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姉妹冒険者物語  作者: 並野
王国の竜
13/181

冒険者-04

 空白み、朝露濡れる朝。

 ピエールは濡れた布きれで顔と髪を拭い撫でつけ、頬を両手で数度叩いた。

 後ろでは、アーサーが昨日同様彼女のほんのり湿った髪をリボンで束ねている。


「よし」


確かな決意の籠もった顔。見渡せば、他の皆も同様に真剣な顔をしている。

 冒険者たちの、旅の三日目の始まりだ。


   :   :


 再び森の境目まで進み、六人は意を決して死んだ森の中へ足を踏み入れた。

 ぴりぴりと肌を刺激するかのような、身体にまとわりつく不快感。

 まず始めにアロイスとアーサーが、道を逸れて近くにある枯れ木の元へと歩み寄った。幹に触れ、根元から真上まで見回す。


「傷や何かの痕跡らしいものは一つもありませんね。落ち葉が無いということは、枯れたのは昔だと思いますが……」


アロイスとアーサーが木の表面を削ったり、根を掘ったりとあれこれと調査を行ったものの大した手がかりは見つからない。

 そんな中、同じように木の元へ移動したメルヒが枯れ木の幹に手のひらを添えた。

 五秒ほど経ってから、手を離して振り向く。


「多分、これは生命力を吸われています」


他の五人が、各々程度は違えど驚きの表情と共にメルヒに視線を向けた。


「……どゆこと?」

「簡単に言えば、魔力的な力で無理矢理枯らされたという所です。恐らくは生命力を調達する為……だと思いますが、断言は出来ません。アーサーさんの言った通り、何分枯れたのが昔なようなのであまり詳しくは……」

「よく分かりましたね」

「……わたしだって、エルフの端くれですから。ガットどもとは違います」


平然とした口調を装いながらも、メルヒの言葉には強い自負心が篭っている。


「少なくとも、呪文を操れる何かがいる。分かるのはその程度か」


アロイスの言葉をメルヒは首肯し、道から逸れていた三人は道へと戻った。


   :   :


 木の葉も茂らぬ枯死した世界は明るく、視界は今までの森よりも更に広い。

 一面茶色に覆われた世界を、六人は土を踏み進んでいる。


 下草も低木も一切無い道は相当に歩きやすく、歩行速度も今まで通り緩やかな為体力の消耗は軽微だ。植物が無くなったことで道の見分けがやや付きにくくなったものの、土のわずかな色合いの違いと均され具合のおかげで、道を逸れて迷うほどではない。

 その強烈な違和感とは裏腹に、進むのは今までの緑生い茂る森よりもずっと楽だ。強いて挙げるなら、時々落ちている折れた木や枝が邪魔な程度。それらも、足で簡単に除けることが出来る。


 しかし、冒険者たちの表情に軽さは一切見られない。ピエールでさえ、口を結んで押し黙ったままだ。

 風も無く、聞こえるのは六人が土を踏む音だけ。


「静か過ぎる。獣がいないのも本当らしいな。こんな状態の森、俺は初めてだ」


アロイスの声色は堅く、昨日までの余裕のある雰囲気はどこにも残っていない。

 呟きは霧散し、再び足音だけが静寂を支配した。


   :   :


 不気味な静けさを湛えた枯れ木の森を、およそ数時間歩いた頃。

 冒険者たちの目の前に、見慣れぬ物体が現れた。

 古ぼけ劣化した何かの金属塊だ。


 地面に突き刺さる一本の棒は、中程から大きく折れ曲がっている。

 折れて地面を向いた棒の先端には、同じく金属製の板が一枚。

 素材はいずれも竜鱗石のようで、表面を雨で劣化させつつも殆ど錆びていないようだ。艶を失ったくすんだ薄緑が、茶色の枯れた視界にぽつりと浮かび上がっていた。


 先頭のアロイスは、その何かの残骸じみた物体を見てもただ眉をひそめ一睨みするに留まる。

 だが、続く中央のハンスがそれを目撃した瞬間。

 老いた魔術師の皺の奥の瞳が、普段からは想像もつかないほど大きく見開かれた。


 即座に隊列から飛び出し、無我夢中でそれの前まで駆け寄るハンス。

 地に膝を着き、目を剥いたまま至近距離からそれを見つめる。

 続いて、小走りで追いつく五人。


 森の中に突き立つ物体。その正体は、一本の立て札だ。

 根元をぐらつかせ、自重に耐えかね折れ曲がり、長い間雨に打たれ劣化しながらも気丈に立ち続ける一本の立て札。

 通る者が消えて久しいその道で尚、自身の役目を忠実に果たし続けていた。

 折れ曲がり、逆さまになった立て札。その表に刻まれているのは、一つの文章。


[森と魔法の王国、レールエンズへようこそ]


