79話 ロシア系
おいしい夕ご飯を食べたぼくたち。
そこへ、のっしのっしと、ロシア人の巨漢が現れた。
確か塩尻さん、だったかな。
次郎太さんのお友達とか。この料理も彼が手伝ったみたい。
里香がうとうとしてる。まだちょっと寝かしておこう。
ぼくは塩尻さんに近づいて言う。
「あの……ごはん、ありがとうござました」
「ん? ああ、どういたしまして」
わ、すごい。洋画の俳優さんみたいな渋い声だ。
「すっごいおいしかったです!」
「それはなによりでした。ああ、そうそう。これをどうぞ」
塩尻さんはポケットから小さな袋を渡してくる。
胃薬だ。
「食べ過ぎちゃったみたいだし、使ってください」
「わ! ありがとうございます!」
「いえいえ。ふふっ、お腹いっぱいになるまで食べてくれてどうもありがとう。作ったがありましたわん」
わん?
聞き間違えかな……?
あ、そうだ。
気になってたことがあったんだった。
「あの……次郎太さんとはどういうつながりなんですか?」
「あの人の奥さんとは幼馴染なのよん」
よん?
「次郎太さんの奥さんって……ああ、そういえばロシア人なんでしたっけ?」
「そうそう。ご近所さんでね。日本に来てからも次郎太ちゃんには何かと懇意にしてもらってね。家計が厳しいときに仕事もらったりとか」
「へえ……そうだったんですね」
てきぱきと塩尻さんは食器を片付ける。
「それじゃ、これで失礼するわん」
「あ、はい。ありがとうござました!」
「んっふん♡ 夜はおたのしみにね♡」
なんか最後へんだったけど、悪い人じゃ無いなぁってそう思った。




