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 私達はダンジョンからいったん引き上げ、今はイスカの食堂でご飯を食べながら作戦会議中です。


「特に目新しい情報はありませんでした。地図も更新されていませんし、事前情報と相違ないようです」


 マリーエさんは町でダンジョンの地図を手に入れたり情報を集めてきてくれたんだけど、ここ最近で特に気になるものはないらしい。


「それじゃあ予定通り、明日からダンジョン探索開始でいいのかな」


「はい、装備も問題ありませんし、リカ様がよろしければそう致しましょう」


 という訳で、少し早いけどここで夕飯にしてガイルに戻った。明日の朝からダンジョンに潜るんだけど、なんだかドキドキしちゃうよねぇ。今夜は眠れるかなぁ。




 翌朝。


 昨日の心配は杞憂に終わり、しっかり睡眠、目覚めも爽やかな朝を迎えました。やっぱり運動するのは大事だね。


 さて、またあの細い岩の裂け目を通ってダンジョンにやってきた。


 だけどねぇ、そこに思ってもみなかった人物が待っていたんだよ。


「間に合って良かったです。私も同行します」


 そう言ってにっこり笑うのはエミール君。


 うーん、なんで君がここにいるのかな?


「兄上があなたに護衛を付けると言ったのです。ですが見知らぬ者ではあなたが警戒されると思い、私が行くと願い出ました。どうかご一緒させて下さい、必ずお役に立ちます!」


 なんだか気合と期待のこもった目で見つめられた。


 どうしようと思ってマリーエさんとアルクを見たんだけど……二人に目をそらされてしまった。ええー。


 でもこれ、断れないよねぇ。


「……よろしくお願いします?」


「はいっ!」


 だけどいいのかね、領主のご子息様でしょう、クロフトさんもよく許可を出したと思うんだけど……はぁ。それにしてもエミール君、荷物多いね。



 いきなりハプニングだけど、私達は改めてダンジョンの入り口をくぐった。


 エミール君が手続きをしておいてくれたのでカウンターはスルーしてそのまま奥の通路へ進む。


 なんだか係の人達にはめちゃくちゃ緊張した様子で見送られたし、他の冒険者や観光客からは珍しそうな目で見られてしまった。


 悪目立ちしてるんだよね。


 確かにあの場にいた冒険者と私達では恰好から雰囲気からすべてが違った。


 まず顔が良い。私以外ね。


 で、みんな装備は一流だし身のこなしも一般人とは違って洗練されてる。貴族だったり騎士だったりで当たり前だけど、アルクを含め立ち姿だけでも恰好良いんだよ。そんな中で、なんでいるのかよく分からない、しょぼーい私。


 華やかな人達の中に場違いなのが混じった変な組み合わせは、それはそれは目立ちました。なんだかなぁ。


 さて、気持ちを切り替えて探索開始だ。


 最初の入り口から続く通路を進んでいくと、ひとつの部屋に出た。一辺が十メートルくらいの立方体の部屋だ。それぞれの壁には、入って来た道と同じように通路の入り口が一つずつあり、ここから分かれ道になっている。


「右の道を進みます」


 エミール君が地図を片手に教えてくれる。


 私達はエミール君の指示に従ってどんどん進んで行き、三十分程歩いたところで階段のあるホールに出た。


 この階層は途中にいくつも分岐点がある迷宮で、地図がなければここに辿り着くまでにそれなりに多くの時間がかかったと思う。


 私達が階段を降りて行くと、そこは先程と同じようなホールになっていた。上と違うのは壁に数字が書いてあることくらい。こちらの文字で大きく「2」とあり、なんとも親切、分かりやすい。


 その後も降りていくホール毎に数字は書かれていて、私はダンジョンを探索した人が後続の為に書いたのかなって思っていたら、どうやら違うらしい。なんと最初から書かれていたんだそうだ。そんなことってあるの?


 まあ階段とかある時点で明らかに作られたものだと分かるけど、誰が何の目的で作ったかとか、そういうことは一切分かっていないらしい。


 地下なのに何故明るいのか、どこから魔物やアイテムが出るのか。研究した人もいるそうだけど、誰も答えを出せず、現在一番有力なのは神様創造説なのだそうだ。



 さて、さくさく迷うことなく進んで来たけれど、ここで私の腕時計のアラームが鳴った。


 ピピぴ、ピピぴ。ピピぴ、ピピぴ。


 みんながちょっとビクッて反応した。


「お昼にしましょう」


 ダンジョン内って空も見えないし太陽の傾きも分からない。時間の感覚が狂うと聞いていたし、腹時計では心配なので、今回はアラーム付きの腕時計を持参してみた。しかしダンジョン内でこの電子音って、すごく違和感あるね。


 エミール君はアラームに興味深々だった。色々質問されたりしたんだけど、みんなダンジョン内での時間の管理ってどうしてるんだろうって思う。


 まあ時計はともかく、お昼ご飯だ。私は近くの壁に扉を出した。


「は?」


 エミール君が固まった。


 あれ?


 みんなで順番に扉をくぐってガイルの家に戻ったら更にね。


「はぁぁ?」


 エミール君が盛大に驚いて理解不能って顔で見つめられてしまった。


 あれぇ?


「これは一体……どういうことですかっ!?」


 なんか叫ばれたけど、いやいや、なんで知らないのさ。



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