言葉も無く、ただ目だけを剥いたまま。

 ハンスは全身を激しく打ち震わせ、立て札とその文字を凝視していた。


 戻ってきたのだ。五十年の間求め続け、渇望し、夢にまで見た故郷の国へ。

 長い人生の中で唯一、そして最も鮮明に輝いていた、幼い日の記憶の地へ。


「お、おお……おおお……!」


ハンスの口から、言葉にならないうめきが洩れた。未だ震える手を伸ばし、立て札をそっと撫でる。

 涙こそ流さぬものの、激しく震えるハンス。

 その横にメルヒが並んで座り、ハンスの身体を抱きしめた。首に手を回し、縋るように頭を寄せる。


「よかったですね、ハンス様……、本当に、よかった……!」


涙を堪えるハンスの代わり。

 まるでそう言わんばかりに、メルヒの瞳からは大粒の涙が溢れ出していた。


   :   :


 およそ数分の後、ハンスとメルヒは気を取り直して立ち上がった。

 横ではアロイスが優しい微笑みで二人を見守り、オットーは微か、ピエールははっきりと瞳を潤ませている。


「ええ話だで」


オットーはその蛙顔をにぃっと歪めて笑い、ピエールは無言で隣にいるアーサーの胸に顔をすり付けた。妹の服で、滲む涙を拭っている。


「皆、すまぬな。流石に儂も感極まってしもうた」


自らの腰に手を回して顔を埋めるメルヒ。視線を向けずにその頭を撫でながら、ハンスは微笑んだ。


「気にすんな。仕方ねえさ」

「そう言って貰えると助かるわい。……それに、本番はこれからだ。皆、よろしく頼むぞ」


ずずーっと盛大に鼻を啜ってから、ピエールはアーサーの胸元から顔を離した。

 アーサーは名残惜しそうに姉の頭を一撫でしてから、改めて立て札とその周囲へ目を向ける。

 ぽつんと立っている立て札、そこから視界の届く範囲は未だ全て死んだ森だ。


「それで、ここはどの辺りですか?」

「儂が覚えている限りでは、立て札から十分も進めば国に着く。しかし、立て札の先は木々が切り開かれ畑となっていた筈なんじゃがの。立て札が移動したか、そうでなければ畑の跡を木々が覆ったか……」

「後者だろう。ここの前後で枯れ木の育ち具合が明らかに違う」

「この枯れ木が成長するまでの間は、森は枯れてはいなかったということでしょうか」

「そうなるな。この分だと、涎の毒は気にしなくていいかもしれん。……進むか」


   :   :


