぎをしたら、オバケは寄る一方だわブレーメンは最悪逃げるわでなんの得にもなりゃしない!


「はあ、やはり私がしっかりしなければ……」


 おぼろちゃんはとうとう額に手を当ててため息をついてしまった……


「とにかく、これからは私も気を配りますので! くれぐれもご自愛するように!」


 うう、ダメなおねえさんでごめんね……

 と言おうと、新しく決意したおぼろちゃんの肩に両手をついたときごうん、と遠くから音がした。

 何かが壊れたような音だ。


「……おぼろちゃん」


「……どうかしましたか」


 その音は定期的に繰り返すようにして大きくなっていく。


「真っすぐこっちに何か来てる……多分壁を壊しながら。 聞こえなかった?」


「【風読み】の効果ですかね……耳がよくなるそうです」


 どっちから来るかわかりますか? とそのまま続けてきたおぼろちゃんに、私は首を横に振った。


「前と後ろ、2方向から見張りましょ。 おぼろちゃんどっちがいい?」


「では前を」


 どこから敵が来るかわからない以上、2方向に絞って考えた方が都合がいい。

 それにしてもさらっとT字のどん詰まりの方、難しい方を取るおぼろちゃんの意気込みには舌を巻くわね。


「難しいけど、お願いね」


 それにしてもものすごい速さ。

 道幅は私とおぼろちゃんで両手をつないでいっぱいに広がっても、もう2人横に立てるくらいには広い。

 だのに、壁を壊す音、水に入る音はわずかにずれを感じるくらいでほぼ同時。

 ……速すぎない? そんなのが壁をぶち抜きまくってんの?


「おぼろちゃ――」


「……」


 いったん離れようと呼びかけるけど……すごい集中だ、聞いちゃいない。

 次の瞬間、凄まじい威力で何かがくるのは想像に難くないんだけど、それを承知の上で構えをとってる。

 なら、その気概は買ってあげるべきだ!

 ずがん! と音はさらに大きくなる!


「大丈夫、私はあなたを信じる。 もしもミスっても、私はあなたを責めないから」


 私はせめて耳を澄ませる!

 おぼろちゃんに伝えるんだ、カクジツな敵の音を!

 ごがん!

 どがん!

 ばがん!


「――おぼろちゃん!! そっち!」


 どっかんがらがら!!

 振り向いた瞬間、影がT字路のどん詰まりをぶち破った!


「――ここ!!!」


 一閃!

 放たれた一刀は胴体を切り裂かんと迎え撃つ! タイミングばっちり!

 けれど敵も、むざむざ斬られてやらない!

 キラリとなにか光る物をかまえてそれを受けとめた……のだけれど、


「どわーーっ!?」


「軽い!?」


 ひと合わせした2人は同時に驚いたって声を出す!

 なんせあれだけ勢いのあった影がそのまま跳ね飛ばされ、くるくると前転しながら、


「ひゃっ!?」


 私を飛び越して水路に飛び込んじゃった!


「くっせぇー!」


 もちろん飛び上るように、そいつはすぐさま起き上がる。

 なんてったって汚水だもの、運営の配慮なのかそこまで強くは感じないけどヤでしょ。


「なんだってんだよー!? 【秘密の隠れ家】見つかんねーし、オバケやらでるし! 散々じゃねーかよー!?」


 え、こいつが盗賊ブレーメン?

 てっきり怪力の巨漢だとおもってたんだけどおぼろちゃんとそこまで変わらない男の子じゃない!

 それに――


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 シオン レベル:15

 職業:盗賊 属性:風

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 顔を合わせた瞬間、血みどろな名前とHPバーがスケスケウインドウに載って現れた!

 この子プレイヤーじゃん……! いったいぜんたい、どーなってるの!?



2人の前に転がり込んだ少年、シオン!

果たして彼は敵か味方か?


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― 新着の感想 ―
[良い点] 追いついたぜ!!! [気になる点] イグニール戦でスタイルが『強欲』から『憤怒』に変更になったのでは? スタイルは重複しない、という前提で合ってますよね? [一言] これからも定期的に追う…
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