 枯れ木の奥。

 静かに佇み来訪者を出迎えるかのようにして、それは全貌を露わにした。


 オットーの背丈程度の、低い石の外壁が左右にそびえている。

 長い年月によって風化した壁は所々崩壊しており、壁としての役目は全く果たせていない。その果ては道からは見えず、見渡す限り左右に続いている。

 東側へ目を向けると、少なくとも視界の届く範囲は枯れ木で覆われていた。


 そして中央、道の先。

 かつてはそこに、大きな木製の門が高々と立っていたのだろう。しかし今そこは空洞が広がっていて、黒ずんだ門の破片がわずかに食い下がるように残っているのみだ。

 その姿は牙を砕かれながらも大口を開けて人々を飲み込まんとする、石の巨人の頭を思わせた。


 滅び朽ちた古の王国。

 蔦も苔も何一つ生えることなく、緑の無い死んだ世界でただひっそりとその身を横たえている。

 一切の音も無く静かにそびえ立つ巨大な廃墟に、冒険者たちはそこはかとない神秘性と、空気の塊を押しつけられるような確かな威圧感を覚えた。


 一行は国の目前まで到着すると門だったもの、それと門の向こうに続く城下町を一通り見回した。

 ハンスの手が、無意識のうちに小刻みに震える。

 メルヒが不安げな瞳で横のハンスを見上げると、すぐにハンスもそれに気づいた。老いた魔術師は皺だらけの顔を歪め、笑顔で隣の年経た少女を撫でる。


「大丈夫じゃよ。さっきの看板で大体吐き出したからの」


頷きながらも、ハンスの手をひしと掴むメルヒ。彼女のすべすべで艶のある指が、ハンスの荒れて堅くなった手を握りしめる。

 その周りでは、他の四人が周囲を念入りに観察、警戒している。武器を構えてはいないが、アーサーとオットーは盾を外して左手に携えた。


「少し、いいですか」


隊列の左にいるアーサーが、前方へ目を向けながら切り出した。

 中央の魔法使いを十字に囲むという普段の隊列を崩さぬまま、アーサーの先導で王国の中へと六人は足を踏み入れる。


 アーサーの目に留まったのは、門をくぐってすぐ左にある一軒の建物だ。

 かつては店か何かだったそこは、前面にカウンターが迫り出している。尤も、木製のカウンターは殆どが風化し抉れるように削れているのだが。


「ここはかつて国に来た旅人や商人の為の案内所だった場所だ。昼間そこにはいつも気さくな婆さんが座っておってな……」


ハンスの昔話をアーサーは当たり前のように聞き流しつつ、建物の脇、路地裏へ続く道の地面に目を向けた。しゃがみ込んで石畳の地面をじっと見つめる。


「……やべえな。嫌な予感がしてきた」


アーサーの次にそれに気づいたアロイスのこめかみに、一滴の冷や汗が流れる。

 次いで他の冒険者たちも、アーサーが注目していたものを見た。


 土埃で覆われた石畳に、アーサーが指で描いた円。

 その中には、薄いながらも一つの小さな模様が出来ている。親指程度の大きさの一つの楕円模様と、そこから飛び出るように並んだ五つの線。


「なんだべ、それ」

「足跡ですよ。……人間の骨の」


アーサーの言葉に、オットーとメルヒが息を飲んだその時。

 案内所のカウンターの奥で、何かが動く音がした。


   :   :


 真っ先に反応したのは最後尾にいたピエールだ。

 流れるような動作で斧を抜き、軽やかな二度のステップで一瞬の内に崩れかけたカウンターの上に飛び乗る。

 背中に背嚢があるにも関わらずその動きは極めて機敏で、野性的な凄みを感じさせるものだ。


 ピエールは片手で構えた手斧を一切の躊躇無く物音の方向に打ち付けようとし……寸前でぴたりとその腕を止めた。

 カウンターの上で斧と視線を固定したまま、ピエールは後ろの五人へと呼びかける。

 冒険者たちは各々得物を抜き、皆緊張の漲った顔で彼女の背中とカウンターの奥を凝視していた。


「骨がいる。でもなんか怯えてる」


カウンターを越えたすぐ下の床。外側からは死角になっているそこに、一体の小さな人骨が身体を丸めてうずくまっていた。

 両手で頭を庇い、全身を縮こまらせて小刻みに震える様は普通の人間が怯え震える様と何一つ違いがない。


 その骨に戦闘の意思が無いのは誰の目にも明らかだったが、それでもピエールを含めた冒険者たちは警戒を緩めない。武器を構えたまま、震える骨を順番にカウンター越しに眺めていく。

 まず初めに盾を構えたオットー、アーサー。次いでアロイスと、骨を警戒心溢れる表情で観察した。

 オットーは一瞥するに留まり、アーサーとアロイスは骨に対し二言三言何かを喋りかけたが、骨に言葉を理解する様子は見られない。そもそも聞こえているかどうかすら怪しい。


 最後にハンスとメルヒが同時にその骨を見て……ハンスは目を見張った。


「まさか……案内所の、婆さん、なのか……?」


ハンスは視線を一瞬たりとも逸らさずに、戸惑いと驚きの篭った目つきで震える骨へと呼びかけた。

 やはり骨は、小さく震えたまま一切の反応を示さない。


「根拠は?」

「背丈や背骨の曲がり具合が、当時の婆さんそっくりだ。根拠はそれしかない……が、この場所にいることも含めて、儂には、そうとしか……」


ハンスが唇を堅く結んで骨を見つめている間に、メルヒがカウンターに足をかけてのそりと上へ登った。

 近い距離で、震える骨をじっと見つめるメルヒ。

 カウンターの向こうに降り立ち、震える骸骨の頭蓋に優しく指先を這わせた。


「……この骨の人には、微かながら魂が残っています。少なくとも、人間の死体を使って意図的に作られたアンデッドなのは確かです。魂に残っている感情は悲しみ、ただ一つ……」


やがてピエールとメルヒがカウンターから隊列の元の位置へと戻った。

 震える骨から離れ、五人は思案に暮れる。


「おでには分かんね、この骨は敵じゃねえのけ?」

「そうみたい。でも私にもいまいち……」

「自然発生したタイプじゃねえってことは、この骨を作ったのも何らかの目的があるんだろうが……アーサー、お前はどう思う」

「魂を残したまま人骨が動いているというのなら死霊術士であることは間違いないでしょうね。それもハンスの直感が事実なら、事実で無くともこの骨が本当に戦闘の意思の無い見た通りの役に立たない存在なら。相当たちの悪い奴に目を付けられたようですね、この国は」


アーサーの遠慮の無い言葉に、未だ骨を見つめていたハンスはぴくりと身体を震わせて反応した。

 振り返ったハンスの顔には強い怒りの表情が浮かんでいる。

 五十年の重みが篭った感情に、仲間とはいえ五人の顔が少しだけ強張った。


「やはり、死術か」


全身からオーラすら立ち登りそうなほどの気迫を滾らせ、ハンスは拳を握り締める。


「この国を弄ぶなど、許してはおけぬ」


   :   :


 案内所で震える骨はそのままに、一行は城下町、石畳の道を直進し始めた。

 目指すは王国の中央、城だ。


 冒険者たちは、歩きながらも油断無く周囲を見回している。城下町の中は風化が進んでいるが、やはり生きた植物の類は何一つ生えていない。


「植物が皆枯れてるのは、やっぱりその悪い魔術師っぽい人が全部吸い取ってるからなのかな」

「なのではないかと……。でも、それにしては少し不自然な気もします。植物から根こそぎ集めるほど生命力を欲していたにしては、これだけの量の骨の人を作るのは無駄遣いに思えます。それだけ心が邪なのか、それとも何か別の理由があってのことなのか……」


ピエールの呟きにメルヒが答え、歩きながら左へ目を向けた。

 眼球が無い以上、目が合ったかどうかは定かではない。少なくとも顔が向き合った背の低い子供と思しき骸骨が、路地裏の陰へと消える。

 次いでメルヒが前を向くと、やはり建物の陰から冒険者たちを覗き見る骨の姿。恐る恐るといった様子で、ちらちらとこちらを窺っている。仕草は人間とそっくりだ。


 城下町を進む冒険者たちは、遠巻きながら完全に骸骨に囲まれていた。

 しかし骸骨たちには、戦う意思も無ければ意思の疎通を計る素振りも無い。ただ戦々恐々と様子を見ているだけだ。


「……やっぱり、彼らの魂には恐怖や悲しみ、嘆きというような負の感情一つしか残っていません。こちらを観察しているのも、魂の存在を薄ぼんやりと感知している程度のようです。音も聞こえていなければ、目も見えていない」

「どこの誰の仕業か知らんが、趣味の悪いこった」

「敵じゃねえなら骨はもうええど。それよか、ドラゴンっぽいとかいうデカブツはどこ行ったんだで。いきなり建物の陰からドーンと出てくるんじゃねえのけ?」

「その可能性もある。骨が無害だからって抜かるなよ」


警戒しつつも歩みを続ける六人。

ちろちろと湧き水が漏れる壊れた水場跡を通過し、錆びた金属の骨組みだけが残った露店跡を抜け、辛うじて形を残して踏ん張っている石造りの家屋を遠目に見ながら距離を開けて迂回する。

 道中一貫して骸骨たちは襲いかかったり接触を計ろうとしてくることは無く、一体気力を失い道のど真ん中で倒れ伏していた者がいた程度だ。

 メルヒが視た所魂は残っていたようなので、その骨もアンデッドなのは確からしいが。


「無人のまま五十年経ったにしては、随分形が残ってますね」

「風は木に遮られ、植物は生えず、動物も寄り付かず。だとこんな風になるのかねえ。……しかし、随分硝子が多いな。その辺の家にも当たり前のように透明な硝子窓が残ってやがる」

「ここは本当に硝子の技術が発達しておったからの。作った薬の色を外から区別する為の、無色透明の硝子を作るのには特に力を注いだらしい。それから魔法陣を彫った硝子玉に魔力を込めて、光源や時計の動力などにも使っておった。道のそこかしこに街灯が残っておるじゃろう? あれらも中央の硝子玉に魔力を込めて、周囲が暗くなればひとりでに灯りが点くようになっておったのじゃよ」

「凄い国だったんだね、ここって」

「……今となっては、虚しいだけだがの」


十数分歩き、六人は城の前まで辿り着いた。

 城の周囲には堀や壁は無く、ただ小高い丘の上に建つ大きな建物という印象だ。

 錆びた金属の巨大な門が、未だに形を残し威圧感を放っている。


 閉じられた城門の前。道のど真ん中に、一体の骸骨が崩折れていた。小脇には穂先の欠けた短槍と丸型盾。どちらも錆び付き風化し、今にも勝手に崩壊しそうなほどだ。

 アーサーが剣と盾を構えたまま慎重に近付き、剣先で骸骨とその横の武器をつついた。反応が無いと見るや骸骨の武具を剣で弾き飛ばし、アロイスと二人で遠巻きに観察を始める。


「……頭蓋骨。割れた跡があるな。割と新しいぞ」

「骨の再生は出来る、と。そして、最近誰かがここに来てこの骨の頭蓋骨を割るようなことをした」

「それってあれだろ? お前らを誘ったとかいう例の奴ら」


アーサーとアロイスが城の状態や足跡などを分析する中、ハンスが骸骨の元へと歩み寄った。

 何の警戒もせず抱え上げた躯を壁へともたれ掛けさせ、武具をその袂へと寄せる。


「何があったのか分からぬが、安らかに眠れ。勇敢なる兵士よ……」


目を閉じて俯き、ハンスとその横のメルヒは小さく祈りを捧げた。


   :   :


 ごぎぎぎぎ、ぎぎぎぎ……。

 錆びた巨大な金属が擦れる重く大きな音を響かせて、門が開かれた。

 城の内部、大広間へと足を踏み入れた六人。

 色褪せ土埃に汚れた薄赤い絨毯を踏むと、それはあっさりと破け千切れていく。


 廃墟の古城は五十年眠り続けて尚その壮大さを損なうこと無く、そこに確かに鎮座していた。

 石組みの建材は多少崩れていたものの全体としての形は未だ保たれ、所々崩落した天井の穴から注ぐ陽の光は、煌めく一筋の光線となって薄暗い城内に差し込んでいる。


 倒れた鎧の像から転がった、錆びた鉄仮面を一本の陽光が照らし上げる。

 その光景は長い年月の経過とかつての栄光の残り香を強く呼び起こさせる、幻想的な風景として冒険者たちの目に焼き付いた。


 ある者は木漏れ日のように天井から洩れる光を見上げ、またある者は小さな自然の照明に照らされる錆び付いた仮面を感慨深い眼差しで見つめている。

 冒険者たちはわずかな間だけ、警戒も疎かにその古の王国の風景に心を奪われていた。


   :   :


「……しかし、おかしいですね」


天井からの光を見上げていたアーサーが、囁きかけるように呟く。その声は小さい。


「ここまで入っておきながら、誰も出てこない。我々が逃げないよう油断させ、国の奥まで入らせてから骨で囲んで数で押し潰す。そういうパターンも予想していましたが、その気配も無い。気づいていないのでしょうか」

「気づいてないのか、下手するとここにいないのか……。それなら嬉しいが、そんな筈もねえよな」


隊列はそのままに、六人は慎重に一歩一歩足元を確かめつつ進んでいく。

 大広間は、広々とした十五メートル四方ほどの空間だ。天井は高く、約二十メートル。

 真正面に玉座のある謁見の間へと繋がる大きな扉があり、その扉の左右に二階へと続く階段。広間の左右には、食堂や応接間など細々とした部屋への小さな扉が並んでいる。


「爺さん、どこから行くのがいいと思う?」

「玉座からでよかろう」


広間を直進し、一行は謁見の間へと続く大きな扉の前に立った。

 巨大な両開きの木製の扉はなんとかその形を維持しているが、既に艶などどこにも無く所々がひび割れ節くれ立っている。少し力を入れて小突けば簡単に砕け散りそうだ。

 先頭のアロイスが、薄汚れつつも辛うじて輝きを残す竜鱗石製の取っ手に手をかけた。

 しかし扉を開くことなく手をかけたまま、動きをぴたりと停止させる。


「……どうしただ? 旦那」

「扉の向こうから何か聞こえるね。かかかかか……なんだろこれ」


最後尾のピエールが耳聡く聞き取り、他の面々も耳をそばだててその音を聞き取った。

 皆がその音を確認するのを待ってから、アロイスは覚悟を決めて扉の片方を押し開ける。


 勢いよく扉が開かれ、眼前に広がった光景に冒険者たちは目を見開いて絶句した。

 時計、時計、時計。

 謁見の間に立ち並ぶ、大量の時計たち。


 竜の細工が施された小さな置時計が数十個乱雑に床に置かれ、壁掛け用の振り子時計は広間の壁にかけられて一列に並び振り子を揺らす。

 特に目を引くのは人ほどの高さがある柱時計。数十個の大きな柱が玉座の周囲に控え、透明な硝子の向こうで壁掛け時計同様ゆっくりと振り子を揺らし続けていた。


 中には壊れている時計もある。柱が倒れ硝子を散らして動かなくなったものや、文字盤そのものを金槌か何かで叩き砕いたかのように派手に壊れているもの。

 全体の三分の一程度が、壊れて動かない。


 そして残りの三分の二は、未だにその動きを止めずに時を刻み続けている。

 かち、かち、かち。かっちこっちかっち。かこんかこんかこん。ぽろんぽろんぽろん。

 様々な時計たちが時を刻み、音が幾重にも重なって静かな古城に木霊する。音の鳴るタイミングが時計ごとに異なる為、リズムは滅茶苦茶でそれ故一段と不気味だ。


「気持ち悪い……」

「現在のこの城の主は、調整もろくに出来ない癖に随分と時計にご執心なようで」


アーサーが自分の感じた不気味さをごまかすように、苦し紛れに呟いた皮肉。

 その言葉も、あっという間に時計の音に飲み込まれて消えていった。

 六人は入り口から一歩も中に入ることなく、中の様子を見回す。そこに時計以外には何も見当たらないということを確認してから、逃げるように謁見の間を後にした。


   :   :


 応接間、食堂、兵士の詰め所。一室一室扉を開けて確認していくが、謁見の間の時計以降おかしな物は何一つ見つからないまま、一階の探索は七割がた終了した。

 相変わらず人一人見つかりはせず、意志の通じない骸骨が転がっていたのみ。


「先に二階に上がるか。爺さん、二階には何がある?」

「二階は城内で暮らしていた者たちの私室や客室が殆どだ。ここは王国と言うても規模は町と大差ないからの。大した場所はない」


二階へ上る階段は中央の扉の左右、二カ所あるが、その内の左側を選んで一行は上り始めた。

 相変わらず階段に敷かれた絨毯は踏む度破れていくが、その下にある階段は石造りのようで、崩落の不安も無く頑強だ。


 階段を上ってすぐ、突き当たりの壁には透明な硝子窓の残骸が嵌まっている。

 風化が進み割れ落ちていたが、オットーが何の気なしにその向こうを眺めて動きを止めた。


「……旦那。あれ」


窓の位置は高い。目線が届かないピエールはアーサーに正面から抱き抱えられる形で持ち上げられ、アロイスは直接窓枠に手をかけ、メルヒは背嚢を背負ったままオットーの肩に乗ってそれを眺めた。


 窓の向こうは中庭だ。かつてレールエンズ特有の木々と花々が、庭師の手によって美しく咲き乱れていたささやかな翠緑の庭園。

 しかし今では、自然の姿はどこにもない。数本の枯れ木が残るばかりで、命の息吹など雑草一つ残っていない。

 王国と周辺の森同様、命の失われた死んだ庭園だ。


 そんな中庭の中央。錆び付いた金属のテーブルを囲むようにして、二体の骸骨が椅子に腰掛けていた。

 彼らは椅子の上で力無く項垂れ、頭だけを前方、テーブルの中央へと向けている。

 テーブルの中央にあるのは、硝子の花束。色の濃い藍色の硝子鉢に活けられた、沢山の透き通る硝子の花たち。死んだ庭の中であまりにも場違いなほど美しさを保っているその花に、身動き一つせず二人の骨は頭を向けていた。

 ハンスがその光景を見て、ごくりと息を飲む。


 並んで座る二体の骸骨。

 その頭蓋骨には翠緑の輝き残る王冠とティアラが、頼りなく引っかかっていた。


   :   : 


中庭は一階、上り階段のすぐ脇にある小さな扉から行くことが出来る。

 気の逸るハンスを押さえながら、一行は慎重な足取りで一階へと戻り中庭へと入った。


「国王陛下、王妃陛下! 私です! ハンスです! 陛下!」


中庭に着くなり、普段とはかけ離れた余裕の無い大声でハンスは叫ぶ。

 しかし、二体の骸骨はやはり他の骸骨同様、こちらの言葉が聞こえてはいないようだった。


「陛下……このハンス、ようやく、ようやくここまで辿り着いたのですぞ……」


中庭に入っても、ハンスが大きな声で呼びかけても、骸骨たちは硝子の花を見つめたまま何一つ動きを見せない。

 骸骨の肩を揺さぶろうとした手は指先でなぞるだけに留まり、失意の表情でハンスは肩を落とした。


「メルヒ」


気を落としたハンスの手を握り慰めの言葉をかけているメルヒに、アーサーは視線を向けず呼びかけた。

 ややあってからメルヒはハンスの手を離し、アーサーの言葉の意図通り項垂れる骸骨へと近づく。

 その表情は期待のないぞんざいな対応だったが、骸骨の間近に近づくとメルヒは一転してその顔を驚愕に染めた。

 即座に頭を上げて、ハンスを呼ぶ。


「ハンス様! この二人、魂に言葉が残っています!」


ハンスのみならず、周囲を警戒していた他の冒険者たちもメルヒの元へ集まった。

 五人の期待が集まる中、メルヒは目を閉じて項垂れる骸骨にそっと指先を添える。


「……失敗、救済、呪縛、解放……贖罪、クリス、終焉、クリス、クリス、クリス……」


指を離し、次は隣の骸骨へ。


「……クリス、救い、呪い……泉、永遠、眠り……」


言葉を読み取り終えたメルヒは指を離し、精神的な疲労感を落ち着けようと深呼吸を行った。

 沈んだ表情のままハンスに抱きつき、胴に腕を回して痩せた腹部に顔を埋める。


「……この人たちの魂の言葉は、重たいです。頭がくらくらします」

「少し休んでいるといい」


真剣な顔で骸骨へ視線を向けたまま、ハンスはメルヒを撫でる。

 横ではピエールとオットーが、揃って首を傾げていた。


「それで、これどういうこと?」

「んー」


ピエールの浮かべた疑問に返事をせず、目を閉じて小さなうめきと共にアーサーは眉間を揉んでいる。


「王様と妃様が、同じように骸骨にされてる娘が心配だー助けてくれーって言ってるだけの無意味な言葉でねえの……? 違う?」

「いや、大体それで合ってるだろ。ただ、気になる所はそこじゃねえな。……爺さん、泉って何だ?」


ハンスの動きが止まる。

 メルヒが不安げな瞳で顔を上げると、ハンスはゆっくりと時間をかけて息を吐く。

 逡巡しながらも息を吐き終えたハンスが、意を決して顔を上げた。


「黒幕がいそうな所は、そこしかあるまいな。……城の地下には、王族にのみ伝わる隠された秘密の泉が湧いておるのだ。レールエンズの国民が魔力に秀でていた理由も、その泉にある。泉の水には高い魔力が宿っており、この地で子を宿しこの地で子を産むと、泉の魔力の影響を多分に受けて魔力的な素養が高められる。それがこの国、いや、この土地の秘密だ」


メルヒはこの話を知っていたのだろう。

 他の面々が感嘆のため息を吐いている中、彼女だけが静かにハンスを見上げていた。


「そんなのがあったんだね、ここって」

「そんな場所があるのなら、そこにいて当然じゃないですか」

「儂もかつてクリスが口を滑らせなければ知らぬままだった、この国の秘密じゃからの。出来ることなら隠しておきたかった……だが、そうもいくまい。戻った後は、皆も他言無用で頼むぞ」

「それで、その地下の泉はどこにあるんですか?」


アーサーがやや憮然とした顔で尋ねると、ハンスは気まずい顔をして目を逸らした。


「詳しくは儂も知らぬ。口を滑らせたとはいえ、クリスも全てを語った訳ではないしの。ただ、謁見の間のどこかに隠し通路があるという話だけはしていた」


謁見の間。その言葉が出た途端、冒険者たちは一様に顔をしかめた。


「うげ、あそこ調べるのけ……気持ちわりいべ、あの時計の山」


オットーの言葉に、皆が雰囲気だけで同意した。


   :   :


 謁見の間の扉を開くと、時計たちの狂騒が再び冒険者たちの耳をかき乱す。

 中年二人とピエールはうんざり、メルヒやアーサーは顔を引き攣らせながら部屋の中へと入った。


 謁見の間は広間の半分ほどの幅の、奥行きのある長方形の形をしている。

 部屋の最奥は何段か高くなり、そこに玉座が一つ。かつて深紅に染まっていたであろう革張りの部分は色褪せ破けているが、背もたれに施されている翡翠と竜鱗石による緑色の細工は、未だに風化することなく美しさを保っていた。


 周囲の壁には、経年劣化により朽ちかけた調度品や美術品の類が並べられている。

 そしてその壁の上に、掛け時計の群れ。


「あるとするなら壁と床。……地下なら床かね」

「壁際の床と根元の壁を調べる方向で。調度品の裏も見ていきましょう」


皆が時計を避けながら、慎重に壁を調べていく中。

 ピエールが一人壁を調べずに、軽やかな足取りで玉座へと歩み寄った。鼻歌混じりに、玉座の周りをぐるぐる回っている。

 一人仕事を果たしていないことに、アーサーが不快感を露わにしてピエールを睨んだ。


「姉さん、遊んでないで探してください」

「見つけたよ」

「綺麗なのは……はい?」

「見つけた。隠し通路」


目だけを見開き、文字通りきょとんとした顔でアーサーは玉座の横に立つピエールを凝視した。

 数秒の間。それから五人は慌ててピエールの元へと集まった。


「おいおい姉ちゃんどういうことだよ」

「ほら見てよ、玉座の裏」


ピエールが指さした先、玉座の裏の石の床。

 破れた絨毯から覗くブロックの一つに、明らかに動かした痕跡が残っていた。ピエールが手斧をブロックの隙間に差し込んでこじると、ブロックがわずかに浮き上がる。そこだけ床石が薄く、簡単に持ち上げることが出来そうだ。


「誰か石上げて」


浮き上がった石をオットーが持ち上げれば、そこには確かに地下への空間が広がっていた。

 仄暗い闇の底へと続く穴が、小さな口を開けている。

 ピエールが、にかっと歯を見せて得意げに笑った。


「おお……。よくすぐに見つけたな、ピエールよ」

「いやあ、普通は隠し通路を隠すなら玉座の裏でしょ。アーサーが指示してるの聞いて、何言ってんだろこの子って思ってたからね」

「……だってよ妹。何か言ってやることねえの」

「姉さんが昔読んでたお伽話と、偶然一致しただけですから。たまたまです」

「その割には悔しそうです、アーサーさん」


アロイスとメルヒに若干の含み笑いで弄られ、アーサーは表情だけはそのままに顔を背けた。

 苛立ち紛れに、ピエールの額を指先で強く押す。


「ちょっ、これは私の手柄じゃん、八つ当たりしないでよ」

「こんなとこで遊んでんじゃねえど」


うんざり顔のオットーに諭され、一行は気持ちを切り替えて地下への穴を見下ろした。

 穴の中は暗いが、どうも内部のどこかに光源があるようだ。

 底までは三メートルほど。そこから、地下に向かう階段がぼんやりと見える。

 入り口は狭いが、中は広い。


 まず降りたのはアロイス。

 背嚢を横に置いてから梯子を伝って下まで降り、肩を回しながら周囲を見渡した。特に異常も無いようで、手振りで問題が無いことが告げられる。

 次いで同じく背嚢を置いたアーサー、ハンス、メルヒと続き、四人が下へ降りてから上の二人と協力して六人分の背嚢を地下へと降ろした。

 最後にピエールとオットー。オットーは背嚢を抜きにしても身体が大きく穴をくぐることに苦労していたが、それ以外はさしたる問題も無く六人は地下へと降り立った。


 改めて六人は背嚢を背負う。

 皆これから先のことをうっすらと予感しているのか、すぐに降ろせるような浅い背負い方だ。

 一行は、地下へ続く螺旋階段を進み始める。足音を立てないよう、慎重な足取りだ。


 隠し通路の壁には、ごく小さな真鍮の台が点々と備え付けられている。

 輝きを失った金属の台には、親指の爪ほどの大きさの透明な硝子玉。音も揺らぎも無く、ほんの小さな光を放っていた。その光のおかげで完全な闇にはなっていないが、それでも辺りは薄暗い。

 ぼそぼそと、衣擦れのごとく小さな声でアーサーは呟く。


「……この玉、一度魔力を込めると何時間光っていられるんですか」

「この大きさなら、よくて数日だ」


つまり、つい最近誰かがこの玉に魔力を込めたということ。

 慎重に歩きながら、アーサーはじっと下を見る。頼りない光源の中、アーサーの目はしっかりとそれを捉えた。


 人間の靴。

 明らかに人間ではないおぞましい何か。

 それら二つの、真新しい足跡。


 アーサーが唾液を飲む音が、地下階段に反響したその時。

 ごく小さな何かの音が、通路の遥か奥から聞こえてきた。


 ……た……を……し……


声だ。

 女性のものと思われる微かな声が、途切れ途切れに地下深くから響いている。

 一同は歩みを止め、全身にじっとりと冷や汗を滲ませた。だが、戻る訳にはいかない。

 下へ降りる度、音は次第に大きくなっていく。


 ……た……しは……続け……


声は、リズムと言葉を持ち始める。


 ……永遠に……私は……愛し……


それは無色透明な硝子のような、透き通った歌声。

 歌声に、水の跳ねる飛沫の音が混じり始める。


「あなた一人を……私は……愛し続けます……」


階段は終わり、地下とは思えぬほど広々とした空間が冒険者たちの眼前に広がった。

 視界の先、広い空間の奥には泉が一つ。

 縁を竜を模した細工で囲まれた、浅く広い湧き水だ。


 その泉の中央。

 一人の少女が、冒険者たちに背を向けてゆっくりと踊っていた。


 濃い鼠色のドレスはぼろぼろで端が破け、裾が泉に浸かっている。左右に広げた両手は細さもさることながら驚くほど白く、健康的と言うには程遠い病的な白さだ。

 ゆるいウェーブの利いた長髪は服同様灰色で、少女が踊る度ふわふわと空気を巻き込んで揺れている。

 周囲を漂うのは、濃い白靄のような魔力の光。全身を包み込み、少女を覆い隠すように光の粒子が舞い踊る。


 少女はこちらに背を向けたまま尚も歌を口ずさみながらゆらゆらと、そよ風で揺れる花のように踊り続けていた。

 その姿にはおよそこの世のものではない妖しさと、この世ならざるもの特有の蠱惑的な美しさが混在している。


 歌い踊る少女は両手を広げたまま水飛沫と共に水上で回転し、ようやく冒険者たちを視界に捉えた。

 その目は一面灰色に染まり、焦点もろくに合っていない。

 胡乱な瞳でこちらへ視線を向ける、幼い灰色の少女。

 無言の少女に対し、ハンスが瞼を千切れんばかりに見開きながら一言、呟いた。


「クリス……」


灰色の少女の頭には、王妃のものより一回り小さな竜鱗石製のティアラ。

 クリスティーネ・フォン・レールエンズ。

 老いたハンスと同年代の筈の王女が、かつての少女の姿のまま冒険者たちの前にその姿を現した。

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